「それぞれの病院の志だろう」 ─ ケアミックス病院がやり玉に
■ 「脳梗塞の患者は、ダイレクトに回復期に入院」 ─ 丹野院長
[西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
(資料説明)ありがとうございました。それでは、ご出席いただきました各病院に対するヒアリングを行いたいと思う。今回の開催に当たり、事前に事務局(保険局医療課)より各委員に各資料が送付されており、既にお目通しいただいていると思う。時間も限られていることから、まず各病院に3分以内で説明していただき、その後、各委員からの質問をお願いしたいと思う。
まず始めに、再転棟について議論したいと思う。最初に、社団法人慈恵会・青森慈恵会病院からご説明をお願いいたします。
▼ 青森慈恵会病院は、昨年11月12日にケアミックス型病院を対象に行われたヒアリングでも呼ばれている。その際、丹野雅彦院長は次のように意見陳述した(厚労省の議事録より)。
「当院の場合は青森市ということの特徴をまずお話ししたいと思いますが、青森市の場合は人口が30万人に対して急性期の一般の、急性期をやっている病院が県立病院と市民病院が中心になって行っております。約1100か1200ぐらいだと思うんですが、病床数に対して。それ以外に民間で急性期の患者さんを受け入れている病院としては、我々の病院ともう一つ協立病院というものが主に請け負っているような状況です。
確かにケアミックス型で330床に対して40床と非常に割合は少ないんですが、なるべく地域の方々が、例えば県立病院、市民病院に行くほどでもないような患者さんを受け入れたり、いわゆる駆け込み寺的な要素を保ちながら急性期を受けて、そして在宅に帰していくというふうな仕事をしています。
ただ、資料にも提示しましたが、救急患者の受け入れに対してはそれほど多くはないんですが、やはり医師不足とか医師の高齢化に伴いまして全部が全部、受けているというわけじゃなくて、やはりある程度急性期病院と、県立病院とか市民病院とかとの役割を、機能を分担するような形で話し合いをしながら、我々で受け入れる分に関して特化して受け入れているというような状況です。DPCに関しては、今後やはりこういう機能をどうしても残していかなきゃいけないということで、将来的なことを考えて手挙げをさせていただきました。以上です」
[青森慈恵会病院・丹野雅彦院長]
では、ご説明したいと思います。当院の病床数の割合をまず見ていただきたい。
青森慈恵会病院の病床数(厚労省の配布資料から)全病床数が332床ありまして、そのうち一般病床が40床で約12%になっています。それ以外はほとんど緩和ケアを除いて療養型の病床になります。中でも、回復期リハビリテーションが144床と、かなり多くありまして、平均在院日数が約3か月ぐらい、70日から120日の間で推移しております。
医療保険病床数 332床
一般 40床(12.0%)
療養 36床(10.8%)
精神 82床(24.7%)
回復期リハビリテーション 144床 (43.4%)
亜急性期 8床(2.4%)
緩和ケア 22床(6.6%)
回復期の病床、認知症の病床もあるんですが、そういった病床の中で、平均在院日数が長くなった場合に、高齢者の方は肺炎になってしまったり、入院中に転倒して骨折して受傷することがありまして、40床しかない一般病棟ですが、そちらのほうに再転棟の割合がちょっと増加してしまったものと考えております。以上です。
▼ 同院のホームページによると、332床の内訳は、一般病棟(48床(亜急性期病床8床))、緩和ケア病棟(22床)、回復期リハビリテーション病棟(48床3単位)、療養病棟(36床)、認知症病棟(40床、42床)。施設基準は、一般病棟入院基本料(10対1)、回復期リハビリテーション病棟入院料1、重症患者加算、緩和ケア病棟入院料、療養病棟入院基本料、地域連携診療計画退院時指導料(大腿骨頸部骨折、脳卒中)など。
[西岡分科会長]
ありがとうございました。では、ご質問をお願いします。どうぞ、熊本委員。
[熊本一朗委員(鹿児島大医療情報管理学教授)]
(平成)19年度から準備病院で、20年度からDPC対象病院になって、再転棟率が19年や20年、21年とどう変動しているか教えていただきたい。それから、DPC算定病床数も年度ごとに変化していると思うが、その辺りも教えていただきたい。
[青森慈恵会病院・丹野院長]
21年度からDPCになったのですが、(急性期の患者を受け入れる一般)病床数は40床のままです。
