重症の小児患者、「助かる命が救えない」
「助かる命が救えない」―。先進14か国の中で、1-4歳の幼児死亡率が米国に次いでワースト2位の日本。今年3月末現在、重症の救急患者を受け入れる214か所の「救命救急センター」のうち、小児救急の専門病床があるのは、わずか6か所(19床)。厚生労働省は、「小児救命救急センター」(仮称)を全国に整備して、小児救急の「集約化・重点化」を進めたい考えだが、課題は山積している。(新井裕充)
厚生労働省は4月23日、「重篤な小児患者に対する救急医療体制の検討会」(座長=中澤誠、総合南東北病院小児・生涯心臓疾患研究所長)の第3回会合を開き、「新しい救急医療体系図(案)」などを示した。
それによると、成人・幼児を問わず重症の患者を24時間受け入れる「救命救急センター」の隣に、「新規」として「小児救命救急センター(仮称)」が配置されている。
厚労省案に対して、委員からは「小児の専門病院など、現有の医療資源をうまく活用していくことが大切だ」「実際に何人の医師がいるかを考えないと現実化しない」などの声が上がった。
日本小児科学会で小児救急委員長を務める中澤座長は、「救命救急センター」と「小児救命救急センター(仮称)」が並んで描かれたイメージ図について、「(両者を)オーバーラップして描けばよかった」と苦言を呈した。
他の委員からも、「亡くなる小児をいかに助けるかが目標だ」「現在の救命救急センターに、小児の専門病床を設置することを進めることも必要」など、厚労省医政局が進める「救急医療の拠点化」にくぎを刺す意見が出された。