本当に最終提言できるの? 薬害肝炎検討会
厚生労働省の『薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会』第22回会合が8日開かれ、次回まとめる最終提言について討議が行われた。予定を1時間近く超えての議論だったが、「監視評価のための第三者組織」設置の部分以外に関しては、各委員が一通り修文案を言うだけで終わってしまい、最終的にどのように整理されるのか見えないままだった。(川口恭)
個々の議論については、そこそこ面白いものもあったので、個人の独断と偏見に従い、つまみ食いで報告する。
【診療明細】
既に中医協で、レセプトの電子請求を行っている保険医療機関に対しては明細書の原則無料発行ということが決まっているが、こちらの検討会でもダメ押しされそうだ。最終提言案の文言は『患者が投薬を含め提供された医療の内容を知ることができるよう、診療明細を患者に発行することを義務づけるべきである。また、記録が保存されるよう、ICカードやレセプトデータベースへの入力等の方法を検討し、推進する必要がある』となっている。
これについて森嶌昭夫座長代理が、なぜこのタイミングで言わねばならないのか理解に苦しむ持論を5分以上にわたって滔滔と述べる。
「私は賛成なんだが、インフォームドコンセントの委員会もやっていたことがあって、その時は日医がカルテにちゃんと書くから法律に書くのは勘弁してくれと言ったので法制化までしなかった経緯がある。それなのに、未だにどういう治療をして、どういう薬を出してというインフォームドコンセントがまだきちんとされていない。私自身、説明されていない。実は患者は診療明細をもらったとしても、私自身が20何年か薬を6種類飲んでいるだけれど、まだ名前を覚えられない。事故が起きてから、こんなものがあると言っても、多分分からない。日ごろからあなたはこういう病気で、薬はこれとこれが可能で副作用はこういうものが考えられるというようにインフォームドされていれば、何かあった時に患者の方からこれじゃないですかと言える。そもそも自分が何を何のために与えられているか分からない患者が、これはおかしいんじゃないかと厚生労働省に通報してくるはじがない。だから予防あるいは早期発見をするためには、インフォームドコンセントを徹底してもらわなければならない。
今回の議論もお医者さんには甘い。お医者さんにもう少しきちんと職業倫理を考えてもらわないといけない。そういうようにすれば添付文書も読んでもらえるだろう。いくら忙しいからといって、それでお金をもらっているんだし、患者の生命がかかってるんだから。法律で強制するかどうかは別にして、診療明細を発行するだけでなく、診療がどういうことでどういう治療をしてどういう薬を使うのか患者さんに十分理解してもらえるように、インフォームドコンセントの中に投薬も含む一環としての診療明細である必要がある。それを医療法の中にもこれからきっちりとと思う。
え? やってる?」
堀内龍也委員(日本病院薬剤師会会長)
「それはもうやってる。病院の基本はインフォームドコンセントすること。医師もやっているし、薬剤に関することは薬剤師が指導するのはデューティーだ」
森嶌
「大病院はそうかもしれないが、日本医師会は違う」
堀内
「すべて医師にやれというのは無理がある。医薬分業で薬剤師がきちんとやっている」
森嶌
「それも存じたうえで申し上げている」
(更新途中)