再転棟率に関しては、新任のドクターが来られた場合に、今まで「一般病床」が出来高の算定だったので、検査するにしても、ちょっとした疾患に関してもすべて「一般病床」に移行していただいたという非常にありがたい話だったのですが、そういうことも含めて再転棟率がちょっと高くなったような気がします。最近はそういうことをなくすようにしています。
ただ、どうしても(回復期リハビリテーション病棟などに)高齢者の割合が......、長く(入院して)いる患者さんの割合が多いので、どうしても骨折とか肺炎とか、そういったものを患う率はそれほど下がっておりませんし、再転棟率に関しても、(DPC準備病院の時と対象病院になった後を比較して)それほど大きな変化はないと考えています。
[熊本委員(鹿児島大教授)]
ご指摘のように、確かに高齢者がいればそういうことが発生してくるというのは理解するが、(委員だけに配布された)ちょっと詳細なデータを見ると......。
脳梗塞でよく見てみたのですが、多くは急性期というよりもリハ(ビリテーション)目的で入った方が急性期の「一般病床」にいらっしゃって、それから回復期(リハビリテーション病棟)に移られるというパターンかと思ったのですが......。
(再転棟率を判断する場合)急性期(の患者を受け入れる一般病床)なら、「退院基準がどうなのか」という思いを持つのですが、リハ目的で(一般病床に)来られた方であれば、再入院の転帰もしくは医療資源のところで、(同院のデータによると)肺炎ならば分かるが、がんの治療をしたり検査をしたりしているようだが......、詳しい資料では......。
(声を強めて)2回目の入院の医療資源を投入した量が、1回目(の入院)とちょっと異なっているんじゃないかという気がしたが、その点はいかがだろうか?
[青森慈恵会病院・丹野院長]
脳梗塞の患者さんは、「一般病床」を経由しないで、そのままダイレクトに回復期(リハ病棟)に入院するケースがほとんどです。MRIなど全身の検査は一通り回復期病棟で行って、そこで例えば、肺炎や骨折などがあれば再転棟ということを考えている。
もちろん、(一般病床が)40床と少ないので、紹介された患者さんを受けるということがなかなかできなくて......、今のところそのような状況です。
[熊本委員(鹿児島大教授)]
そうしますと、1回目の入院は「一般病床」の......、急性期のDPC算定病床と思っているのですが......。
[青森慈恵会病院・丹野院長]
必ずしもそうではない。ほとんどが回復期(リハ病棟)にダイレクトに......。
[熊本委員(鹿児島大教授)]
ただ、今回(再転棟に関する)20例近くの詳細なデータが(委員に配布された資料に)出ていますが、これはDPC病棟(一般病床)に入って、回復期に移って、そこでいろいろ起こって、また「一般病床」に戻ったのかなと思ったものですから、その時の医療資源を(最も多く)投入した病名が(入院)1回目と(転棟後の)2回目で異なっているように思ったものですから、ご質問させていただいた。
[青森慈恵会病院・丹野院長]
すみません、確かにピックアップしたものは、もしかしたら直接「一般病床」に入って回復期に流れた患者さんが、もう一度そちら(一般病床)に戻られたケースだと思います。
ただ、多くの場合は、ほとんど回復期(リハ病棟)にダイレクトで入っている形になっています。
▼ 熊本委員の質問は、ケアミックス型病院の典型的なベッドコントロールをあえて暴露するという意味を持つ。事務局(保険局医療課)のシナリオ通りだろう。
[西岡分科会長]
1回目の医療資源を最も投入した傷病名というのが......、今のお話では、1回目も2回目も、お話の内容とちょっと違う。例えば、肺炎を起こしたりとか、骨折とか......。
脳梗塞の人は脳梗塞でずっといってしまうというところに、DPCのコーディングのところで問題が出てくるような気がするのですが、その辺りはいかがでしょうか。
[青森慈恵会病院・丹野院長]
今現在は、例えば肺炎でDPC(算定病床)に行った場合は、 (寝たきりなどで全身の機能が低下する)廃用症候(群)ということで、違うコーディングをしてまた戻るようにしている。
(DPC調査でデータを提出した)この時はまだ、(DPCを)やり始めの時期で、ちょっと統一できていなかった部分と思います。(中略)
【目次】
P2 → 「脳梗塞の患者は、ダイレクトに回復期に入院」 ─ 丹野院長
P3 → 「我々としては非常に引っかかる」 ─ 小山分科会長代理