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患者を支える3

社団 日本リウマチ友の会
*このコーナーでは、様々な疾患の患者団体や患者会がどのように患者さんを支えているのか、ご紹介していきます。

 リウマチは今でも完治の難しい病気ですが、50年前は、診てくれる医師も少なく、多くの患者さんが適切な治療を受けられないまま寝たきりになる悲惨な状況でした。そんな中、当時国内リウマチ治療の中心的施設だった静岡県の国立伊東温泉病院(現・市立伊東市民病院)で入院治療を受けた152人が、病気と上手に付き合っていくために正しい知識を身につけ互いに励まし合おうと1960年に患者会を作りました。
 これが、今回ご紹介する「日本リウマチ友の会」です。現存する全国的な患者会としては最も古く、誕生から49年経った現在は全47都道府県に支部があり、会員数も2万人にのぼります。うち2千人は医療従事者で、会の活動を様々な面から支えています。
 その活動は実に活発で、記憶に新しいところでは、07年に厚生労働省が標榜科(08年9月号参照)を臓器名ごとへと整理しようとした際、「リウマチ科の名を消すな」と署名活動を展開して撤回させました。リウマチ科の標榜自体も、どこで治療してもらえるか分からず患者が転々とする状況を何とかしたい、と同会が30年以上にわたる運動を繰り広げた結果として、96年の医療法改正でようやく認められたものでした。
 02年にも欧米では使われているのに国内承認されていなかった新しいタイプの薬「生物学的製剤」の承認を求める署名活動を展開し、翌年から使えるようになったということもありました。
 現在は、生物学的製剤が高価で、使う必要があっても使えない患者がいるため、真に必要性のある患者を科学的に検出する診断基準を作成して、そのような患者への使用には公的助成が得られるようにすることをめざしているそうです。
 これだけの活動、どうやっているのだろうと、東京はJR神田駅そばの本部事務所を訪ねてみました。ドアを開けると、10人ほどの女性が黙々と仕事をしていて、何かの編集部と言っても通用する感じです。聴けば、健常者の専従事務局員が9人いて、その他に患者である会長や副会長、理事たちが詰めているとのこと。圧倒されかけていると、机にうず高く積まれた書類の後ろから、長谷川三枝子会長が顔を覗かせてくれました。

1万人規模の疫学調査まで

 長谷川会長は言います。「政治的に動きたくてやっているんじゃありません。行政が国民のことを考えて行動してくれれば必要ないのに、患者自ら声を上げないといけないのが現状です」
 実は、会員をはじめとする患者さんへの情報提供だけでも大変な作業量です。
 具体的には、多くの患者支援団体が行っているのと同様の相談業務や講演会開催などの他に、異動の多い勤務医の実情に合わせ、どこに行けば専門医がいるかという医師・医療関係者名簿を毎年発行しています。
 さらに圧巻なのは、5年に1回発行している『リウマチ白書』。会員を対象に1万人規模の実態調査を行って作成しています。国が行う調査をはるかに上回り、国内で最も信頼のおけるリウマチの疫学資料として学会などでも用いられています。
 「医療者が、いい意味で育ててくれたんですね。ボランティア的に情報発信してくださるだけでなく、患者の倍の会費まで払ってくださっています」。素晴らしい活動ですねと言ったら、長谷川会長は微笑みました。
 こんな会にも悩みがあります。根源的なものは、徐々に会員が減ってピーク時より2千人ほど少なくなっていること。亡くなったり、高齢化して会費が払えなくなる方のいる一方で、入会者数が減っています。非会員からの電話相談件数や講演会の聴講者数が減っているわけではないのですが、「時代の流れでしょうか。情報をタダで手に入れるのが当たり前という方が増えて」と長谷川会長、少しさびしそうです。
 また、昨年から始まった公益法人改革によって、「一般社団法人」か、「公益法人」かの選択も迫られています。活動実績からすれば公益を推進している法人以外の何者でもないと思われるのですが、定款の作り直しや決算の厳格化など、素人には高いハードルが待ち構えています。
 「自分たちの会費で、これだけの活動をしているのに、天下りが大勢いて補助金をいっぱいもらっているような団体と同じに扱われて、もし公益法人になれないとしたら悔しいです」。長谷川会長のため息が印象的でした。

会の活動  年会費は患者・家族が4千円、医療・福祉関係者が8千円。機関紙「流」を年最低5回発行し、総会・大会を年1回開催。他にも各支部が専門医の講演やシンポジウム、会員の体験発表、リウマチの写真展などを開催している。  本部では、患者自身が記録をつけて体調管理に役立てることのできる『リウマチ手帳』を2年に一度、無料配布している。さらに5年に1回、『リウマチ白書』を発行している。また、専門医を紹介したり、電話相談を受けたり、生活の助けとなる「自助具」の研究・紹介・頒布なども行っている。  同会の連絡先は、Tel 03-3258-6565
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