「企業との癒着断つのが大前提」 薬害検証委インタビュー②
薬害肝炎検証委員会委員インタビューの第2弾。薬害サリドマイド被害者でPMDA運営評議会委員も務める間宮清氏に聴いた。(川口恭)
――組織の話が始まりましたよね。
組織の話には皆興味があって、ついついそっちに話が行っちゃうんですけれど、その組織で何をするのかということは私たちも疑問に思っています。昨年夏の中間とりまとめの時にも、PMDAを300人増員するんだ認めてくれと言われて、増やして安全対策に何をするのかと質問したら、具体的な新しい取り組みはとくになく、中間とりまとめの時に突然出てきたのがファーマコゲノミクスです。あれは将来活用できるかもしれないものの準備ということであって、安全対策に直結する話ではない。そこを指摘しても、納得のいく回答はありませんでした。
そもそも我々は、PMDAのように医薬品行政部門を独立行政法人化して非公務員型にすること自体に反対してきました。なぜならば、国民の生命や健康を守る仕事は、当然に国が責任を負うべきことであり、非公務員型では何かあった時に責任取れるのか心配だからです。それが、何をするのかも不明確なままPMDAの人数だけ増えていく。問題だと思います。
前回検討会で出されたペーパーも乱暴だと思いました。組織の形によって、国の賠償責任が変わるなんて議論は全くありませんでした。大臣が責任を負うと言っている以上、国家賠償の対象になるに決まっている。考える余地すらなかったのに、○△で出されて何だこりゃという感じです。そんな議論になるんであれば、いったん白紙に戻せと言いたいです。
――公務員型にこだわる理由が、今ひとつ分からないのですか。
過去の薬害は、問題が指摘された時に、まず企業が否定して売り続けて被害が拡大する。国も企業を守るようなことを言って販売中止や回収などの対処が遅れる、そういうものばかりでした。国と企業が癒着すると、薬害の起きる可能性が高まると思っています。だから、まず医薬品行政に企業の意思が入りこまないようにすること、これが大切です。