村重直子の眼18 古川勝久・安全保障/危機管理専門家(中)
村重
「そうですね」
古川
「私の言いたいのはそこじゃないんですよ。医療の方々が集めてくる貴重な被災者支援の関係情報がいっぱいあるんで」
村重
「ああ、そうですね」
古川
「それが官によるアクションに効果的につながってなかったということを私は申し上げているわけです。医療活動に限るとたしかに仰る通りだと思うんです。ただ、特に災害発生直後の一週間、被災者の方々が日に日に体調を悪化させている避難所の情報や、『ここに油が足りない』、『食料が足りない』という、非常に重要な情報をみなさんはお持ちでした。他方で、この非常にクリティカルな期間に、救援能力を有する部隊が待機していたのに、『情報が来ない』、『指示が来ない』、などの理由で出動できない部隊があった。そこをどうにかできないかということなんです。私が言っているのは、官民協力による患者搬送のルールを作りましょうなどという話ではありません。そういう意味では、もう少し官民協力の意義というのはあるし、そこは例えば民の皆さんがやりとりされているメールの情報が、例えば、自衛隊の指揮命令系統に入るようにチャネルを作ればいいんじゃないかと思います。それがないのが現状です。ないがゆえに、自衛隊等のアクションにつながらなかったんです。こういう官民協力関係を作れば、医者の皆さんが集めた情報を元にして、そこにヘリコプターで物資を投下するというようなことができるはずと思うんです」
(つづく)