介護職の処遇実態調査、10月実施を決定-厚労省
厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=大森彌・東大名誉教授)は6月24日に今年度の初会合を開催し、2009年度介護報酬改定の影響を調べる介護職員の処遇状況調査を10月に実施することを了承した。委員からの要望を受け、居宅介護支援事業所も対象にする方向で進めるとした。(熊田梨恵)
2009年度介護報酬改定は介護職員の処遇を改善することを狙いに、3.0%のプラス改定となった。当初、この改定によって介護職員の賃金の約2万円アップが見込まれていたが、一律の報酬額アップではなく、介護職員の手厚い配置など、質の高いケアや業務負担が多い施設に対する「加算」という形の対応が主軸となったため、この加算が取れたか否かで事業所の報酬額が異なっている。このため、実際は運転資金に回されて処遇改善に至っていないとの声もあり、同分科会は現場への実際の影響を調査することを決めていた。これを受けて同分科会の田中滋委員(慶応義塾大大学院教授)が委員長を務める調査実施委員会が検討を進めてきた。
この日の分科会で、田中委員が委員会で決めた項目について報告。▽特別養護老人ホーム▽介護老人保健施設▽介護療養型医療施設▽訪問介護▽通所介護▽グループホーム-の6サービスを対象に、改定前後の給与額の変化や手当てなどの有無、福利厚生などの処遇状況、加算の取得状況などについて、事業所と職員個人のそれぞれに調査するとした。調査対象の職種は、▽介護職員▽看護職員▽生活相談員(支援相談員)▽介護支援専門員▽理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などリハビリスタッフ―で、介護サービスに従事する職員約125万人(常勤換算、事務職員除く)の、約7割をカバーできるとしている。10月に調査を実施して年明けに分析し、4月以降に同分科会に報告するとした。
報告内容について委員は大筋で了承。ただ、木村隆次委員(日本介護支援専門員協会、日本薬剤師会常務理事)が、居宅介護支援事業所が調査対象から外れていることについて、「施設勤務の介護支援専門員の処遇改善状況を見ることになり、事業所(独立型の居宅介護支援事業所)勤務の処遇改善状況を見るのではないのではないか」と意見したことなどから、居宅介護支援事業所も調査対象に含める方向になった。調査実施委員会ではケアマネジャーの9割が併設型事業所で働いているため、ケアマネジャーを調査対象の「職種」に含めれば併設元の事業所に対する調査で把握できるとして、居宅介護支援事業所を調査対象から外していた。