田村憲久・厚生労働相の就任会見

投稿者: 新井裕充 | 投稿日時: 2012年12月27日 23:52

2012年12月27日14時20分~(厚生労働省9階)

[田村憲久・厚生労働相]
 このたび厚生労働大臣を拝命いたしました田村憲久でございます。よろしくお願いいたします。

 今まで、約17年ですかね、国会議員をさせていただきまして、国対から厚生労働行政に携わってきたわけでありますけれども、10年前に一度、厚生労働大臣政務官を仰せつかっておりまして、それ以来、役所に帰ってまいりました。

 特にですね、この3年3ヶ月、野党という立場から厚生労働行政、その中では非常に厳しく追及したところもあるわけでありますけれども、今まで与党であったのが野党という立場で、この役所を拝見させていただくのは非常にいい経験になったというふうに思いますし、その時の経験を生かしてですね、しっかりと大臣の任を務めてまいりたいと思っております。

 
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 総理からいろいろと指示を頂いたんですけれども、やはり経済の再生ということ、これは非常に大きいわけでありまして、これに併せて補正予算等々もしっかりと提出するように、という話でございました。今、それを随時進めておる最中でございますし、それに併せて25年度予算というものも、当初予算というものも合わせ技でですね、つくっていかなければならないな、というのもありますけれども。

 やはり、この厚生労働行政を考えましてもですね、例えば、公的保険等々、社会保険なんかは、やはりなぜこれだけ医療保険、介護保険が財政的に厳しいか。もちろん、高齢化という問題もあるわけですけれども、それだけではなくって、景気が低迷する中で所得が増えない、標準報酬月額が上がらない、下がっているというような問題がやはり保険料収入額を抑えているというのもありますから、景気を良くしないことには「持続可能な社会保障制度」というのは維持できないなということを痛感いたしておりますし、併せて消費税を……

 私も「社会保障と税の一体改革」の実務者で、野党当時ですね、走り回っておったわけでありますけれども、少子化対応にしても、医療、介護、年金にしてもですね、やはり、こういう消費税を充てるとしたところで、質を上げられる環境整備ができないとですね。

 まあ、よく言われておられましたけれども、1997年に消費税を上げたけれども国の税収は下がって、みたいな話があるわけでございまして、やはりまずはデフレ脱却、そして経済を再生した上で、雇用の増大、所得の増大、これを図っていかなければならないわけでありまして、それはまさに、わが省にとっても、もう絶対に必要な分野でございます。特に、雇用はそのままでございますから、景気が良くならないことには雇用は増えませんし。

 一方で、生活保護がですね、今、史上最大規模に膨らんできておりますが、これもですね、景気が良くなっていけば、当然のごとくこれが下がってくるわけでございますから、かなりの部分は、経済、景気にリンクしているなということを改めて感じております。

 事実、この選挙もそういうことを言いながら私も戦ってきたものでありますから、それには厚生労働省の立場からですね、最大限努力をしていきたいというふうに思っておるような次第でございます。

 あとは、総理の指示の中で、1つは震災復興。これに対してですね、最大限の支援をするようにということでございます。厚生労働省といたしましても、例えば医療や介護の分野、人手不足等々が言われておりますから、そういうものに対してですね、できる限りの支援をしていかなければならないと思っておりますし……

 それから雇用のほうも、有効求人倍率等はですね、全国平均と比べても高いような数字、被災地は、3県は出てきておるわけでありますが、実は雇用のミスマッチが生まれておるのは事実でありまして、有期的な仕事で有効求人倍率が高いんでありましょうけれども、一方でですね、やはりこれから生活再建ということを考えられたときにですね、そこの部分、正規で雇われたいというご要望をお持ちの方々がたくさんおられますから、そういうものにも対応できるような体制をとっていかなきゃならないなということも思っておりまして、これは総理の指示通りにしっかり対応してまいりたいと思います。

