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「俺、この医療機関が嫌いだから、Dにしちゃおう!」

■ 「この委員会が最終的に力を持つことが大切」 ─ 猿田座長
 

[戸山芳昭委員(慶應義塾大教授、整形外科)]
 全技術を3つに分類することについて。

書面審査の結果に基づき、全技術を以下の3つに分類する。
  ア : 構成員3名全員がA又はB評価
  イ : ア、ウ以外
  ウ : 構成員3名全員がD評価
 アとウに関しては分かるが、イが大分広いですよね。イの場合......、(3人の評価が)D、D、Cという可能性がある。たぶん議論になると思うが、その場合はイに入るから、「取り消すことが適当」(D)が2人いるけれども、1人はB(保険導入が妥当)だとすると、(保険)導入か、(先進医療として)継続の妥当性についての検討か......。これはどうか。

[保険局医療課・石井課長補佐]
 はい。書き方がちょっと悪かったと思う。正確に申し上げると、「保険導入または先進医療の継続の妥当性、または先進医療の取り消し」について検討を行っていただくということになると思う。
 イについては、「保険導入」という結論も当然あるだろうし、「先進医療継続」ということもあり得るし、「取り消し」という結論もあり得るという趣旨でございます。

[猿田享男座長(慶應義塾大医学部名誉教授、内分泌)]
 ほかに......。はい、谷川原委員。

[谷川原祐介委員(慶應義塾大教授、薬学)]
 2年前の手続きを思い出すと、医学的評価というのはこういうプロセスでやってきたと思うが、最後に保険導入された時の点数が何点付くかということがこの会ではなく厚労省で決められて、実際に先進医療でやってきた値段よりも随分安い点数が付いたケースというのが......。

 実際に、「保険診療になってかえってやりにくくなった」という声もあったと思うが、いかがだろうか。ここ(先進医療専門家会議)はあくまでも医学的な評価だけで、点数に関してはここの会では議論しないということ?

 (金子委員、この発言に笑顔でうなずく)

 ▼ 金子剛委員(国立成育医療センター医長)は、4月9日の先進医療専門家会議で、保険適用された"デメリット"を次のように指摘した。「頭蓋顔面骨(の実物大臓器立体モデルによる手術計画)が、K-939の『画像等手術支援加算』で保険収載されたが、2000点(2万円)になってしまった。これは、(旧)高度先進医療として12万円ぐらいから21万円ぐらいの値段で認められていたものなのに、そうなった(保険収載されて点数が下がった)ことによって全く止まっちゃって、(日本形成外科学会の)会員から、会うたびに『先進医療に戻してくれ』って言われている状態。せっかく保険収載してもらったのに全くできない状態になっている。毎回、学会に行くたびに非難されている」
 これに対し、厚労省の担当者は「診療報酬改定の要望につきましては、私どもの(中医協・診療報酬調査専門組織の)医療技術評価分科会に、学会からの要望を出していただくことになってございます。また、何か要望として出していただいて、診療報酬の話ということでございましたらですね、そちら(分科会)でご議論いただければ......」とかわした。
 しかし、個別の点数設定は専権事項で、中医協でまともに議論されることはない。そのような実態を知ってか、猿田座長が不機嫌そうな表情で声を荒げた。「もちろん、通す時に、保険収載でちゃんと説明してんでしょ!? そうじゃないんですか!? なんで(保険収載されると)安くなっちゃうのか?」
 事務局(保険局医療課)が数人で慌てながら相談を始めたため、猿田座長は「担当者の方が一番よく分かっていると思いますので、そういった点もちゃんと検討していただくことが大切だろう」と納めた。

[保険局医療課・石井課長補佐]
 点数については、今の制度の仕組みで言いますと、中医協の審議事項ということになっている。(先進医療専門家会議では)保険導入の妥当性についてご議論いただくという整理になっている。

 (しばらく沈黙)

[猿田座長(慶大教授)]
 ほかに、ございませんでしょうか。

 まあ、前の(高度先進医療の)時もそうだった。点数は中医協。ただ、こちら(先進医療専門家会議)で十分議論して出していただくと、大体、中医協はこちらの意見を通す......という......。はい、どうぞ。

[吉田英機座長代理(昭和大医学部名誉教授、泌尿器科)]
 同じ問題が、(中医協・診療報酬調査専門組織の)医療技術評価分科会でも、ワーキンググループの中で......。(評価する委員の)氏名は全部非公開ですね。

 非公開の部屋の中では、例えば、2人と2人が相談するんですよ。「俺はAだと思う」「私はCだ」とかね。そういう話し合いをしたらいいんでしょ、この3人が。そういうものを3人が、非公表ということで、3人が......。

 要するに、公開の場でなく話し合いをしてもいいんですか、これ? 駄目なの? (委員ら、笑い)
 勝手に、「俺、ちょっとこの医療機関が嫌いだから、Dにしちゃおう!」と言うのが一杯いるんですよ。(会場、笑い。厚労省の担当者も顔を赤らめて大笑い)
 (多くは)真面目に付けているとは思うが、中にはいる。「どうしてもDにするんだ!」と言う人がいるんでね、そういう場合、どうするんですかね?

