村重直子の眼11 薗部友良・VPDを知って子供を守ろうの会代表(中)
薗部
「ワクチンの副反応問題で、たとえば血小板減少性紫斑病(ITP)がワクチンと関連があるかどうかが問題です。総てのワクチン接種で、紛れ込みの偶発事故があります。その際の比較になるのが、非接種者での自然の発生頻度です。一番信頼性の高いものとすれば病院に入院した患者さんで何人ぐらいのITPの全発生があって、そのうち何人がワクチンを接種して1カ月以内であるなどのデータのもとで比較できればよいのです。本当にワクチンを接種した方のほうが断然高いということがあれば、それに対する対策も考えないといけません。逆に言うと、少なくとも自然発生(非接種時)を超える頻度ではないというデータが出れば安心して副反応から消せて、そうすれば接種医も自信を持って接種できますね。アメリカでHMO(民間医療保険団体)があるので、そこの結果が出れば、アメリカのデータとは言え、普遍性がありますので、ありがたいのですが」
村重
「日本にはレセプトデータベースがあります。もしきちんと公開されていれば、そのデータはあるんですよね。レセプトデータベースが色々な保険者に分かれているというのはありますけれど、きちんと整頓して出せばよいのです。皆さん診療したら必ずレセプトを提出しているわけですから、ダブル・トリプルにお医者さんに報告義務をかけなくてもいいんです。1億2千万人の全国民をカバーしているので、HMOのグル―プの人数より、ずっと大きいですよね。世界最大規模ではないかと思います。その宝の山みたいなデータベースが隠されたままで、その分、日本人が病気のリスクに脅えないといけない」
薗部
「お役所の方々も人数が少ないし、解析の手が足りないと現実のもとで、データを公開さえすれば国民の幸せのために分析してくださるお役人以外の一般の方が現れてくれるという意味ですね」
村重
「はい。もちろん役所の側でも解析して発表すればいいですけれど、それが絶対の数字ではなくて、役人が全部責任をしょい込む必要もなくて、専門家は現場に大量にいらっしゃるわけですから、そういった先生方に解析してもらうくらいの気持ちで出したらいいと思うんですけどね」
薗部
「ITPについても、小児血液の学会でもディスカッションして、多くの専門家の方は関係ないと思われていると、私は聞いております。ところが、では、そのエビデンスは、と訊かれると困ってしまうそうです」
村重
「そうですよね。数字を出さないと納得するまでに至らないですよね、特に親御さんは」
薗部
「接種後に起これば、ワクチンを恨みたくなりますよね」