 あとは緊急時の対応等々、これも言われております。災害だけではなくて、わが省は、例の強毒性の鳥インフルエンザ等々の話もございますから、こういうものも含めてですね、しっかりした対応を、準備を整えていかなきゃならんな、というふうに思っておりまして……

 いずれにいたしましても、しっかり官邸と連携を取りながらですね、わが省の職を全うしたいと思っております。以上でございます。

 
田村憲久・厚生労働相就任会見2012年12月27日.jpg

[NHK]
 幹事社のNHKのタキガワです。幹事社からお尋ねいたします。まずですね、厚生労働大臣として、どのような厚生労働行政、理想像を掲げて今後仕事に取り組まれるのか、その抱負についてお願いいたします。

[田村憲久・厚生労働相]
 なかなか理想像と言うと……、難しいんですけれども……、バランスの取れた厚生労働行政をしていきたいと思います。それはどういうことかと言うと、例えば中身で言うとですね、負担と給付のバランスもそうでありましょうし、それから、世代間、世代内、そういうものの負担のバランス、こういうものもそうでありましょうし、もっと言いますと、やはり政と官の立場ですね。

 あまりにも官が前に出過ぎると、これはわれわれ自民党、反省の部分もあったわけですから、そういう部分は戒めていかなければいけませんが、一方で、政権交代を……、以前ですね、3年3ヶ月前にした時のように、政と官があまりにも乖離しすぎちゃうと、これまた……

 特に国民の皆さんの生活に密着した、そういう仕事が多いものでありますから、なかなか動かないということが起こってまいりますので、政と官のバランスというものもしっかり、その立ち位置……、何て言いますかね、距離感みたいなものを保ちながらバランス良く、この厚生労働省というものを運用していかなきゃならんな、こんなふうに思っております。

 バランス良く協力しながらですね、皆さんのご理解を頂いて、負担と給付の部分もしっかりと進めてまいりたいと思います。

[NHK]
 かつて民主党政権のバラマキというような批判を……、高齢化で増え続ける社会保障費というものを今後どのように抑制されていくお考えなのかという点と……

 それから生活保護、昨日の会見ではですね、生活保護を1割上限でカットするというお話にも言及されたと思うんですけれども、この生活保護については、具体的に今後どのように進めていかれるのか。

 また、連立を組む公明党との関係もあると思うんですけど、公明党への対応というもの、これをどのようにお考えになるのか、お願いいたします。

[田村厚労相]
 高齢化で増えていく、例えば医療や介護などの話ですけれども、まあ、ある程度は、これはもう仕方のない話でですね、医療費等々、高齢化で伸びていくものをですね、無理に縮めるなどということはできなんだろうと思います。

 ただ、医療費の伸び全体を見てますと、高齢化だけではなくて、かなり医療の技術の進歩、こちらのほうが高かったりします。そうなってきたときに、これをどうするか。

 進歩はですね、これは「進歩するな」とは言えないわけでございますから、そういうものをどう保険の中でみていくのかということは、ちょっと大きな議論をこれからしていかなければいけないのかもしれません。

 ただ、これは非常にセンシティブな問題でもございますから、幅広く議論を頂いて、この部分に関してはですね、それを参考にわれわれとしてもいろいろな考え方をまとめていきたいと思っておりますが……

 高齢化に関しては、よく言われていますね……、「病床をある程度減らしていく」とか、「ジェネリックの推進を進めていく」とか、今までの既定の路線の中で進めていくのと……

 もう1つは、よく言われていますように、在宅医療というもの、それから終末期をどのような形で……、「看取り」と言っていいのかどうか分かりませんけれども、人生をですね、納得のいく形で全ういただくような体制を組んでいくのかということも含めて、今、ちょっと全体の議論を整理している部分でありますし……

 それに併せてですね、当然、これはもうあと何十年もしてくれば、2、30年でかなり……、問題がもう目の前にやって来ますのでね、ちょっと早急に、そこら辺のところを整理はしていかなければならないと思います。一定の方向性を示していきたいなというふうに思っておるところでございます。

