村重直子の眼11 薗部友良・VPDを知って子供を守ろうの会代表(上)
元厚生労働省大臣政策室政策官の村重直子氏が在野のキラリと光る人たちと対談していく好評のシリーズ。いよいよ3クール目に入りました。今回のお相手は、日本赤十字社医療センター(日赤広尾)小児科顧問でもある薗部友良『VPDを知って子供を守ろうの会』代表です。日本のワクチンを取り巻く環境についてお話いただきました。今回も3回に分けてお伝えします。(川口恭)
村重
「どうして会の活動を始められたのでしょうか。活動内容も教えてください」
薗部
「私自身は小児科医として川崎病学会の会長もやってきましたし、色々な病気に関心を持っておりました。最終的に日本は予防接種制度が極めて遅れていることが気になりました。でも、最初は、目の前でショックを起こされたら困るなどのことで予防接種が嫌で嫌で仕方がなかったのです。接種したくないからその理論武装をするために論文を読んだりしているうちに、ミイラ取りがミイラになったわけです。日本の小児医療は、小児医療費が少ない中、非常に頑張っています。しかし、予防接種だけが際立って世界水準と比べて劣っているのです。これは日本政府の責任ですが、具体的にどのように直すための活動をして良いか悩んでおりました。そのとき偶然に、ワクチンで防げる命を防げたらと感じているほかの小児科医たちとも意気投合しまして、それで会をつくろうということになったのです。日本でVPD(ワクチンで防げる病気)の被害が大きい原因として、任意接種でお金がかかるワクチンが多いことと、接種したくても日本では接種出来ないワクチンが多いことなど多くのことがあげられます。ですが、保護者が無料の定期接種のワクチンでさえ接種をしない理由も考える必要があります。これは副反応(副作用)が怖いということよりも、病気がどれだけ怖いかという真実が知られてないからということが大きいですね」
村重
「そうですね」
薗部
「それで、我々でできることは病気の怖さ(真実)と、あわせてワクチンの必要性、安全性をみんなに知ってもらうことが大切だと思っております。これの対策にはホームページを作っていくのが良いということにまとまりました。そうした時に、乳がんのピンクリボン活動のように医療関係者の思いと国民をつなぐ会社と知り合い、また支援してくださる方々もおられたので会を始めたということです」
村重
「会の活動は、いつからされているんですか」
薗部
「2年前の2008年4月、割と新しいのです」
村重
「でも、それまでに調べてこられた蓄積があると思います」