総選挙直前企画 各党の医療政策を聴く③公明党
(現状とあるべき姿との間にあるギャップをどのように埋めますか)
医療の専門化が進めば進むほど、病院と病院、病院と診療所、医師と医師、医師と他の専門家などについて、患者から見て重複の無い、また切れ目の無い医療の提供が行われる必要があります。そして、その調整を誰が行うかが大きな課題となってきます。
2005年と2050年を比較すると、75歳以上の高齢者が1150万人から2300万人と倍増します。一方で、支える側の15-64歳の生産年齢人口は4500万人に半減します。こうした医療を受ける側の変化と、医療を行う側の変化も考えておかなければいけません。
財政的に見ても、医療費が若者の5倍も必要な高齢者の増加と支える側の脆弱化を考える時、医療の進歩や充実とあいまって、誰がどのように負担するのかを今から検討しておく必要があります。
今一番急がなければならない対策は、医療や介護にかかる自己負担額の上限を設定し直すことです。特に「一般世帯」の中で、年間所得が300万円以下で低所得者に入らない115万円以上の層に着目しています。この層は、月額の医療費を8.1万円プラスαまで負担しなければならない人達で、現実問題として負担が不可能なために治療を受けられない可能性があります。この層について、現在の上限から半額の4万円ぐらいまで下げることを提案しています。
長寿医療制度については、今後も継続して70-74歳は1割負担を継続します。
医師数については、医学部入学数を増やしていますが、当面は増やすことが困難です。このため、医師が行う書類作りを補助員をつけて手助けをさせたり、専門・認定看護師の育成と業務範囲の拡大を認めるなどの対策を検討しています。研修医については、地域ごとに上限を設けて、東京都などに偏ることないようにバランス良く養成をしていきます。
療養病床については、介護施設の増加を見ながら、徐々に削減していくことを考えなければいけません。社会的入院を無くするために削減数を決定しましたが、最近は胃ろう患者や酸素吸入なしに生活のできない患者など、医療と介護の両方が必要な患者が増えていますので、療養病床の新しい必要性も生まれています。削減数の見直しが必要です。