 それからですね、生活保護に関してでありますが、うーん、これはまあ……、私も自民党の一員でございますから、そういう意味では、自民党の政権公約の中でですね、生活保護費自体を……、あれは8,000億でしたっけね、削減しよう、でありますとか、生活扶助の1割等々の引き下げみたいな話があったというふうに記憶しておりますが、生活保護費全体8,000億というのは、これは期限もあるんですけども、考え方としてですね、切ったらいいという話ではございませんでして、景気をまず良くすれば、当然そこは減ってくるわけでありますから、景気を良くするということが1つ。

 それからもう1つは、就労できる方で生活保護に陥られてですね、なかなかそこから自立できない方々、そういう方々に対しての、やはり就労支援策というものをしっかりと踏まえてですね、自立をしていただくということも進めていかなきゃならんというふうに思っております。

 それから総合的にですね、いろいろと、もちろん……、生活保護まで、セーフティネットの所まで陥らないようにですね、しっかりと、その前の所で、自立支援策等々ですね、しっかりと自らの力で立っていただくということも必要だと思います。そういうことを総合的に進めてまいりたいと思います。

 一方で、生活扶助等々のですね、1割に関しては、これはちょっと、与党としっかり相談をさせていただきたいと思います。今、言われた通り、公明党の考え方もあられると思います。連立政権でございますから、しっかりとそこは相談をさせていただいて、検討会でのご報告もありますから、そういうものを踏まえてですね、一定の方向性を示していきたいと思います。

[NHK]
 最後ですけれども、「社会保障制度改革国民会議」、これは11月にスタートしまして、安倍総理からの指示の中にも、「持続可能な社会保障制度の構築を図ること」ということが掲げられていたと思いますが、この増え続ける社会保障費の伸びを抑制するため、国民会議にはですね、どういう議論を期待されるのか、というお考えをお聞きしたい点と……

 それから、昨日の会見では、医療と介護の分野ですね、「まだ問題が山積されている」というご発言がありましたけれども、この分野、具体的にどういう点が問題だと思っていらっしゃるのか、その点についてお願いいたします。

[田村厚労相]
 私もまだ大臣の任に就いて1日でございますので、厚生労働省の今までの考え方をですね、全部把握したわけではないので、これはちょっと私見みたいなところも入るんですけれども……

 「持続可能性」という意味では、特に医療もそうですが、介護は非常に厳しい状況ですね、介護保険。それは、1号被保険者が象徴的によく言われますけれども、2,911円、全国平均の保険料からスタートして、5,000円弱までいってしまった。「2020年にいくらになりますか」と、当時私が野党の時に、当時の大臣におききした時に、確か8,200円ぐらいですかね、そういう話があったと思うんです。

 急激な保険料の増加というものがですね……、もちろん受益と負担という問題はあるにしても、本当に持続可能なのかどうなのかということは、たぶん国民の皆様方はかなりご不安に思われておられると思いますし、同じことが当然、医療にも言えるわけでありますから、そこら辺のところをどう、持続可能性を……

 つまり言うなれば、負担の増大を……、負担が増えるのは仕方がないですよ、それは。その伸び方をですね、どこまで抑えられることができるのかどうか。これは、1つは消費税の使い道という話になるのかもしれません。

 だからそこはまあ、前政権がそこまで踏み込んでいなかったというふうに私は認識をしているんですが、そこも踏まえて、国民会議の中でいろんなご議論もなされるのではないのかなというふうには、私の理解としてはあります。そういうことを踏まえてですね、与党とちゃんと協力しながら、また、これは3党……、当時ね、しているのでありますから、その中で話を前に向かって、健保行政を厚生労働省に出していただくという話になろうかと思います。

[NHK]
 医療関係については特に……、考え方とか……。

[田村厚労相]
 いや、だから、今のは持続可能性ですよ。

[NHK]
 幹事社からは以上です。皆さん、いかがでしょうか。

[日本農業新聞]
 日本農業新聞のタケバヤシです。BSEの規制緩和についてお尋ねしたいんですけども、月齢を20ヶ月齢から30ヶ月齢にしたということがありますけれども、国民からは不安の声が相次いでいるという現実もあります。そういったものへの説明は、どういうふうに果たしていこうと考えていらっしゃるのか。

