書籍「救児の人々」全文PDF無料公開始まりました

投稿者: 熊田梨恵 | 投稿日時: 2010年05月17日 18:30

執筆いたしました拙著「救児の人々~医療にどこまで求めますか」の発売に先立ち、

書籍内容をPDFで全文無料公開させて頂くことになりました。

「一人でも多くの方に、新生児医療の実態を知ってもらいたい。
そこに凝縮されている、日本社会の根底に流れている問題を一緒に考えてもらいたい」

そう思って始める取り組みです。

書籍自体の売り上げよりも、一人でも多くの方の目に触れることを重視しております。

1ヶ月間という期間限定で、ダウンロードもできませんが、ご覧いただけましたら幸いに存じます。

https://lohasmedical.jp/books/

(内容をご覧頂いて、「この本を手元に置いておきたいなあ」と思っていただけるのが、一番の願いなのですが・・・)


ここまで来るのに時間がかかったなあ、としみじみ思います。

なんて傲慢な記者なんだ、と思われるかもしれない内容です。

患者さんのご家族や、先生方がおられなかったら、私は怖気づいて書けませんでした。
(おられなかったらそもそも取材できてませんね・・・)

私の肩を押してくださったのは、ご家族とお子さんたち、そして医療者の方々です。

皆様の生の声、喜びや涙によって出来上がっている書籍です。

なかなか埋もれて出てこない皆様のリアルな声を、私などに書かせていただいたことに、
心からの感謝と敬意を表したいと思っております。


そんな皆様のお声を、一人でも多くの方にご覧頂きたいと思っております。

どうぞ、よろしくお願い申し上げます。


熊田梨恵


*アマゾンはこちらです。

<<前の記事:医療界は診療報酬改定のフィードバックを―鈴木寛文部科学副大臣 コメント欄    「ドキシル」出来高算定でも、厚労省の方針に変更なし:次の記事>>

コメント

先行して読ませていただきました。
amazonから予約しましたので、届くのが楽しみです。

未熟児医療をはために見ながら、私がずっと思っていたことが文章になっていますね。オフレコではいつも言っていたことですが、これを公に発言するのは難しいものです。大変な努力に敬意を表します。

僻地外科医様

いつもご支援、ありがとうございます。
書籍のご予約もくださったとのこと、大変嬉しくありがたく思っております。
ご期待に添える本になれば…と、願ってやみません、
どうぞ、また感想などお聞かせくださいませ。
よろしくお願い申し上げます。

TT様

ありがとうございます。
仰る通りで、オフレコではきっと医療者の方々や患者さん、ご家族もお話しされていることだと思います。
それを取材という形で、公開で名前も出してて答えてくださった皆様方に
私は心からの敬意と感謝を表したいと思っております…。
本当に凄いことだと思います。

そんな皆様のお気持ちが、読んでくださる方々に伝わればと願っております。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。


これまで語られてこなかった医療の一部を、
多面的・立体的に伝え、考えさせてくれる本になっています。

とりわけ感じ入ったのは、熊田さんを含め、
本書の登場する方たちの真摯な思いが伝わってくることです。

この思いを感じ、またそれぞれが自らで思うことが、
医療をよりよくするための鍵なのかもしれませんね。
救う人のみならず「救い救われる人」双方に読んでほしいです。

詳細は購入して拝読いたしますが、
親だけではなく、救われた当人の思いも(大変難しい面もあると思いますが)知りたいと思いました。また、”行きつくところは国民の死生観・倫理観の欠如”ということに対しては、私は共感できませんでした。少なくともこの本の登場者のみなさんは、それぞれ悩み、考え、倫理観も死生観ももっていらっしゃるからです。「欠如」ではなく齟齬から生まれてくるものではないでしょうか。

いずれにしても、
ロハスメディカルのお仕事はすばらしいなと感じた本でした。
PDF全文公開には懐疑的でしたが、
この内容なら、効果があるでしょうね。

本日仕事の合間に読ませて頂きました。

これは医療の在り方論を超えたテーマです。日本の1億3千万近い人達の生き方論というか社会論。

個別で見れば、もっとお金を掛ければ母親や家族の負担は軽減出来る。社会全体で子育てする発想に立てば、もっとお金が要る。でも全てに優先して、医療と子育てに青天井にお金を投入し続けることは不可能。全体としてみれば、何処かでボーダーを決めなきゃ社会が成り立たない。

