医学生の会で講師をしてきました

投稿者: 熊田梨恵 | 投稿日時: 2011年05月20日 19:31

去る5月15日、順天堂大学内の講義室で開かれた「医師のキャリアパスを考える医学生の会」の勉強会にお招きいただき、拙著「救児の人々」について講演してきました。

当日は60人の定員を超える約80人の方が参加され、医学生さんだけでなく一般の方も来場されていました。
医学生さんには山梨や京都から参加された方もおられて、熱意を感じました。


当日話そうと思っていて忘れてしまっていたのですが、私はこの医学生の会とは浅からぬご縁があります。
今から約3年前、当時私はネットニュースの記者をしていました。
その頃、文部科学省と厚生労働省で医師養成のあり方についての検討が行われていたのですが、「医師養成について話しているのに、学生本人がいないのはおかしいじゃないか。学生の声を政治や行政に届けよう」と、当時の医学部生さんたちが声を上げ始めました。

ある日私の携帯に、その医学生さんたちから電話がかかってきました。
すると会の名前をどうしようか相談していて、決めかねて私に連絡を下さったということでした(可愛いですねえ…)。
聞いてみたところ、「医学生当事者の会」といった感じか、「医師のキャリアパスを考える医学生の会」のような感じかで迷っているということ。
私は「当事者の会というのはちょっと怖い感じもするので、もうちょっとマイルドに医学生の会でいいんじゃ・・・」というようなことを話しました。
そこでさらに練られて、現在の「医師のキャリアパスを考える医学生の会」と命名されました。
それから、医学生の会は勉強会だけでなく病院見学やシンポジウムなど色々なイベントを企画し、自ら自分達のあり方について考えて行動し、発信する団体へと短期間の間に成長しました。
ただ教育を受ける側にいるだけではなく、自分達がどういう教育を受けたいか、どうあるべきか考えるということは素晴らしいと思います。
最初は数人で始まった会でしたが、現在は多くの大学の学生が参加して約650人超。すごいですね。
今思うと、私はこの会の命名のタイミングに関わらせていただいたのだと思うと、誇らしい思いすらします。

そんな思い入れのある会に講師に呼んでいただいたことは、本当に嬉しかったのです。
私は拙著の内容を医学生さんたちに知っていただき、ぜひ考えていただきたいと思っていましたので、喜んでお引き受けさせていただきました。

半年以上前から準備は始まり、日程が決まってからは頻繁にやり取りしながら当日のテーマ、進行、内容が決められました。
もう一人の講師でご参加された鈴木真先生からもアドバイスをいただきながら、グループワークの内容、講師の話す内容が決められました。
頻繁に交わされたやり取りからは、学生さんたちが相当拙著を読み込んでくださったのだろうということ、思い入れを持ってくださっているのだろうということ、やり取りしながらさらに考えてくださっているということが分かりました。
私はそのことが、とても嬉しかったです。

そういうプロセスを経ている学生さんたちの姿は、私が拙著で訴えている「思考を停止させてはいけない。考え続けるというプロセス自体が必要」ということに通じていると思いました。

当日、私は本の内容を説明し、鈴木先生からは出生前診断などについて医療現場に即した具体的なお話がされました。

そして学生さんたちのグループワークに入りました。

<症例1>
第2子が先天性ミオパチー(筋肉の病気)を3歳で診断される
そのほかに2人のお子さんがいるが健康上の問題はない
今回4人目の妊娠、家族がまた同じ病気の子供が生まれないか心配であり、相談に来院
方針は・・・

<症例2>
41歳、3年間の不妊治療後に妊娠
妊娠21週、破水感で来院 破水の診断となる
一般的な経過から考えると1週間以内に分娩となる可能性が大きい
流産も可能な時期、24週未満の分娩では生存率も低く、助かっても障害を持つ可能性が高い
その後・・・


どんなふうに診療の方針を決めていくかということで、各グループから意見が出されました。
各グループで目立った相違はなかったですが、「実際にこうなったら」と当事者意識を持ちながらの議論は真剣そのもの。
いろんな答えは出されていましたが、医学生さんと一般参加者では意見の背景も違い、「この人達はこれから医師になっていくのだな」としみじみ感じました。


終了後、いろんな方が声をかけてくださいました。
産婦人科や小児科志望の方、メディアのあり方に興味を持つ方、私の話に興味を持ってくださった方、話は尽きなかったです。
聞いていたところ、医学部の講義の中では、私が講演したような新生児医療にかかる実際の費用など、税金や保険料の話はほとんどされないそうです。
それでは講義を聞いていても地に足が着かないんじゃないかと思いました。
医療には税金が投入されていて、それは国民が一生懸命に働いて得るお金から支払われています。
その上に毎日の医療現場は成り立っているということをもっとリアルに感じられてもいいのでは、と思いました。


当日参加された医学生の方、一般の方、そして準備してくださった会の方達、本当にありがとうございました。
そしてお疲れさまでした。
私はとてもありがたい機会を頂いたと思っています。
多くの方がメールなどで感想を寄せて下さり、多岐にわたるその内容は私自身への刺激にもなりました。
それだけ受け止めるポイントが人によって違う「救児の人々」なのだと再認識しました。

皆さんがどのような医師になられるのか、楽しみだなと感じている私がいます。
心から、皆さんを応援しております。

また、いつも私を応援して下さる医療者の方々もお忙しい中で駆けつけて下さいました。
皆様あっての私がおります。
どう申し上げても感謝の表しようがございませんが、本当にありがとうございます。

これからも、頑張ってまいります。
関西版ロハス・メディカルの「それゆけ!メディカル」も、がんばります!

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