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山形大病院は、「国策に反している国立大学」? ─ DPCヒアリング

■ 「安全性が確立されていないとの証拠は?」 ─ 相川委員
 

[相川直樹委員(財団法人国際医学情報センター理事長)]
 山形大学にお聞きしたい。調査票の記入欄では、(後発品の使用割合が全国平均と比較して非常に少ない理由として)「統一的に安全性が確立されていないため、(積極的には導入していない)」ということが書かれている。
 先ほどのご説明でも、院長あるいは各診療科が、そのようなことがあるからジェネリックを採用していないというご説明だったかと思うが、後発医薬品といえども、厚生労働省、それから医薬品医療機器総合機構が調査して承認しているものだが、「統一的に安全性が確立されていない」との......、証拠は......(会場、笑い)、どのようなところにあるんでしょうか?

[山形大病院・細矢副院長]
 私は個人的にそのような経験を持っておりまして......、私は放射線科ですから造影剤をよく使うが、造影剤の本質は(先発品も後発品も)みな同じ。ジェネリックも同じはずだが、添加物はもともとのメーカーは全く公表していないので、ジェネリックは違うもの(添加物)を入れたらしい。
 その結果、副作用が一時的にすごく増えた例が実際にありました。ありましたので、ジェネリックの添加物を評価しないで、それを承認してしまうということは、私はちょっとおかしいんじゃないかと。

 それから、ジェネリックを使った後に、きちんとフォローして、副作用のデータをきちんと出すということをジェネリック(メーカー)はやっていないんじゃないか。実際、そのMRの担当者に聞いても全く分からない。自分が売っている薬を。わずか100症例とか、そういうことがあるので、私はどうしても......。

 ま、厚生労働省が認可しているのは分かっているのですが、それを信じられない......(会場、大爆笑)、正直申し上げて。ですので、長年使っていて、治験から携わってきた造影剤をずっと使っている。これが真実でございます。

[相川委員(国際医学情報センター)]
 (不機嫌そうな低い声で)確かに、造影剤あるいはいくつかの薬では、添加物等が違うということで......、先進の医薬品と違うところはあったかと思うが、「統一的」と書かれた意味はどういうことなんですか。病院として、例えば、そのような造影剤は使用しないという......。

[山形大病院・細矢副院長]
 要するに、「統一的」というのは、かかる所がたぶん違っているんじゃないかと思う。「安全性が確立されていないために、統一的にすべての所に積極的には導入していない」という意味の文章ですね(笑い)。そのように書いたつもりだが、ちょっと、場所が悪いために......。 (相川委員がさえぎる)

[相川委員(国際医学情報センター)]
 「(安全性が確立)されていないために」の後に点がありますから、文章としては、「統一的に」というのは、「(安全性が)確立されていないため」(にかかる)と普通は考えて私は質問したわけ......。(今度は細矢副院長がさえぎる)

[山形大病院・細矢副院長]
 その通りでございますが、私も実はこの文章を出した後に、「統一的」は後ろかなと思って......。

[相川委員(国際医学情報センター)]
 これ、訂正ですね!?

[山形大病院・細矢副院長]
 はい、そのようにさせていただければと思います。

[相川委員(国際医学情報センター)]
 (元気な甲高い声で)もう一回お伺いしますが、「安全性が確立されていない」ということが、ほとんどのジェネリックに対してお考えなのか、それとも今言われたような数例、いくつかの経験があったものだから、そのように思われているということなんでしょうか。

[山形大病院・細矢副院長]
 あの、ひじょーに難しい質問をされますのでお答えにくいが、100に1個(副作用が)あったらやっぱり信じられない。これは私の信条でございます。ですので、私の所は造影剤しかないので、ほかの薬は全く知らない、正直申し上げて。

 うちではジェネリックは今、4.9%、品目数としては採用しているので、安全性がありそうなやつ、問題がなさそうなやつはもちろん入れているが、あとは各診療科にお任せしているというのが現状なんですね。「ジェネリックにしましょう」とか、そういう体制もとっていませんし。

 例えば、造影剤に関して言えば、入院患者さんにジェネリックを使って、外来患者さんにジェネリックを使わないという施設が結構あります。ありますよね? (強い口調で)それっておかしくないですか!?
 入院患者さんは一番具合が悪い人なのに、なんでそれはジェネリックでいいんだ。外来は駄目なんだ。私はその辺が理解できないので、私としては(入院も外来も)同じようにジェネリックを使わない。もし、これ(後発品の使用)を命令されるんなら、これは考えないでもないんですが......。(会場から笑い声。保険局医療課の宇都宮啓企画官と佐藤敏信医療課長はぶ然とした表情)

 あと、DPCが変わりますよね。「調整係数」がなくなる。そうすると、否が応でもジェネリックを入れざるを得なくなるのではないかと危惧しているが、できる限り今の状況を全うしていきたいというのが、病院の執行部の考え方でございます。

【目次】
 P2 → 「ジェネリックは各診療科の裁量」 ─ 山形大病院
 P3 → 「安全性が確立されていないとの証拠は?」 ─ 相川委員
 P4 → 「節約できるものは節約していく」 ─ 厚労省
 P5 → 「国策に反している国立大学」 ─ 邉見氏
 P6 → 「大学の一番いけないところ」 ─ 西岡分科会長

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