10ミリバイアルが俎上に 新型インフルワクチン検討会
新型インフルエンザワクチンの安全性について検討する厚生労働省の4回目の検討会が8日、開かれた。国会審議などで物議を醸していた10ミリバイアルの安全性が初めて議題となり、「現時点では安全性に問題なし」との結論になった。(川口恭)
この検討会は、『第7回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び第4回新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会の第4回合同開催』。
事務局の提出した『死亡症例の概要』という資料に、「専門家の意見」として小林治・杏林大講師が「(前略)私は今まで20症例以上の新型インフルエンザワクチン重篤症例を評価してきたが、突然の高熱や細菌感染を思わせる症例が多く、これはワクチンボトル内感染ではなく、10mLバイアルから20回分のワクチンを吸引操作する過程でシリンジ内感染をきたした可能性を否定できないと考えるようになってきた。本例も(後略)」と記していたことから、川名明彦・防衛医大内科第二教授が「小林先生の20症例には、実際にコンタミネーション(汚染)を起こしたと思われるケースはあったのか」と質問した。
これに対して事務局は「小林先生の評価した中にコンタミがあったか推測の話にはなってしまうのだが、少なくとも今回コメントいただいた症例のワクチンはマルチドーズでない一般シリンジなので、この症例と10mlとの関連性はない。全体を見ても、接種後に発熱を起こした症例はマルチドーズだけじゃなく他社製品にも多く起きている」と否定した。
ここにさらに「デリケートな問題を含んでいるから」と岡部信彦・国立感染症研究所感染症情報センター長が付け加えて「もしマルチドーズでコンタミが起きていたら集中するはず。でもバラバラ。それからメーカーがバイアルの中に空気を入れてみたら数日は問題なかった。一応安全性は担保されていると考えてよいのでないか」と述べた。
それを受けて事務局も再度「小林先生は、そもそも専門が呼吸器感染症なので、評価していただくのが発熱したケースになる。それでも私どももコメントが気になったので、先生の症例に関してマルチドーズとそれ以外のものとも出してみたが特段の差はなかった。それと岡部先生もご指摘のように、どこかの施設で集中して発生したというのもない。常に可能性は考えておく必要あるが、現段階ではコンタミが起きたということはないのでないか」とダメ押しした。