「守られないようであれば、DPCを返上」 ─ 2日目のDPCヒアリング
■ 「姿勢としておかしいんじゃないか」 ─ 厚労省
[酒巻哲夫委員(群馬大医療情報部教授)]
千葉医療センターで、「ソフトウェアについての見解」という所に、「入院支援システムに依存する仕組みをつくるのは、あまり賛成できない」というご意見が書かれているが、これは何か、特別なお考えがあったのですか?
[千葉医療センター統括診療部・石毛尚起部長]
すみません、この(調査票で)......、「自由にお書きください」というのは、病院の意見ということではなく、たまたま返事を書いた者がそう書いたまでで、病院としてこう考えているわけではなくて、いろいろな意見が院内でもございます。
ただ、こう書いた者の意見としては、患者さんが納得できるようなコーディングを出すべきであって、医師が納得できるコーディングを選べるようなちゃんとしたツールにしていただいて、まぁ、それについて事務職員がどうのこうのとか、点数がどうのこうのというツールはいらないんじゃないかという意味で書かれたんじゃないかと思うんですけども。(中略)
▼ 千葉医療センターが、新たなソフトウェアの導入に否定的な回答をしたので反応したのだろうか。厚労省は、DPC病院に共通のソフトウェアを導入しようとしているふしがある。松田晋哉委員(産業医科大教授)の研究班で、アプリケーションソフトの開発がほぼ完了しているらしい。無料配布にするかはまだ不明だが、「天下り団体を通じてソフト導入に絡む金を還流させよう」などと考えていないだろうか。
[松田晋哉委員(産業医科大医学部公衆衛生学教授)]
2つ、コメントというか......。これはたぶん、(11の病院団体でつくる日本病院団体協議会の議長を務める)小山(信彌委員・東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)先生や、(全国自治体病院協議会会長の)邉見(公雄)先生へのお願いになると思いますが......。
DPCはデータが標準化されているが、元の電子カルテが標準化されていないというのが一番大きな問題だろうと思います。やはり、「様式1」(診療録情報)は退院サマリーと連動させるものだと思いますので、日本病院会あるいは各学会が、日本医学会なのかもしれませんが、連動して、やはり(導入を)強制することはできないと思いますが、退院サマリーの標準化というものをやっていただくことが必要ではないかなと思います。
それがもしできれば、それを電子カルテのほうに取り込んでいただいて、そこから(データを)「様式1」に流すということが、かなり必要になると思うので、ぜひ病院界としても、そういう取り組みをしていただければいいんじゃないかと思いました。(中略)
私たち研究班としましても、各地でいろんなセミナーをやっておりますので、ぜひ、病院のほうからセミナーへ派遣していただければ、私たちのほうでいろいろと指導......と言うとちょっと口幅ったいですが、いろいろとノウハウを提供することができると思いますので、よろしくお願いいたします。(中略)
▼ 国の審議会で委員などを務め、講演や執筆などで稼いで成り上がるのが御用学者のサクセスストーリーなのだろうか。
[保険局併任・宇都宮啓老健局老人保健課長]
それぞれの病院に1つずつお聞きしたいんですが、まず千葉医療センターさんだが、先ほど、アンケートの回答について、「個人的なものなので病院として分からない」みたいなお話をされたが、(DPC評価)分科会としては当然、病院としてのお答えを求めて出しているものなので、それが個人的な答えが返ってくるということはちょっと、姿勢としておかしいんじゃないかと思います。
本日も、それぞれの病院には、院長あるいは最低でも副院長の先生に来ていただいて、やはり、「病院としてどう考えるか」という姿勢をですね、お示しいただくべく、本日は皆さんにご参加いただいているんですが、千葉医療センターさんはたまたまというか、DPCにお詳しいということで(石毛)先生がいらっしゃって......。
もし、本日の先生のご発言が、病院としては知らないと、あくまでも石毛先生個人の発言だということであれば、それは分科会としても非常に困ると思うんですね。やはり、あくまでも組織の代表としてのご意見というものをお聞きしたくてこちらでヒアリングをしているので、ま、その辺についてどうなのかということを1つ確認させていただきたい。
それから、日立総合病院さんですが、「消印日を提出日と勘違い」というご回答がございますが、本年度に限らず、毎年何回か遅延されています。で......、平成16年から(DPC)対象病院になっておられて、普通であれば消印日と提出日の勘違いが毎年続くというのはあり得ないと思うんですが、こちらとしても、そういう督促をさせていただいているので......。
もし、人が替わってしまって、それが分からなくなったということであれば、あり得るかもしれませんが、その場合でも、先ほどと同じように組織としてきちんと引き継ぎをして、そういうことがないようにするのが、病院としての当然の姿勢だと思うんですが、その辺についてどう思われるか。以上、よろしくお願いします。
[日立総合病院・ 岡裕爾院長]
日立総合病院です。おっしゃる通り、大変、お恥ずかしい、申し訳ない。
全く、課長職以上、私も含めて状況を理解、把握できていなかったというのが本当のところでございまして、本当に管理不行き届きということでございまして、現場の調査担当者という者がすべてを取り仕切っていて......。
「現場に任せていた」と言えばいいんですが、十分な管理ができていなかったというのがすべてでございます。
[千葉医療センター統括診療部・石毛尚起部長]
病院の代表として私が......、先ほど申し上げた理由で、大変申し訳なく思います。このアンケートにつきましても、病院でみんなで話し合った結果でございませんでした。率直に申し訳ないと思います。
ま......、あの......、病院としての意見を私が代表していいのかどうかということについても100%自信はございませんが、普段話していることの中では、大体......、ほぼ、代表者が入っているとは思いますが、その辺についても大変申し訳ないと思います。
[西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
ぜひとも、病院としての対策というか、統一した意見の下に対策を立てていただくようにお願いします。今日の議論の内容を病院にお持ち帰りいただいて、院長さんにはぜひともきっちりとお伝えいただきたいということをお願いしたい。ほかに、ご意見はよろしいでしょうか。じゃ、どうもありがとうございました。(以下略)
【目次】
P2 → 「DPCを返上していただかざるを得ない」 ─ 齊藤委員
P3 → 「姿勢としておかしいんじゃないか」 ─ 厚労省