中身すり替え? |
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投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2017年01月19日 00:00 |
偽ハーボニー事件について、もう1回書く。
毎日新聞の報道によれば
偽造品が入ったボトルは正規品で、流通過程で中身がすり替えられていたとみられ、全国に出回っている可能性がある。
5本のボトルはすべて正規品で、ラベルも偽造した1枚を除く4枚が製造番号が記された正規のものだった。同社は「製造ラインでは起こり得ない事態」とし、流通過程で誰かが中身だけすり替えた可能性があるとみている。
らしい。私は、製造番号なしの正規のボトルが使われたと思い込んでいたので、とんでもなく大きな犯罪と思っていたのだが、実は意外と家内工業的な小規模犯罪という気もしてきた。
というのも、真正品の中身だけ「すり替え」て儲けるためには、正規の中身も誰かに売り付けないといけないからだ。本物かどうかも有効期限内かも分からないパッケージなしの錠剤に大金を払うなんて普通は考えられない。日本の健康保険を持っている患者なら、月約2万円の自己負担でパッケージ付の正規品を手に入れられるということを考えると、ほとんどあり得ない話ではなかろうか。
という風に考えてみると、服用の終わった患者から空きボトルを回収して「再生産」したと見る方が素直でないか。で、ボトルの供給元である患者は1人最高3本しか持ってないはずだから、そう「大量生産」もできなかろう。中身が4種類あるというのも、その場にあったもので間に合わせたからと解釈できないこともない。
と、このように意外とショボイかもと書いたことによって誤解されたら困るので念のために書いておくと、誰が作った偽造薬にせよ、薬局と薬局へ卸した業者は絶対に免責されない。彼らが扱わなければ、こんな犯罪、成立しようがないのだ。薬を扱って公的保険から禄を食んでいる以上、真正品を提供する義務がある。明らかに怪しい商品を扱った以上、ババを引いてしまった結果の責任を問われて当然だ。この責任を問わなかったら、真面目にやっている人たちが救われない。
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コメント
偽薬と表記するとプラシーボの意味になるので、偽造薬などの表記の方がいいのでは?
林様
ご指摘ありがとうございます。ごもっともです。直しておきます。
1ボトルの薬価が180万円ですから、家内工業でも利益を上げて逃げ去ることができます。高すぎる薬価が招いたといってもいい。
正規のボトルを横流しした関係者乃至患者が確実にいます。現金問屋(バッタ屋)とそこから史家れた薬局だけでなく、ボトルを流した人間の罪も軽く考えることはできません。
感情的な医者様
コメントありがとうございます。
確かにご指摘の通りなんですが、失うものと得るものの重みを天秤にかけてみると、不届きな患者を根絶するのは不可能に思えます。
一定程度の不届き者は存在する前提で、失うものの大きいプロが最後の関門にならないといけないんじゃないかと考えます。
よって、不始末をしたプロには大事なものを「失って」もらう必要があります。