総選挙直前企画 各党の医療政策を聴く②民主党
(医療のあるべき姿をどのように考えますか)
世界の医療保険制度をタイプ別に分けると、平等を重視し、政府中心に税金を使って医療体制を構築する第一の道の英国、NHSのような方向と、お金があればいい医療が受けられるという市場中心による第二の道の米国のような方向があります。日本はこの間にあり、少し英国側に寄っているぐらいです。それにもかかわらず、「医療は政府が責任を持って提供すべきか」という質問に対し、日本国民の95%が「はい」と答えているというのが現状の認識です。
「病気が治らないのは、医療を提供する側や政府が悪い」という認識は大変偏っています。「健康」は国民が意識して努力してつくっていくものですが、ある一定の確率で病気になった場合にはリスクを分散してなるべく少ない自己負担で標準医療を受けられるようにし、その内容をきちんと説明されて納得して受けられるようにすることが大事です。良質な医療とは、納得のいく医療を受けられることだと思っていますし、それがあるべき姿です。日本人は「健康」は自分で管理するものという意識が少し低いと思いますね。
国民皆保険は守らないといけない大事な制度だと思っていますが、若い世代が、負担が重過ぎて保険料を払えないという事態は避けなければいけません。年金制度の3原則は、若者が無理なく払える保険料であること、職業が変わっても同じ制度であること、最低保障の機能があること、の3つです。これは医療にも当てはまることで、最低保障は医療では標準治療を意味します。日本の標準治療は世界から見るとトップレベルですが、国民から見るとこの認識が弱いと感じます。