[田村厚労相]
 いきなり……、BSEがくるとは思っていませんでした(笑)。

 えー……、そうですね、これは食品安全委員会がですね、われわれが評価を依頼してですね、その結果、答申があったわけでありますから……、まあ……。

 もちろん、説明は十分に尽くしていかなければならないんだと思いますけれども、われわれが一応依頼したものに対して、委員会のほうが一定の答えをお出しになられたということでございますから、それはそれでですね、われわれとしては尊重していかなければならないんだろうというふうに思います。

 輸入牛肉に関する骨子については、輸出国政府との協議、現地の調査……、審議会でも報告が必要な……、進めた上で、速やかにこれを……いこうかということになろうかと思います。まあやはり、そこは中立的な、と言いますかね、委員会が出された見解でございますから……。

[朝日新聞]
 すみません、朝日新聞の……、いくつかあるんですが、まず1つ目は生活保護についてですが、昨日の会見で大臣は、「経済状況とか生活状況を見ながら決める」というようなことをおっしゃっていましたが、例えば、今後の部会の議論とか、経済状況の結果によっては、そもそも下げないということも選択肢にあるのかどうか……。

[田村厚労相]
 でもこれはですね、下げないということは……、まあ、ないと思います。それは、下げるということを前提でいろいろと議論をしてきている部分がありますので、そこは、下げないということはないんだと思いますし、事実、そういうことにもならないんだろうと思います。

 ただ、その幅というのはですね、やはり、ちょっと、いろいろと今の状況を勘案しないとですね、今、軽々にはものが言えない。確かに、党のほうにも、公約には書いてありますけれども、だからと言って、現状をしっかり把握せずに下げませんというふうには言えません。そこはしっかりと現状を把握しながら、ちゃんと……あるわけですから、そこを踏まえて……。そこは与党との……ということでございます。

[朝日新聞]
 生活扶助の10%カットというのが党の公約ですが、今後の……、公明党さんだとか経済状況との関係では、必ずしも10%という数字には固執せず、柔軟に対応されるという考えで……。

[田村厚労相]
 まあそうですね、10%までいくのかどうかというのは……、必ず10%にいくかどうかというのは分かりませんし、まあもちろん、すぐに10%という党の……にはありませんから、そこは状況を見ながらという話になりますね。

 いろいろと物価の問題で止まってた部分もございますから、そういう部分も勘案しながら、ということになると思います。

[朝日新聞]
 もう1点、お願いしたいんですが、小泉政権時代にですね、自民党は社会保障費の2,200億円を一律カットをされてきて、それが社会保障のいろんなひずみを生んだと批判がされています。

 今後の安倍内閣の中で、そのような社会保障費の一律カットというのが選択肢にあるのかどうか、教えてください。

[田村厚労相]
 いや、今のところ、そういう指示は頂いておりません。ですから、そういうことは今のところはないというふうに、私は認識をいたしております。

[朝日新聞]
 大臣としては、一律カットという手法については、どのようにお考えになりますか。

[田村厚労相]
 そもそもねえ、毎年2,200億円というカットというのは、「5年間で1.1兆円」というところから来ていた話でありまして、それは……、実はその前、10年間にわたってやってきた話の中でのことでありますから、それが、今そのまま、また2,200億円と言うと、何の根拠もない話ですから、まあ、そういう話にはならないと思いますし、必要なところに必要なものは、やはりちゃんと付けていかなければならんと思いますから。

[朝日新聞]
 もう1点だけ、先ほど医療、介護の持続性のために消費税のことに言及されましたが……、ということは、民主党政権が決めていた消費増税の使い道をですね、変えて……、自民党は公約の中で介護保険だとか高齢者医療の消費増税をおっしゃっていますが、そういったものに投入することも選択肢として考えてらっしゃるのか。

