村重直子の眼18 古川勝久・安全保障/危機管理専門家(中)
古川
「少し食い違いがあるなと思うのは、このような場合には、村重先生が先ほど御指摘の通り、普通の医療活動が必要になるわけですよね。だけど、そこでは、結局、搬送等のロジスティックス能力のキャパシティが問題になるわけですよね。薬のみならず、衣食住に関わる生活必需品の搬送等のロジスティクス面では、官の方でいろんなサポートができるはずだと思っているんです」
村重
「ああ、それは、医療の訓練という話ではなくて、医療関係者と交通関係の人たちとか他の分野との連携の話ですね」
古川
「そうなんです。私が申し上げたかったのは、これまでの『地震医療ネットワーク』のやりとりを見ていると、医療界や一部の交通機関は参加されてるようですけど、なんでそこに官のアセットが入ってなかったのかなと。この点が、僕から見た大きな反省点なんです」
村重
「でも、官が入ってないからこそ、民がこれだけ迅速に動けたというのも大きいですよね」
古川
「もちろんそれはあります。官が入ってないから民が迅速に動けたというのは分かるんですけれども、それでも民だけでは足らなかったわけですよね、現実問題として」
村重
「でも、それは官が入っていたら足りるというわけじゃないですよね。官は官で動いていて、それでも足りないからみんなが協力してやっているということで」
古川
「ただ、官は官でも、能力を有しているのに動いてない官があったということを申し上げているんです」
村重
「それは入ってきても多分動かないでしょう。邪魔になるだけじゃないですか」