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全国一律は大ウソ 保険医療に提供格差

提供にも地域差

 4月に入って内閣府の経済財政諮問会議でも、気になる都道府県格差が可視化されました。評価・分析ワーキンググループの藤森研司東北大学教授がNDB(※2)を解析して報告したもので、年齢性別補正した上で、ある医療行為のレセプトが人口あたりどの程度出現するかという割合を都道府県ごとに比較しています。

 その結果、顕在的ニーズ(患者数)の違いでは説明できず、提供体制の違いとマーケティング(患者掘り起こし)の結果を反映しているとしか考えられない差が多々あると分かりました。

 極端な例で言えば、「運動器リハリビテーション料・外来」のレセプト出現率(全国平均を100とする)は最低の岩手県が26だったのに対して、最高の鹿児島県では240と何と9倍以上でした(図3)。また「人工腎臓(慢性維持透析)(4時間以上5時間未満)外来」のレセプト出現率も最低の秋田県51に対して、最高の宮崎県は163でした(図4)。
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 提供の面から見て、国民皆保険は明らかに全国不均一なのです。

 実は、例に挙げた4つの県で、支払基金でコンピュータが付箋を付ける割合も最終的な査定率も、ほとんど同じでした。格差の是正に、都道府県ごとの審査は全く役に立っておらず、むしろ不均衡を固定化しているとすら言えます。

 ここまで不均衡が大きいと、提供は少ないのに費用だけは払わされているという都県住民(主に東日本、特に首都圏)は、いずれ堪忍袋の緒を切ることでしょう。

 経済学の教科書では、このような不均衡は価格が媒介することによって是正されていくと教えます。足りない所では価格が高く、余っている所では低くなるので、需要者や提供者が移動して平準化されるというわけです。医療でも、診療報酬1点をいくらに換算するか都道府県によって変えるというのが、問題是正に最有力である可能性の高い手段です。しかし、この価格、法的根拠はないのに全国一律が堅く守られています。地域包括ケアでも、病床数など提供体制に地域で決めて枠をはめなさいとは言うものの、診療報酬換算の自由は与えられていません。

 国民皆保険の運営が根本的な所で間違っているかもしれないこと、徐々に可視化されつつあります。

※2 NDB......ナショナル・データ・ベースの頭文字。全保険者の電子レセプトと特定健診データを匿名化して収集したもの。
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