がんセンター勉強会

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2008年10月01日 17:45

昨日、国立がんセンター中央病院で若手医師向けの講演会があり
外部の人も大歓迎というので図々しくもお邪魔してきた。
特に講演会の意義が分かっていたわけではなかったのだが
本日のCBニュースを見ると
がんセンター中央病院は改革途上にあるらしい。
そういえば、後期研修の班会議の折に土屋院長がそんなことを言っていた。


となれば講演会にも何らかの狙いがあるのだろう。
ということで後日何かがあった時のための記録として簡単に書いておく。


タイトルは『PMDAミニシンポジウム~医師と薬事行政の接点~』
演者は
同病院レジデントOBという村重直子・厚生労働省改革推進室員
近藤達也・PMDA理事長
同病院レジデントOBでありPMDA審査役OBでもある堀明子・帝京大講師
(ロハス誌に『薬の審査官ファイル』を連載中)の3人。


全体としては、がんセンターの若手医師をPMDAにリクルートしようという趣旨で
外部の人にどの程度興味のある話か分からないところだが
村重室員が「厚労省の人間としてではなく個人としての見解」と述べた中に
がんセンター改革にもつながる面白いフレーズがあった。


村重1.JPG

















「終身雇用で人事権を握られると上司の目が気になるようになる。専門家としての率直な意見を言えなくなる。上司の嫌がることは言わないでおこうとなる。ところで技官というのは何を求められているものなのか。現場と行政との橋渡し役なんだと思う。しかし役所で終身雇用ということになると、10年前、20年前、30年前には確かに現場にいたことがあるかもしれないけれど、現在の現場は知らない、そんな人ばかりになる。現場のリアルタイムの情報を知らないでいいのだろうかと思う」


3人の講演が終わった後で、土屋院長が「言い残したことを」と振ったのに対して

近藤
「我々が携わっているレギュラトリー・サイエンスは、とにかく国民の安全をいかに保って国民の健康を増進するか、そのためにありとあらゆる方法・規制を用いるということ。十分に守られているなら規制緩和だし、まだ守られていないならさらに強固にしていく、そういった規制の科学は、アカデミック・サイエンスとも全く違って実に面白い領域だ。臨床医出身の新人理事長は日々そのように感じている」


村重
「若手の医師の皆さん、PMDAにぜひ入りましょう。そして出ていきましょう。終身雇用にしがみついてはいけません」



「PMDAに行くのは、まさに国内留学のような感じ。発展途上の分野で未来がある。レギュラトリー・サイエンスには、まだ日本語の適切な訳がない。それぐらいチャレンジングな領域」


土屋
「(略)医療関係の仕事は何をするにしても、患者のためという軸足さえ間違えなければ、きっといいものができる。近藤理事長は講演の中で、日本の医薬品承認が遅いのは(PMDAがハッキリ指導しないために)企業がもたつくからと遠慮がちに仰ったけれど、治験のもう一方の当事者である医療機関側にも問題がある。大規模治験の1相、2相くらいは我々の施設だけで受けられるように体制を整えていかなければならない、そのような施設を国内に複数作らなければならない。そうでないといつまで経ってもアメリカには追いつけない。なので、それは藤原君に発破をかけている。村重君の言った、入って出ろという話は、がんセンターにも当てはまる。仕事ができなくなったら早く出て行ってくれ。その代わりに若手の仕事をしたい人にチャンスを与えるから」


ほー、ということで、本日付がんセンターの人事を見ると
『中央病院臨床試験・治療開発部長』というポストが新しくできて
そこにPMDA出身者である藤原康弘・前臨床検査部長が就いたようだ。
やはりこの講演会、改革と何らかの関係がありそうだ。

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