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(速報)日赤医療センターにも是正勧告

 東京都渋谷区の日赤医療センター(幕内雅敏院長)が、渋谷労働基準監督署から、36協定を締結していないことなどを理由に、労働基準法違反で是正勧告を受けていたことが分かった。同センターは、心臓病など緊急の救命処置が必要な妊婦を必ず受け入れることを目的に、東京都から指定を受けた3つの「スーパー総合周産期センター」の1つで、今月25日からスタートしたところだ。愛育病院が是正勧告を受けたことに続き、全国的にも注目を集めている「スーパーセンター」にも同様の指摘が入ったことで、都の周産期医療体制の維持を危ぶむ声も上がっている。(熊田梨恵)

 同センターは今月13日、36協定を締結していなかったことや職員の休憩時間が短かったこと、昨年10月に研修医の宿直業務について時間外労働時間に対する割増賃金を払っていなかったことの3点について労基署から指摘を受けており、改善を求められていた。同センターはこの指摘について、36協定については職員代表と既に合意できているとして4月中に締結し、休憩時間についても就業規則を改定して対応するとしている。また、研修医の時間外労働時間の割増賃金については4月の給料日に振込みを予定しているという。労基署への改善報告の期日は特に指定されていないが、病院側の対応が整い次第順次報告し、4月半ばには対応を終えるとしている。
 今回の是正勧告については、「『スーパー総合』が始まるのに、労基法を遵守できるような体制が取れるのか」と危惧を示す病院関係者もいるものの、同センターの竹下修管理局長は、「今回の勧告についてはすべて対応できる。(同センターに)医師が多過ぎるということはないが、潤沢に働いていただいていると思うので、『スーパー総合周産期センター』としてやっていくことに、今回の件が影響するとは思わない」と話している。同院の産科医は研修医を含めて24人。
 
 「スーパー総合周産期センター」は、国内で相次いだ妊婦の救急受け入れ不能問題の解消を図るために東京都が今月25日から始めたシステム。脳や心臓に重篤な疾患があるなど緊急の救命処置が必要な妊婦に限定して、指定を受けた3つの総合周産期母子医療センターが輪番を敷き、24時間体制で受け入れる。地域の周産期医療ネットワークでの受け入れが難しい場合、かかりつけ医などが東京消防庁を通じて受け入れを要請する仕組みだ。同センターのほか、昭和大病院(品川区)、日大医学部附属板橋病院(板橋区)が指定を受けており、全国の医療関係者から注目を集めている。
 稼動初日となった25日は、日赤医療センターが午前9時から翌朝9時までを受け持った。「スーパー総合周産期センター」の受け入れに該当する搬送ケースはなかったという。

 日赤医療センターは、総合周産期母子医療センターの指定を受けており、年間分娩件数は約2500件。総病床数は733床で、このうち新生児集中治療管理室(NICU)は12床、母体・胎児集中治療室(MFICU)は6床。
 

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