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新型インフルワクチン 疫学解析を 副反応検討会


 稲松
「長年、高齢者の死因の研究をしてきた。年に100万人弱いの方が生まれて死にほぼ平衡。死ぬ方の多くが高齢者であり、その中でも24時間前までは元気で予期できなかったという人が大体5~10%いる。その中で構図として、いつもと違ったことは何かなかったかと探した時に、そういえばワクチンを接種したというような話になってしまうものは、ある程度の数出る。

 だから、今回報告された症例の数々を高齢者には普通のことと感じるか、それとも何か異常なことと感じないといけないのか、臨床家としての能力を問われているのだと思う。今のところワクチンとの因果関係を疑わせるような症例はないと思うが、しかしそれを100%ないとも言えない」

 川名明彦・防衛医大内科第二教授(副反応検討会委員)
「資料では、季節性ワクチン接種後の死亡率は1000万人に1人とか、1億人に4人になっている。これを100万人に5人という新型インフルエンザの数字と比べると、逆に低すぎるんじゃないかという気もする。これはどういうことか」

 事務局
「前回も説明したが、新型インフルエンザワクチンに関しては因果関係の如何に関わらず報告義務のある予防接種実施要領で報告を求めている。これに対して季節性インフルエンザワクチンは、副反応によると疑われる事例のみ報告を求める薬事法の下のもの。そういう違いがある。また、社会的な関心が高いこともあるだろう」

 永井
「しかしネットなどでは、そういう背景は説明されずに数字だけが流れる。もう少し明確に、基準が違うんだと打ち出してもらわないと誤解を払しょくできない。我々現場の臨床家としても、基礎疾患のある人だから死亡率が高いんだというような話だけが出ると、基礎疾患のある人にこそ打たなければならないのに困る」

 松本和則・独協医科大特任教授(安全対策調査会座長)
「対象の人にそう説明しないといけないのでないか」

 永井
「ワクチンの副反応がきわめて怖いというイメージができるのを恐れている。国民全体のワクチンに対するリスクの許容範囲が明確になっていない。そこをハッキリさせてもらう必要があるのでないか」

 松本
「季節性と比べてどうかというのが一番簡単。きちんと評価した方がいいが実際問題難しい。打つべき人に打ってこういうことが起きている。基礎疾患を悪くした可能性は残っている。一方で、罹ったらもっと悪いことの起きる可能性が高い」

 河野
「ワクチンを打ったのに罹ったというような人もいる。そもそもインフルエンザのワクチンは重症化を防ぐものなのに、医師の間にも誤解している人が多いのでないか」

 松本
「医師の教育について話が出たが」

 飯沼雅朗・日本医師会常任理事(参考人)
「我々のところに現場から届いている苦情で最も多いのは書類書きが多いこと。ワクチンの何たるかを現場で1人1人に説明するなんてことは不可能。国で責任を持って分かりやすくじっくり何回も広報して説明してほしい」

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