[田村厚労相]
 それはね、3党協議とも絡む話になるのかも分かりません。ですから、ちょっと党のほうとも相談を、与党のほうとも相談をさせていただかなきゃいけないことだと思います。

 政権交代というのは……、また政権交代になったわけですから、今までの前政権のね、進めてきたいろんな方向性、施策に対してですね……、まあ、いいものはしっかりとわれわれは引き継いでいきますけれども、考え方が違うものは当然のごとく、それは変えていくというのが政権交代の意味でありますから、そこはですね、ちょっと、与党としっかりと話し合いを進めながら、変えるべきものは変えていきたいと思います。

 今の話は、その中でどうなるかというのは、これからの議論でありますから、ここでどうだ、という話はちょっと控えさせていただきたいと思います。

[日本テレビ]
 日本テレビのイナバと申します。生活保護ばかりで申し訳ないんですけれど、8,000億ということが、一応挙げられています、公約の中で。そうしますと、生活扶助だけではなくて、医療扶助の、例えば一部負担ですとか……

 財務省は、例えば「一部負担が望ましい」ですとか、「ジェネリックを生活保護に限って義務付ける」ですとか、いろいろな案を示しているんですけれど、大臣としては、医療扶助に関してはどうお考えでしょうか。

[田村厚労相]
 まあねえ、生活保護費の約半分ぐらい……弱ぐらいですかね、医療扶助だということで、これは大きなものではあります。

 一方で、必要なものを切るわけにはいきませんから当然。これは、もちろん生活保護全般において言えることですけれども、必要なものは必要なものとして、われわれは見ていかなきゃいけないと思っておりますので、何もかも切るという話ではありませんが、一部負担に関しては、いろんなご意見がありますけれども、なかなかですね、一部負担ということを導入するのは、ちょっといろいろと問題点もあるのかなあーというのが今の私の感覚ですね、感じですね。

 それから、ジェネリックの義務化などという話も出ておりますが、ジェネリックのほうにどんどん移行していくのは、これは生活保護だけではなくてですね、医療保険のほうもそうなんですけれども……、ですが、まあこれを義務付けるというよりかは、事実上そちらに誘導できるような何らかの方策を考えていくというのがまあ……、これに対しては、義務付けには反対されておられる方々のお声もございますから、そこはですね、われわれも慎重に対応していく必要があるのではないのかなあ……。

 あまり、何もかもこう、強制的に強制的にっていう話になると、ちょっと自民党、それから公明党も含めてですけれども、「現内閣が弱い立場の方々に対して厳しい」みたいなイメージにもなっちゃうんで、そこはあまり強制的なことを考えるよりかは……、方向でいっていただくようなことを模索してほうがよろしいのかな、というふうな……、今、私はこんな感覚を持っております。

[日本テレビ]
 「誘導できるような方策」とは、例えばどういうことが……。

[田村厚労相]
 うーん、まあちょっとそこは、これから考えさせてください。それが、すぐ答えが出てくればですね、そんなに今まで悩まなくていい話でございますので、ちょっといろいろと仕組みを考えてまいりたいと思っています。

[日本経済新聞]
 すみません、日本経済新聞のキタモトです。2点、お伺いいたします。1つが、昨日もお伺いしたことなんですが、70~74歳の医療費、一部報道では再来年まで引き上げを延期するということも出ていますが、自民党、民主党政権等で棚上げにしてきた問題、「また選挙を前にして引き上げられないのか」という意見もありますが、大臣自身はどのようにお考えでしょうか。

[田村厚労相]
 私個人? 個人として言うのはなかなか難しいのかもしれませんけれども……、うーん、やっぱりこれはね、その……、景気がね、良くて、例えば年金がですね、このような状況で、下がらない状況下を想定をしてきたわけですよね、法律を作った時に。

 ところがですね、年金は下がり続ける。これからまた……問題もあってですね、下がっていくわけでありますから、そういう時にですね、果たして、うーん、どうなのかというご意見があるのも事実であります。