[猿田座長(慶大教授)]
 その場合、やっぱりここの委員会が一番......、最終的には力を持つということではないだろうか。そこが大切。だからこそ、ここの委員会が最終的に......。

 ほかに......、どうぞ、金子委員。

[金子剛委員(国立成育医療センター医長、形成外科)]
 保険導入した後の点数についてお聞きしたい。やはり、この先進医療の点数、(保険適用されて)10分の1とかになってしまうと、それが使われなくなってしまう。その辺の責任というか......。

 医療技術が使われなくなってしまうのは問題なので、あくまでも続けて保険医療が行われることが(先進医療制度の)目的なのだから、その辺、何かうまくコントロールできないものだろうか。10分の1になってしまうと、使われないということが起きてしまう。

[猿田座長(慶大教授)]
 そこは......、何かご意見ございますか。点数があまりにも低くなって......。

[医療課・石井課長補佐]
 以前の会議でもご指摘を頂き、医療技術評価分科会で今回の改定に向けて要望を頂いているので、関係者のご意見を踏まえながら中医協でご審議いただきたい。

 ▼ よどみなく、スラスラと回答。

[猿田座長(慶大教授)]
 要はあの......、実施されることが大切ですよね? 保険で変な点数が付いて実施されなくなると困るということだと思う。ほかに、ご意見......。

 ただ、今まで、この先進医療の出口がなかなか見えなかったので、ここである程度......、随分時が経ったし、症例数も行われたので、この形で進めていこうと......。はい、どうぞ。

[金子委員(国立成育医療センター)]
 2年前の方法だと、何年以上、先進医療だったものは強制的に分類して、整理みたいな形でやった。今回は、そういう構想はないのだろうか。

[医療課・石井課長補佐]
 書面で評価いただく際、「いつからやっている技術か」ということも含めて整理して、先生方にご評価いただきたいと考えている。

[猿田座長(慶大教授)]
 ほかにございますか。取り消しになる場合、先進医療をやっている先生が辞めちゃったとか、そういうことがあった。専門的な技術なので......。はい、どうぞ、田中先生。

[田中良明委員(日本大総合科学研究所教授、放射線科)]
 保険導入に関する審査だが、放射線科の分野では、非常に特殊な治療で大がかりな装置を使ってやるようなものがある。そうすると、保険導入してもいいと言っても、受けられる患者さんが限られてしまう。そういった場合の保険導入の扱いというか、ちょっと普遍的なというか、普及させるという意味では違うような気がする。その辺の厚労省の見解、どういうお考えかをお聞きしたい。

[猿田座長(慶大教授)]
 (がんを切らずに治す)重粒子線(治療)とか、陽子線の治療とか......。

[田中委員(日大教授)]
 そういえば、脳磁図(MEG)というのがあった。あれなんか、(高額で)全国に数台しかなくて......。

 ▼ 数億円する高額な医療機器。保険収載されている。

[猿田座長(慶大教授)]
 「普及性」ということで保険が難しくなる部分が......。

[田中委員(日大教授)]
 国民一般に高額な先進的医療を受けてもらうという意味での保険制度からすると、ちょっと(保険導入の是非とは)次元が違う話もある。それが、僕らの仲間でもちょっと......、あったので......。保険導入されることは結構だが......。

 ▼ この発言の趣旨について、田中教授は会議終了後、次のように話してくれた。
 「日本は国民皆保険で、みんなが平等に保険医療を受けられるという建て前になっている。ところが、例えば、医療機関がセンター化されているエリアの近くにいる人は高度な医療を享受しやすい。しかし、僻地に住んでいるので飛行機で行かなくてはいけないような患者さんは、かなりの身銭を払わなくてはいけない。そういう場合、今の保険制度だけでは無理というか、ちょっとしたひずみのようなものがある。受けられない人でも受けられるような補助金というか、受診をサポートするような支援体制があれば、全国に1台しかないような医療機器で、まれな疾患であっても受けられるようになる。特殊な病気の場合、今の国民皆保険制度とは別の支援制度があればいい」

[猿田座長(慶大教授)]
 何か、ご意見ございますか。本当に、特殊な......。

[保険局医療課・宇都宮啓企画官]
 前回についても、ま、今回もそうだと思うが、今、座長がおっしゃった普及性との関係、あるいは学会等、専門分野の先生のご意見も聴きながら......、保険導入の妥当性ということを......。前回もそういうことで検討させていただいたし、今回も......。

[猿田座長(慶大教授)]
 なかなか難しい問題だが、一応、今のところはそのように考えていただければ......。ほかに、ご意見はございますか。

 大体、(厚労省が提案した)この方針で(先進医療の保険導入等の検討を)やっていくということに関しては委員の先生方、よろしいだろうか?
 
 (反対意見なく、了承)

 あと、ほかに何かございますか。先ほどの「参考資料」は特にいいですね?

[医療課・石井課長補佐]
 はい。参考資料にある様式については、事務局(保険局医療課)で作成して、次回以降の会議でご相談させていただきたいと思うので、どうぞ、よろしくお願いいたします。

[猿田座長(慶大教授)]
 「参考資料」の3ページに、「先進医療の保険導入等に関する評価(案)」が書いてあるが、これはもう1回、事務局(保険局医療課)から出していただく。

 では、そういう形で一応、先進医療の保険導入は考えていくということでご了承いただいたことにさせていただく。本日予定した議題はこれだけだが、何かご意見、ございますか?(2時間を予定した会議だったが、1時間以上余っている)

 ちょっと夏休み体制かもしれないので、出席も......。(21人中、12人が欠席)
もしなければ、時間が早いが、これで第40回の先進医療専門家会議を終わりたい。どうも、ご協力ありがとうございました。(散会)


  
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 【目次】
 P2 → 「先進医療の保険導入等の検討方法」について ─ 厚労省説明
 P3 → 「この委員会が最終的に力を持つことが大切」 ─ 猿田座長

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