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ラグ被害者からのヒアリング巡り 鞘当て

 厚労省の『薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会』に対しドラッグラグやワクチンラグに悩む6つの患者団体が連名で緊急要望書を出している問題は、29日に開かれた同検討会で、座長が秋以降にラグ問題についても議論したい意向を示した一方、一部委員は否定的意見を述べた。(川口恭)

 この日の検討会で、寺野彰座長(獨協医科大学学長)が「インターネットなどを見ると、ラグ問題で患者団体から、この検討会への異論に近いものが出されている。これも我々はもちろん検討しなければならないものなので、秋の陣でヒアリングを含めてやっていきたい」と述べた。

 これに対して間宮清委員(前いしずえ事務局長)は「秋の議論の際には、日本におけるドラッグラグの状況を教えていただきたい。どの病気に対して遅れているのか、欧米では既に薬があるのに、日本ではまだないというものを教えていただきたい」と条件つきながら同調した。

 秋以降の議事の進め方に議論が移った段階で、水口真寿美委員(薬害肝炎弁護団)は「ヒアリングばかりしていても仕方ない。もっと議論の時間がほしい。ヒアリングするのでも、第一次提言に対してパブコメを出した人たちから意見を聴くべきでないか。その人たちが厚生労働省に対して厳しい意見を持っているのだから」と、ラグ被害者たちからの意見聴取に否定的な見解を示した。重ねて「もっと早くスケジュールを示してほしい。ヒアリングに呼ぶのも、この人がよいという意見を言いたい」と述べた。

 なお、この日の冒頭に、舛添要一厚生労働大臣が「実質的に選挙期間中だが、この問題には党派を超えてきちんと対応することをお約束したい。どういう立場であっても国会議員は国民の代表だから、こういう国民の生命・健康に関することには全力を注ぎたい。次回、多分私はいないけれど、どうぞお忘れなく」、と「離任」の挨拶をした。

 元々が舛添氏の政治決断で始まった検討会だけに、今後どの程度の影響力を持続し得るかについて、寺野座長も「今後は不透明な部分もある。政治状況を見ながらやれることを粛々とやっていくしかない」と述べた。

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