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「企業との癒着断つのが大前提」 薬害検証委インタビュー②


――非公務員型より公務員型の方が、企業と切り離されているということですか。

 PMDAは、製薬業界と連携してゆきたいというようなことを言います。一部の専門業務について、大学にゼミもなくて人材確保が大変だ、優秀な人材は企業にいるから彼らの能力を生かしたいと言うのです。だけれど、そんなことは発足した5年も前から分かっていたのに、人材育成に最大限の努力をしてこなかったし結果を出せなかっただけのことじゃないですか。

 もし、そんなに民間と人事交流したいなら、どの薬に誰がどうやって関わったかオープンにすべきだと思います。でもそういう提案をすると、オープンにしたら個人へのアプローチが行われるからダメだと言う。やっぱり働きかけがあるんだって語るに落ちている。怪しい、危うい感じがします。

 そもそも企業と患者とでは、根本的に薬に関わる目的が違います。企業は究極は金儲けのためですから、皆が同じ方向・同じ目的でできるかといったらできない。企業の利益や発展がイコール国益であるというような考え方になると問題が起きる可能性は高くなります。

 既に癒着の起こりそうな前兆として、審査料によってPMDAの審査システムが左右されるという問題も出てきています。審査料というのは大学の受験料のようなもので、払うのは当然であって、お金を出してるからといって、受験生の方が大学に対して早くしろとか問題を事前に教えろとか言いませんよね。でも、薬の審査ではそういう類のことを企業側が要望しているのです。このまま流れが進むと、PMDAがお金を出す側を向いて仕事をするようなことが起きるのではないかと心配です。

 審査官経験のある方たちは、専門家は余計なことを考えず誠実にやっていると言いますけれど、何か問題が起こった時にPMDAが独自に見解を出すようなことはなくて、必ず行政と相談して、口を開くのは厚労省です。行政と相談してからしか見解を出せないなら、余計なことを考えているのと同じです。タミフルの大部分が日本で消費されていた問題とか、薬に関してあれ? と思うようなことを、今までPMDAは国民に対して積極的に教えてくれてないですよ。

 現状しょせん国の一部に過ぎないわけです。じゃあ、なぜ公務員じゃないかと言えば単純に公務員定数の問題でしょう。薬害を反省して切り離したわけではない。そのまま国に戻して、企業との結び付きを切った方がまだよいと思います。

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