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ニュース〜医療の今がわかる

村重直子の眼18 古川勝久・安全保障/危機管理専門家(中)


古川
「でも、僕としては、邪魔になるからということで終わりにするべき話なのか、あるいは・・・」

村重
「でも実際に、官が入ったために余計に遅くなったケースも色々あるわけですよね」

古川
「分かります。分かります。民がやっていることを邪魔するとか、民がやっている所に官が入ることでかえって遅くなるんだったら、そんなことはしない方がいいわけです。ただ、民が明らかにできてない所があるわけですよね。これだけ被災地が広域で」

村重
「でもその官は、少なくとも厚労省ではないと思います」

古川
「私もそう思います」

村重
「机上の理屈を考える厚労省や内閣府は抜きにして、現場の実行部隊である自衛隊に直接話をするとか、消防に直接話をするとかなら分かりますが」

古川
「だから私が申し上げているのも、まさにそこがポイントなんです。今回うまく官民協力が迅速に進まなかったのは、情報を日本政府に集約するプロセスだったと思うんです。「日本政府って、じゃあどこなんですか?」 皆さん見えないわけですよ、顔が。私が聴いた所では、まさに窓口が地方自治体等だったわけですが、パンクしていました。他方、自衛隊や米軍の中には、非常に高い搬送能力を持ちながらも、待ちぼうけを喰らっていた部隊もありました。官民の協力関係を改善することによって、医療コミュニティの皆さんがやっていることを邪魔するんじゃなくて、皆さんができない所を官でカバーできるのではないか。そのために手続きとかを変えて、オペレーションをスムーズにさせることができるのではないか。私は、それはやっぱり改善すべきだと思うんですけどね」

村重
「航空自衛隊の『空飛ぶICU』の方たちが相談窓口を示してくださったのは凄く大きいと思っています。もし自衛隊の医療部隊に直接相談する前に、厚労省や内閣府の何課を通すとか災害対策本部を通すとかいう話であれば、やらない方がいいと思っています、遅くなって命取りになるので。『空飛ぶICU』の連絡先にどうしてそんなに意味があるかというと、彼らも医療スタッフであり現場の実行部隊だからです。まさに現場のオペレーションを担っている医療部隊だからこそ、現場の話が通じるわけですよね。患者のニーズが分かって、どういう機材が必要で、どういう専門家が一緒に乗ればいいかということが、同じ現場のレベルで話ができる。そうではなく、医療を知らない素人、自衛隊の装備を知らない素人で、机上の理屈を優先する役人が間に入ると、余計遅くなるし、連絡ミスが生じたりして患者が危険なのでやめた方がいいと思います。直接話ができるのなら、ぜひやりたいと思います」

古川
「何がすれ違っているか今よく分かりました。村重先生は医療のことのみ話をされていて」

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