厚労省の補正予算案、4兆6700億円
厚労省は、政府の経済危機対策を反映した2009年度補正予算案の同省所管分として、4兆6718億円を計上した。今回の柱は雇用対策で、半分以上の2兆5128億円が充てられている。(熊田梨恵)
09年度補正予算案は政府・与党が4月10日にまとめた経済危機対策が元になっており、来週中にも閣議決定を経て国会に提出される予定。一般会計では、補正総額の13兆9300億円の約4分の1を占める3兆4151億円を計上した。
厚労省は予算案の3本柱に、▽雇用対策▽健康長寿・子育て▽安全・安心の確保―を据えた。今回は雇用対策が中心で、職業訓練や再就職支援などを行う「緊急人材育成・就職支援基金(仮称)」の設置や、失業給付費の確保などに充てられている。
医療関係では、「地域医療・医療新技術」に7684億円を計上しており、地域医療再生に向けた総合的な対策として3100億円を充てた。医師派遣機能強化やNICU増床、メディカルクラーク増員など、地域医療の改善に取り組む医療機関に対して財政支援する「地域医療再生基金(仮称)」を都道府県に設置する(別記事参照)。
国立がんセンターや国立循環器病センターなど先端医療機器や施設の整備に356億円を充てる。災害拠点病院の耐震化のための建て替え工事費の一部助成などには1741億円を計上した。
がんや小児などの分野の未承認薬開発支援、審査の迅速化として、797億円を計上。医薬品医療機器総合機構の審査員を増員して国内未承認薬などの審査期間を12か月から6か月に短縮する体制の新設、分野ごとに治験が一元管理できるような体制の整備などを進める。
このほかには、約半年で国民全員分の新型インフルエンザワクチンを生産できる体制を構築するなどの新型インフルエンザ対応(1279億円)。レセプトのオンライン請求を行う医療機関や薬局に対する設備投資(291億円)。がん対策推進として、子宮頸がんや乳がん検診の無料クーポンの配布など(216億円)。現在は医療費助成の対象になっていないミトコンドリア病や肥大型心筋症など11の難病疾患を医療費助成の対象にする(29億円)など。
■介護職の賃金改善など約4000億円
介護分野では、介護職の処遇改善と介護拠点整備に8443億円を提示。介護職の賃金など処遇を改善する事業所に対して交付金を支給する「介護職員処遇改善交付金(仮称)」設置に3975億円(別記事参照)を充てる。また、地域で足りない特別養護老人ホームや老人保健施設、グループホームなど介護施設の整備や、消防法の改正によって対応が必要になった施設に対するスプリンクラーの整備促進など、介護拠点整備として2495億円を提示。介護福祉士などの資格を持ちながら離職している人への職業訓練など、介護職のキャリアアップなどに98億円を計上している。