個別と全体の対立、いや、情と理のトレードオフ。そして今までの日本社会では触れてこなかったし、分母の拡大で先送りしてきた葛藤。

この本に登場された方々は、触れずに先送りしてきた葛藤に、否応なく放り込まれ、悩み、苦しみ、そして受け止めることが出来た人。私などは、当事者でないことを良いことに、受け止めず、心をふさぎ、考えないように逃げて来た。

社会として、制度として、政治として、受け止め、悩み、考えて、個別と全体のトレードオフに、ラインを引かなければいけないのでしょう。

そのラインは、はっきりした1本の直線じゃないかも知れない。複数の線か、或いはある程度の幅があって、曲がりとうねりを持った、おぼろな線かもしれない。

でも、どこに線を引くのか、一人一人が考えておかないとイケナイ。

重い宿題を貰った気分です。

藤本浩喜様

大変嬉しいコメントを、本当にありがとうございます。

>この思いを感じ、またそれぞれが自らで思うことが、
>医療をよりよくするための鍵なのかもしれませんね。

まさしく仰る通りだと思います。
私もそう思い、この書籍は皆様が考えて下さるきっかけとしての「道具」になればと思っております。
医療や社会を一気によくする魔法などあり得ず、誰かに任せていてよくなるものではないと思います。
私たち一人一人が、何かしら考えていく事しかないのではないかと、思っております。

ただ、受け止め方も感じる内容も、100人いれば100通りなので
私が思ったのとは全く違う反応をお示しになられる方もおられると思います。
でも、その多様性があり、それについて話し合って共有していくというプロセスこそが大事なのだろうなと思います。


無視よりも、批判の方が有り難いと思うのです。
(「愛の反対は無関心」というマザーテレサの言葉を思い出しますね。私が引き合いに出すにはスケールが大きすぎますが…)
それだけ、関心を持っていただけるという事ですので。

まず医療について関心を持っていただいたり、
知っていただくことなのかな、と思います。

そのためにも無料公開で、一人でも多くの方にお読みいただけると有り難いと思います。
本当に、ありがとうございました。

法務業の末席様

いつも、私が申したい事を見事に別の言葉で表現してくださいます。
本当にありがとうございます。

>個別と全体の対立、いや、情と理のトレードオフ。そして今までの日本社会では触れてこなかったし、分母の拡大で先送りしてきた葛藤。

今の日本は、この「触れてこなかった」「分母の拡大」では
きかなくなってきたと思います。
経済状況、政治状況、国際的な日本の立場…。
見ないままなんとなく、にして放っていたらどこかが破たんしますし、
今は、その破たんが目に見える形で大きく出てきていると思います。

起こった「破たん」はマイノリティの問題として片付けられていたように思いますが、
マジョリティに影響しつつあり、無視できなくなるのではないのかなと…。
「ライン」が、必要だと感じております。

いつも大変勉強になるご指摘、ありがとうございます。
今後とも、ご指導くださいませ。

あらかじめ内容が読めるというのはいいですね。
この手の書籍は読者が共感的に読むので、筆者の適度な感情移入が読者に自然と遷移して「読ませる筆致」になっているように感じました。
ただ、最初に不倫の話が出てくるので本題と関係ないPTA的論議を呼ぶかもしれませんね。

竹庵様

コメントありがとうございます。
対話形式になっていることにより、分かりにくい医療の話も読みやすいとの感想を頂戴することもあり、ありがたく思っております。

>ただ、最初に不倫の話が出てくるので本題と関係ないPTA的論議を呼ぶかもしれませんね。

なるほど。
竹庵様の周りでは起こり得ない、特殊で稀な「ケース」なのですね。

熊田様、はじめまして

書籍は購入予定ですが、冒頭の部分だけ読ませていただきました。
じつはすでに、竹庵さんがおっしゃっている「PTA的論議」というか、「これは特殊なケースである」という感想をもっている方はいるようです。
竹庵さんだけでなく、多くの人にとって
>特殊で稀な「ケース」
なんでしょう。

うちには、最重度の障害者である弟と、軽い知的障害を伴う自閉症児がおり、わたしは、家族の会などのかかわりで多くの障害者の家族を見知っていて、このシングルマザーさんの言葉には共感することばかりですし、きいてみると、私のまわりのNICU卒業組の人も同様のようです。
この不倫の末の…というケースだって、個人的に直近の知り合いではありませんが、無い話ではありませんし、このシングルマザーさんのお話を「特殊なケース」だとは思えません。
しかしながら、それはそもそも、わたしの環境が一般的とはいえないからかもしれないとおもいます。
もし、今後、題と関係ないPTA的論議のほうが活発になってしまうことがあったとしても、私たち障害者を家族にもつものや、当事者がその立場でものをいうと、世の中の多数派であるそうでない人は、遠慮してしまって思うこともいいにくく、結局、自分たちとは関係の薄い話だとおもってしまわれるのは残念なので、口はだすまいとおもっています。
私が望むのは、どんなカタチであれ、まず知って、関心をもってほしいということです。不倫の果て云々の部分をもって「PTA的論議」をするなら、それもまた良いのではないでしょうか。

