介護報酬改定の基礎調査、把握方法変更へ
ただ、介護保険サービスについては、企業や法人など設置主体によって勘定科目が違ったり、多くの事業所を持ってサービスを複合的に提供している事業所があったりするなど、決算書は個々に特徴がある。また、休日や人員配置などの運用も各法人、事業所、サービスなどによって細かい部分で異なっており、報酬改定にかかわる部分のみを決算書から抜き取ることは難しく、今度は事務局側の負担が増えることも予想される。
都内で介護サービス事業の経営にかかわっていた男性は、「確かに決算書を提出できるようになれば、事業所側には楽になる。ただ、有料老人ホームや特養など"箱もの"の会計から介護保険にかかわる分だけを抜き出すのは難しいのでは」と指摘する。例えば、有料老人ホームで特定施設入居者生活介護を提供している場合、決算書では基本的に介護サービス費と食費などのホテルコストを分離していないという。
次回の介護報酬改定の基礎データとなるだけに、調査方法が変わっても、現場の実情に沿った報酬改定につながるよう精度を保つ事が求められる。会合終了後、「事業所の間で細かい運用が違うので、決算書を見ても、数字から見えない部分に漏れが出てくる気がする。決算書が目的外使用されないか心配」と懸念を示す法人経営者もいた。
事務局は、具体的な調査の方法などは今後議論し、来年度の予算要求も見据えて、年度末までに詳細を詰めるとしている。
今回の介護給付費分科会調査実施委員会で、概況調査に関する委員と事務局の発言趣旨を紹介する。