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先進医療を実施したいが、「皮膚科の専門医がいない」

■ 「リアルタイムPCRを用いた迅速診断」について ─ 厚労省説明
 

[猿田享男座長(慶應義塾大医学部名誉教授)]
 それでは、議題に入りたい。第一番目は、「先進医療の科学的評価(6月受付分)」について。事務局(保険局医療課)から説明をお願いしたい。

[保険局医療課・石井課長補佐]
 それでは、お手元の資料「先─1」(6月受付分の先進医療の新規届出技術)と、「先─2」(6月受付分の事前評価結果等)をご覧いただきたい。

 最初に、「先─1」の資料。「先進医療の新規届出技術(6月受付分)について」ということで、説明させていただく。6月受付分は、173番から178番までの6つの技術について届け出があった。
6月受付分の先進医療0819.jpg 173番「足漕ぎ車椅子療法」、174番「輸入角膜による角膜移植術」、175番「第Ⅴ因子欠乏症の遺伝子診断」、176番「血液透析併用バルーン塞栓動脈内抗癌剤投与法」。

 それから、177番「リアルタイムPCRを用いた迅速診断」。かっこで、「単純疱疹ウイルス感染症または水痘帯状疱疹ウイルス感染症に係るものであって、他の方法による鑑別診断が困難なものに係るものに限る」と。

先進医療別紙0819.jpg それから、178番「子宮全摘術後の膣断端脱に対する腹腔鏡下腔仙骨固定術」ということで、6つの技術の届け出があった。

 続いて、「先─2」(6月受付分の事前評価結果等)をご覧いただきたい。(中略。177番以外の5件は書類不備のため返戻したことを説明)

 「リアルタイムPCRを用いた迅速診断」については、今回、(先進医療専門家会議の)飯島(正文)構成員にご評価いただいて、総評として「適」というご評価を頂いている。詳細については、別紙をご覧いただきたい。

 本日は、評価していただいた飯島構成員がご欠席なので、意見書という形で、それから、飯島構成員の評価内容について、福井(次矢)構成員、渡邊(清明)構成員からも意見書を頂いているので、こちらを踏まえて事務局(保険局医療課)から説明したい。別紙をご覧いただきたい。

 (中略。以下、別紙を読み上げ。先進技術としての適格性、実施できる医療機関の要件など)

○ 先進医療の名称
リアルタイムPCRを用いた迅速診断(単純疱疹ウイルス感染症または水痘帯状疱疹ウイルス感染症に係るものであって、他の方法による鑑別診断が困難なものに係るものに限る。)
○ 適応症
 水疱やびらん、潰瘍性病変を伴う単純疱疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス感染症(免疫不全状態等により他の診断方法による鑑別診断が困難な者に限る。)。
○ 先進性
 従来、帯状疱疹及び単純疱疹の診断はTzanck testにてウイルス性巨細胞を証明できるかどうかで診断を行っていたが、水疱が無い場合には施行困難であり、ウイルスのタイプの診断はできなかった。
 血中抗体価測定法はペア血清で判定をするため、急性期(発病初期)と回復期(発病2~3週間後)の血清を測定するため確定診断まで時間を要していた。また、ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体法は報告によると感度が32%と低い。
 リアルタイムPCR法を用いた本検査は、水疱のみならずびらん、潰瘍及び痂皮を含む病変において診断可能である。また、非特異的な臨床症状を呈する場合にも診断治療に結びつくため有用である。検体採取から診断に至るまでの所要時間はおよそ2時間半と非常に短い。
○ 概要
 単純疱疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルスが免疫抑制状態の患者に感染した場合、重篤な症状をきたすことがある。また、治療の遅れによって帯状疱疹後神経痛などの後遺症を残すため、早期に確定診断を行って治療を開始することが重要である。
 本技術はリアルタイムPCR法を用い、痴皮、潰瘍ぬぐい液からウイルスDNAを短時間で定性的・定量的に評価し、単純疱疹ウイルス及び水痘帯状疱疹ウイルス感染症を迅速に診断するものである。
○ 効果
 本技術を用いることにより、迅速に単純疱疹ウイルス感染症、水痘帯状疱疹ウイルス感染症の診断ができるため、重症化する前に早期治療を行うことができる。
○ 先進医療に係る費用
 約2万2千円
○ 実施科
 皮膚科
○ 総評
 従来より単純疱疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス感染は水疱内容・組織のウイルス抗原検出により診断されてきたが、リアルタイムPCR法を用いることで迅速・高感度で特異性の高いウイルスゲノム検出を行うことが可能になるので、特に免疫抑制患者における迅速診断・治療という臨床的有用性が大いに期待できる。
 本法の検体管理については日本臨床検査標準協議会から発行された「遺伝子関連検査検体品質管理マニュアル」に詳細が記載されているところであり、技術的にも問題はないものと判断する。
○ 実施責任医師の要件
 ・ 診療科 → 皮膚科
 ・ 資格 → 皮膚科専門医
 ・ 当該診療科の経験年数 → 5年以上
 ・ 当該技術の経験年数 → 1年以上

 以上が、今回のご報告。このほか、飯島先生の評価内容について、福井先生と渡邊先生に意見書を提出いただいたが、お二方とも、この評価内容について、「特に意見はございません」という意見書を頂いている。事務局(保険局医療課)からは以上でございます。

 【目次】
 P2 → 「リアルタイムPCRを用いた迅速診断」について ─ 厚労省説明
 P3 → 「内科の感染症の専門医も含めてよいか」 ─ 北村委員

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