ケアマネ研修への補助金「国の予算要求を半額に」―事業仕分けWG
「事業仕分」を行う行政刷新会議のワーキンググループは16日、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格取得後の研修について、国が都道府県への補助金として概算要求している3億5千万円を半額にするよう求める結論をまとめた。財務省側は、予算執行率が低いことや研修受講料が都道府県によって0円~6万円とばらつきがあることなどを問題視し、「何に対する補助なのか基準が不明確」と主張。ケアマネジャーは5年ごとの免許更新の際に研修を受けねばならず、都道府県は今後も研修の実施を続けねばならないため、予算が削減された場合に都道府県の財政負担が悪化して現場に影響することを懸念する専門家もいる。(熊田梨恵)
ケアマネジャーは2006年度の介護保険法改正で5年ごとの更新制となり、現場で働くケアマネは更新期限が来る前に都道府県が実施する専門研修を受講しなければならない。また、都道府県は資格取得後1年未満のケアマネジャーや、地域包括支援センターなどで働く「主任介護支援専門員」になるための研修も実施している。ただ、これらの研修の内容について現場のケアマネジャーからは、「研修の中身が面白くない」「現場に人が足りないので、研修のための時間を割けない」などといった声が聞かれている。
厚生労働省はこの研修を実施する都道府県への補助として、来年度予算の概算要求で「介護支援専門員資質向上事業」という名称で3億5千万円を計上。今回の事業仕分けの俎上に乗った。
財務省側は予算執行について「2億円程度の不要が発生している」と、執行状況が低調であると指摘。厚生労働省側が用意した資料によると、2006、07年度の予算執行率はそれぞれ50.6%、47.8%だった。また、都道府県によって受講料の設定が0円から6万円と差があるとして、「国の予算補助事業としては、何に対する補助なのか基準が不明確」と示した。
WGの仕分け人は受講料のばらつきや、研修内容が現場に即したものになっていないことなどを指摘。最終的に予算を半額にするよう結論付けた。WGを取りまとめた民主党の菊田真紀子衆院議員は、「国が補助金を出しながら都道府県、個人によって受講料の負担に大きな差があるというのはあまりにも不合理だという意見。特に多く出された意見が、時間を含めてとにかく役に立つ魅力ある研修を行うべきだという意見が多数出された」と述べた。
ただ、今回の議論では同じ老健局が実施している、地域包括支援センターの職員や特養でユニットケアを行うスタッフへの研修への補助事業としての「介護サービス適正実施指導事業」も同時に議論されていたため、意見交換が混乱する場面もあった。ケアマネジャーの更新研修は義務付けられており、都道府県は継続して実施していかねばならないため、もし予算が削減された場合、都道府県側の財政負担が大きくなる懸念もある。
厚生労働省の検討会などで委員を務め、ケアマネジャーとして現場で働いた経験もある結城康博淑徳大准教授は、「自分も研修の講師をしたことがあるので、研修の内容については仕分け人が指摘する通り。でも、ケアマネの研修については『お金がないからやらない』というわけにはいかないので、予算が削られるのは困るのでは」と話している。
議論の内容は後ほどお伝えする。
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