とっかかりはどうあれ、話題にしてもらえるなら、そうして、こういう現実が有ることを認識して、小児医療や母子医療が表面だけをとらえて、伝えられていること以上の問題を秘めていることを知り、当事者や医療関係者や行政が、表面だけをみて批判したり非難されることが減っていけばとおもっています。

ほんとに、冒頭の部分だけしか読まないで、的外れなことを書いていたら申し訳ありません。手元にとどいたら、しっかり読ませていただきます。

源氏星様

初めまして。コメントありがとうございました。
お返事が遅くなり、申し訳ございませんでした。
大変考えさせられる内容でしたので、新しいブログ記事として書かせていただきました。

今後とも、ご指導のほどどうぞよろしくお願い申し上げます。

米国オレゴン州の低所得者用医療保険「オレゴン・ヘルス・プラン」の管理部局には,「Cost, access, quality. Pick any two(コストとアクセスと医療の質。このうち,2つまでなら選んでもよい)」という言葉が額に入れて飾られているそうです。「コストを抑制してアクセスも保証して質も良くする,3つとも同時に達成することなど夢物語だ」と言っています。

個人の家計にたとえれば誰でもわかりそうなことです。しかし,政策意思決定できる立場にいる人は,分からない振りをしているのでしょう。それぐらい,命と個人意思を尊重する風潮が大きくなり,それに反した発言を公的立場の人がすれば,すぐ叩かれるからでしょう。

第1章と第12章で取り上げられた元商社総合職の方のお話が素敵です。知り合いの目を意識したり,自分を飾ったり,繕ったりする様子がなく,素直にありのままを語っておられるように見えるからです。著者との信頼関係があるからでしょう。

対談場面のところは,オーラルヒストリーを作るときの1つの見本のようです。同情や批判を交えず,よく相手の話を引き出しておられます。

元商社総合職の方が,その後,どのようになって行かれるのか,それも知りたくなる本でした。

原井宏明様

コメントありがとうございます。
オレゴン州の話、なるほどですね。

個人的な話にすると、「安くてすぐ買えて、ハイクオリティ」などというものはあるわけがなく、そのうち1つは欠けて当然と想像できます。
それが「医療」になったとたん、なぜ3つを叶えられると思ってしまうのでしょうかね。
そこを当然と思える自動思考に、何か仕掛けられたものがあるように思ってしまいます。

拙著についてもありがとうございます。
1章の方ももちろんですが、語って下さった皆様あってこその本だと思っております。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

>それが「医療」になったとたん、なぜ3つを叶えられると思ってしまうのでしょうかね。
1つ,私に思いつくことは,国など公的な研究費による医療技術の研究開発の目的です。「安くすぐ買えて,ハイクオリティ」を目指すものでなければ,税金を使う理由づけに困るでしょう。この3条件を無視して,研究者が好きなようにテーマを設定できるものは,ごく珍しい難病・重症者対策しかない,と思います。

国民全体の福祉を考えれば,「今よりちょっと高くて,すぐ買えて,今よりハイクオリティ」が良さそうに思えます。誰でも関わりそうな病気や問題,例えば,ご本で取り上げている一般の新生児医療やうつ,ターミナルケアについて考えたとき,「ちょっと高くて,今よりハイクオリティ」を実現できるような研究開発があってしかるべきと思えます。

一方,「ちょっと高くて」を国民全体に納得してもらうのは無理だと思えます。1つには,今のクオリティで満足しておられる方が大勢おられるでしょう。2つ目には,ちょっと高くしたとしても,それを原資にしてハイクオリティを実現できるのは,一部のサービス提供者に限られます。

専門家は研究しやすいこと,結果が出やすいことしかテーマに取り上げません。もし,いま,不足している研究開発があるとしたら,それを指摘できるのは熊田さんのような非専門家だろう,と思います。

>拙著についてもありがとうございます。
誰から話を聞き,どの話を文字にし,どの順番で本にするか,そうした選ぶ判断が良い,と誉めさせていただきました。

コメントを投稿


上の画像に表示されているセキュリティコード(6桁の半角数字)を入力してください。