 一方で、財政を考えた時にですね、これは当然、「本則に戻すべきだ」というご意見も、これももっともな意見でございますので。

 われわれ元々、自公政権で法律を作った時のものをですね、本則をまだ実行できずに、ずっとこれを除外しているというのはですね、「オマエら都合が悪いから」……、何て言うんですか、「怠慢じゃないか」って言われれば確かに……、そこまでは分かりませんが……。

 ただ、やっぱり景気を良くするということ、これがもうすべてだと思います。前提条件を、やっぱりクリアーをしていかなければですね、いろんなものに対応できないのは事実なので、そことのバランスで、ちょっと与党の皆さんで相談をさせていただきたいと思いますので、私個人の意見は差し控えたいというふうに思います。

[日本経済新聞]
 ありがとうございます。もう1つなんですが、若者の雇用問題なんですが、自民党の政策集の中では4年間で、失業率を、若者は半減すると書かれていました。確かに、景気が良くなればある程度は下がるのかな、と思いますが、半減とまでいくと、なかなか難しいのかな、というのがありまして。

 政策集の中では、労働力の流動化ということも書かれていますが、これは若者の雇用をめぐる構造的な……、何でしょうか、解雇規制の緩和だったり、そういうところまで踏み込んだお考えをお持ちなのかどうか、お聞かせください。

[田村厚労相]
 若者の……、解雇規制、全体の解雇規制?

[日本経済新聞]
 いや、若者の雇用を底上げするために、労働市場全体の流動力を高めるということが書かれているんですが、これは解雇をしやすくするのかとか、そういうことも含むのか。

[田村厚労相]
 うん、なかなか難しいご質問ですね。あの……、そういうご意見があるのは賜っております。解雇……、非常に、整理解雇等々、難しい国でありますから、それが結局ですね、若者の正規雇用につながっていないというようなご意見があるのは承っておりますが……

 今、すぐにそれを打ち出すとなると、こういう経済の状況でですね、じゃ、その方々が今度……、解雇された方々がですよ、どうするんだという話にもなるわけでありまして、まあ、まあ、そういうご意見があるということは承っておることは前提としながらも、なかなかそう簡単には、そういうふうなところまでは踏み込めないというのが今の現状だという認識であります。

 一方で、どうやってそれを、若者の失業率を半減するかというような話でありますが……、まあ、まず第一は景気ですよ、それはおっしゃる通りで。こういう状況、経済状況の中ではとてもじゃないですけれども、若者の雇用が増えていくはずがないので、そういう意味で、大幅な金融緩和、それから円高是正、これはまあ、金融緩和をすれば間接的に円高も是正されていくわけでありますけれども、こういうものでですね、製造業等々を日本に呼び戻すというのも必要でありますし、新しい成長戦略等々ですね、新しい産業を育てていくということ、こういうことも必要であろうと思います。

 これは実は、雇用問題というものは、「半分」とは言いませんけれども、何割かはやっぱり景気対策が絡んでくる問題でありますから、それはそれとして、一方で、今もやっておるんですけれども、大学の新卒者の方々をですね、ハローワーク等と連携をしながらですね、しっかりと、これに対していろんな情報を提供できるような形をとっていって、新卒者の方々をですね、しっかりと雇用に結びつけていくということ、これはわれわれも当然やっていかなきゃいけないと思いますし、ここにはさらに力を入れてまいりたいと思います。

 特に、他省庁でもやっておられるんですけれども、やはり地方の中小企業等々と、雇用のミスマッチが言われておって、そんなことを進めだしたら、若干なりとも就職率が上がってきたという所もございますから、そういうものはさらにわれわれも進めていかなきゃならんというふうに思っておりますので……。

 ま、ちょっと、総合的な対策みたいなものを含めて、まあ、これからですね、役所のほうに、若年者……、若者の雇用に関してはちょっと指示をしてもらいたいなというふうには思っております。

