病児保育の思わぬ落とし穴、「隔離室対応」

投稿者: 熊田梨恵 | 投稿日時: 2017年07月06日 15:47

今年2月、保育園に通う1歳半の息子がインフルエンザB型とRSウィルスによる風邪に次々とかかり、ほとんど家で面倒を見ていた時期があった。

RSウィルスによる風邪は医師に「喘息性気管支炎と胃腸炎」と説明され、家で機械を使って朝晩吸入したりと、なかなか重装備なケアが必要で大変だった。
 
 
 
その頃育児休暇中だった私と夫は、日中に仕事復帰に向けて色々と仕事や作業をするようになっていて、どうしても二人とも息子を家では見られない、という数日があった。

そこで、何かあった時にはとあらかじめ病児保育の利用を考え、事前登録も早々と済ませていた。

しかし実際はなかなかスムーズにはいかなかった。

 
 
 
2月初めに息子がインフルエンザB型にかかった時は、私と夫が家で対応できたのでなんとかなった。

しかしようやくインフルエンザが治り、症状も落ち着いて保育園に数日通った頃、また風邪をひき始めた。

息子の最初の主な症状は鼻水、少しの咳。随分鼻水が出るので耳鼻咽喉科に連れて行った。

鼻水を抑える薬、咳止めなどを処方してもらった。

3日ほどすると熱が少し高くなり始めた。

夫婦共に仕事がある日の前日、「病児保育を使おうか」と二人で相談した。

私がいた兵庫県豊岡市にあった病児保育は医療機関併設ではなかったので、病児保育を利用する際、事前に主治医から「医師連絡票」をもらうことが必要だった。

医師連絡票は診断書のようなもので、病児保育をする際に看護師や保育士が参考にする「安静度」「食べ物」「薬」「注意事項」「備考」などの欄があった。

病児保育利用はこんな流れ(豊岡市の病児保育の場合)

①病児保育を実施している保育園に連絡し、受け入れの空きがあるかを電話で確認する

②空きがあって入れそうなら医療機関を受診、主治医に「医師連絡票」を書いてもらう

③連絡票を持って病児保育に行き、子どもを預ける

病児保育には定員があるため、預けたいときにいつでも預けられるというわけではない。

また、ある日の朝に「熱がある!」となっても、医療機関の受診が必要だし、もちろん保護者の付き添いが必要なので、預けられるのはお昼頃だったりする。
(医療機関併設の病児保育で、預かりと同時に診察も一緒にしてもらえたりするところもある)

細々としたことをクリアして、ようやく預けられるわけだ。

もちろん同じ症状で続けて利用する場合は前日予約もできる。


私は前日の夕方に病児保育をしている保育園に電話し、症状を告げると「空きはある」ということだった。スタッフの方もとても丁寧に電話対応してくださったので安心した。

そして通っていた耳鼻咽喉科にネットから朝一番の診察予約を入れた。

よかった預けられそうだ、と思ったその晩、息子は38.8℃の高熱を出した。

病児保育を考えておいてよかったと思いながら、私は夜中に頻繁に起きての看病にクタクタになった。


翌朝、通っている保育園に体調不良で休むことを連絡。

予約していた耳鼻咽喉科に一番で入り、診察を受けた。

すぐに意見書を書いてもらい、そのまま急いで病児保育に預け、私と夫は仕事に戻れるはずだった。
 
 
しかし。
 
  
夜中に38℃以上の熱があったということで、インフルエンザの検査(まだA型には罹患していなかったので)をすることになったのだ。

結果は陰性。

それについてはほっとした。

しかし、インフルエンザの検査は熱が出てから短時間だと検査に反応しない場合があるとして、今はまだ陰性かもしれないと説明された。

診察の最後に医師連絡票の記入をお願いし、主治医は書いてくれた。

そして会計後に意見書を受け取った。

医師連絡票、1,000円。


薬局で処方してもらっている間、「これで病児保育に預けられる~」となんとなくほっとしながら、私はふと意見書を見た。

「安静度」の欄に目が行った。

三択になっていた。

①隔離室で隔離 ②室内安静 ③室内保育

この「①隔離室で隔離」に〇がついていたのだ。

備考欄を見てみると、「インフルエンザ検査をしたがまだ反応が出ていない可能性があるため、念のために隔離室で見てほしい」という旨が書かれていた。

ちょっと待てよ、確か病児保育は2部屋で4人定員だったはずだ。隔離室だとすると、1人で1部屋ということになる。電話では1人空いているというような話だったので、それだと入れないんじゃないの!?

私は慌てて病児保育に電話をした。

そしてそのことを告げると、相談して折り返すので待ってほしいと言われ、私は薬局で電話を待っていた。


しばらくしてかかってきた。

病児保育を利用中のお子さんが2人いて、1人はインフルエンザA型で2部屋のうち1部屋を使っていて、もう1人が一般的な風邪として残る1部屋に入っているということだった。

息子がインフルエンザA型であるか否かが分かっていればどちらかの部屋に入れたのだが、検査結果が不明だったので、どちらにも入ることができない、ということだった。

私としては、「なんだよそれ~(涙)」だった。

定員に空きはあるのに、部屋数の問題で入れないとは。

そんな落とし穴があったとは・・・。

それならいっそ検査結果そのままに「インフルエンザではない」と書いてもらいたかったが、主治医としては発熱から短時間だったこともあり、それで感染が広がったということになってはならないので「隔離室で隔離」なのだろう。

病児保育のスタッフの方も、とても申し訳なさそうにしておられた。スタッフの方が悪いわけではないことなので、逆にこちらが恐縮してしまうぐらいだった。

しかし、昨日から色々事前に考えて頑張って夜中も看病してるのに、結果預けられないとは・・・。

私と夫は薬局の駐車場でがっくりと来ていた。

結局その日は、息子の面倒を見つつ夫は仕事の相手に連絡をしたり、私も日中の仕事や作業の調整をし直さなければいけないことになった。

まだ本格的に復帰する前だから何とかなったが、絶対に外せない仕事の時にこんなことになったらどうするんだろうと思った。

しかもインフルエンザが流行するこの時期、検査で結果が出ていない疑いがあるとして隔離室対応とされたら、1人で1部屋ということになるのだから、入れない可能性の方が増える。

病児保育側としても部屋数や定員を多くするというのも運営上難しいのだろうし。

なんとも難しい問題だなあ…と考えた。

病児保育への連絡や医療機関への受診がスムーズにいくように段取りをしていたとしても、そう簡単にはいかないんだなあ・・・と思った。


つづく


(ある地域での個人的な経験を書いています。すべての地域の病児保育に当てはまる話ではありません)

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