R25終了

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2017年03月02日 00:00

R25が来月でサービスを終了するらしい。気づいたら時代から取り残されていて、知っている人が誰もいなかったような、そんな寂しい感じだ。


『R25』のことは、その構想段階から知っていた。私も参加した朝日新聞社の社内ベンチャー『seven』に巻き込んだ多くのフリーランスの人たちが、僅か2カ月での休刊(彼らからしたら、朝日新聞社の裏切りにしか映らなかったと思う)によって行き場を失い、『seven』用に試行錯誤していたニュース製造ノウハウを持って参加したのが『R25』だったからだ。そうした人たちから、リクルートに参加を誘われているという情報、どうせなら朝日新聞社で再挑戦したいという気持ちなどを聞かされ、またこの構想を放っておくと新聞にとって「破壊的イノベーション」になる可能性が高いとも考えたので、私は当時の上司に、彼らが本当の脅威になる前に『R25』と同じようなものを作って潰してしまうべきだ、何なら自分がやってもいい、と進言した。しかし返ってきた答えは「君はいつまで遊んでいるつもりなんだ?」だった。


私の会社に対する憤りは頂点に達した。朝日新聞社を辞めるに至った最後の一撃だった。


独立し、先輩に言われて病院に置くフリーペーパーを作ろうと構想を練り始めた頃、リクルートと三井物産が合弁でR3ヘルスケアという資本金約5億円の会社を作った。医療に関する情報発信をする会社というので、「しまった。またリクルートにしてやられるのか」と思ったら、彼らは、病院配置のフリーペーパーは採算に合わないから、とやらなかった。


その間隙を突く形で私は『ロハス・メディカル』創刊に漕ぎ着け、ささやかに見返した気になっていた。ただ今になれば、彼らが「採算に合わない」と判断したのは、全くもって正しかった。随分つまらない意地のために時間とお金を浪費したのかもしれない。


いずれにせよ、自分にとって『R25』というのは、今に見ていろ、いつか追いついてやるぞ、という存在だったのだ。それがなくなる。何だか無性にむなしい。

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