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ニュース〜医療の今がわかる

梅村聡の目 ② 政・官の仕事は、民を支えることにある。


これが前例になる
 
 民間の動きで患者さんが搬送されたのは17日、国をはじめとするその他の枠組みで動けたのはおそらく翌週かと思います。まさに「民の力」を実感しました。
 分かるのは、民間の協力を邪魔しないのも政治や国の役割だということです。民間の活動の障害になるものを取り除くことが政や官の仕事だと思うんです。
 厚労省は、自分たちの決めたレールじゃないと走っちゃだめだという考えですし、他の所からも色々横槍は入りました。民間の動きにはお金は出せないけど、厚労省を通したやり方なら出せると言う団体があったり。今回は透析患者さんの話でしたが、ありとあらゆる場面でこういうことがあると思います。
 あの場面で私が、民間でやっていいことにしなかったら、結局は次の週まで動けなかったと思うんです。単に時間が遅れるだけでなくて、前例として残るわけです。次の大きな災害の時に「東日本大震災の時は全体の搬送体制ができてから動かしましたよ」と。被災した側が受入先を見つけ、厚労省に許可を得て、自衛隊機で運びましたという形じゃないとできなくなってしまうわけです。でも「東日本大震災の時は民間でやりましたよ」となれば、次も動けます。
 民間でちゃんとやれる、と信頼することが大事です。人類はそうやって生きてきたんですから。お上の指示を待っていたら、一分一秒を争う現場では人が亡くなってしまいます。
 
明日は我が身
 
 今回、事前の想定より大きなM9の地震だったわけですが、今後の復興でM9に備えた街づくりをしようとはならないと思います。例えば30メートルの堤防なんて作れません。ハード面だけで対策をとるのは不可能だと思います。
 大阪にも必ず地震が来ます。
 次の南海地震は30年以内に50〜80%の確率で来ると言われています。
 今回の震災から分かるように、一瞬の判断で生死が分かれます。これを機会に、みんなで防災マップを見て、自分が住んでるところは津波が来るのか来ないのか、どんな危険があるのかを確認していただきたいです。
 そうなった時に自分がどう動くかも考えておいてください。どこに集合するか、食べるもの着るものはある程度自前でやらないとダメということもよく分かったと思います。災害発生直後の半日は、自力で何とかするようにしていただきたいです。会社の冷蔵庫や引き出しにペットボトル1本置いておくだけで、「とりあえず今日は帰らなくてもいい」と余裕が出て全然違ってきます。
 最後にもう一つ。行政や医療のサービスは、基本的に病気の人や弱い人のためのものです。自分で動ける人は動く、それを基本に、ご自身やご家族の身を守る行動につなげていただきたいと思います。
 
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