[時事通信]
 すいません、時事通信と申します。よろしくお願いします。子育てに関してお伺いしたいと思います。自民党の子育て政策に関する方針というのは、一義的に親が責任を負うというものがあると思うんですが、3党合意したとはいえ、「子ども・子育て新システム」というのは、社会全体で子どもを育てていこうという民主党の考え方が基本方針になっていると思います。

 この2つの方針については国会でも、野田聖子議員など自民党の議員の方が強硬に主張されて、激しく対立していた印象があるんですが、今後、政府として子育ての方針について、基本方針というのをお聞かせいただきたいと思います。

[田村厚労相]
 「子ども・子育て新システム」ではないですよね、この間、あの合意したものは。新しいシステム……。まあ、名前が違うからどうなんだという話なんですけれども……。

 そこはですね、当時の民主党の提案者の皆さんのご答弁なんかを思い出しながら考えてみますと、「そうは変わらないんだよ」というようなご答弁をされていたように思いますが、われわれが当時、野党の時に激しく、当時の政府にかみついたのはですね、「社会が子どもを育てる」というような……、その話になりますと、なんか、「社会がまず一義的に」という話になっちゃうんで、「そこはやっぱりおかしいんじゃないですか」ということをわれわれは言ってたんですね。

 それに対しての答弁は、「いや、そうじゃないです」というようなご答弁だったというように……。当然、親が育てるのが当たり前で、それを社会がサポートするんですよと。そのサポートする度合い……、今まではどちらかと言うと、親に任せっきり……じゃないですけれども、親に対する比重が重かったのが、「もうちょっと社会全体でサポートしよう」というような、「そういうニュアンスです」というような、そんなお話だったと私どもは承っておりまして、そういう意味から見るとですね、もしそういうご主張だとすれば前政権が、そこはまあ、それほど違いはないのかなというふうに思います。

 当然、私は、国がなくても、子どもは親が、親というか保護者が育てるわけでありますから、社会が……、国がない中でも必ず、子どもが生まれれば保護者が育てるところでございますから、そこはもう、人類共通の当たり前の話だと思っておりますので、それほどそこは齟齬はないという認識はいたしております。

 ……はい、じゃ、すいません。

[NHK]
 ありがとうございました。
 
(了)

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コメント

全文拝読いたしました。田村厚労大臣には、上記種々課題の他に医療イノベーションへの強いリーダーシップを期待しています。医薬産業に関しても世界でほぼUS$900Billion、2015年にはUS$1,000 Billionを超える大きな産業であり、産業政策は、日本の経済に大きなインパクトを与えます。護送船団方式に決別し、強い製薬企業、ベンチャー育成が求められています。社会構造の大きな変化、脱産業社会、知識集約型産業、知能資本主義など新しい時代を見据え、知識集約型産業の中核である医薬産業、医療機器産業分野を戦略分野と捉え、世界シェア拡大を目論むことは、日本の目指す方向の一つと確信しています。医療ツーリズムも一つの産業化を予見しており、田村大臣には、広く医療産業育成の観点でも長年の厚労分野でのご経験を生かしリーダーシップを期待しております。

20 消費税増税で プログ検索中です。消費税増税したら 中小企業開業医 漁業 農家は 倒産になるところも多い。。
失業者が どれくらいでるかなぁ?思えば 3% 5%で 倒産 閉店したところもあるかなぁ。
景気が よくなったらという基準は どうなるのかなぁ。景気があがっても、増税による倒産かなぁ。
景気の変動もありますね。社会保障とは どういう具体案かなぁ。老人 医療 孤児 身障者 震災者 風俗芸能 失業者~。
税収は 大丈夫かナァ。
インフレにするのかなぁ?資本金 大丈夫かなぁ。大恐慌まで ならないよね。
お金が 紙切れになる~。
どういう国の主義になるのかなぁ? 

先生のご活躍、三重県民としてうれしく思います。

私は引きこもりなどで悩み苦しむ若者の社会復帰自立支援を行う団体で

す、是非一度意見交換させていただきたいと思っております。

実現することを願い先生のご活躍を応援しております。

NPO法人大地の会 黒田としき

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