記者が当事者になって思う、情報を得ることの難しさ

投稿者: 熊田梨恵 | 投稿日時: 2017年04月15日 00:00

私は医療情報誌の記者をずっとしてきたし、妊娠出産についても周産期医療についての「救児の人々」という本を書いていたので、医療情報については一般の妊婦さんよりは知っている方だと思っていた。

ところが妊娠して以降、「え、全然知らんかった、そんな大事なこと誰か教えてよ」と思うことにしばしば出くわし、参った。(例えばなぜ出産直後は体を大切にしなければならないのか、とか、その方法や考え方とか)

おまけに産後うつになって家事育児不能状態に陥る羽目になり、「おいおい、私こんな仕事してるクセにこのザマかよ」と毎日自分を責める羽目に。

その時に思ったのは、当事者になると必要な情報を得るのがとても難しくなる、ということだった。

特に、問題発生を未然に防ぐための情報を得る、というのが難しい。

元気な時には病気のことなんて心配しない、というのと同じで、今の状態がそれなりであれば、「自分には関係ない」と思って情報が流れていても目にとめなかったりする。

そもそも自分にどんな問題が起こるかなんて分かりようがない。医療に限らず、日常生活にはありとあらゆる問題の種が潜んでいる。いちいち気にしていたら生活そのものが成り立たなくなる。

大体は、問題が発生してから慌てて調べたりするものだと思う。

(乳児がハチミツによる「乳児ボツリヌス症」で死亡、という悲しい事件があったが、私は母親が非常識だとは思わない。たまたまその情報に触れていなかった、アンテナを張っていなかったということはよくあることだと思う。母子手帳に書いてあるとはいっても、隅々まで読んでいる人がどれほどいるだろうか)


記者として仕事していた時には、客観的に考えるので、どんな問題がどこに発生しそうかと常にアンテナを張っているし、時間も体力もあるので調べられる。そういう立ち位置と姿勢を常にとっている。

私の場合は、記者として周産期医療政策についてのアンテナは張っていたが、一人の生活する妊婦になった時に記者としての姿勢も立ち位置もとらなくなり、妊産婦にどんな問題が発生しそうかというアンテナを細かく張らなくなったので、様々な問題に見舞われたわけだ。


似たようなことを、コムスンにいた頃にも感じた。

私は新卒後、福祉新聞社という福祉業界専門誌の記者をしていた。霞が関や永田町に常に出入りしていたので、福祉や介護に関する政策の動向の最前線を見ていた。特に介護については当時、介護職がどこまで医療行為に関わってもよいかとか、資格の内容など、よく制度が変わっていた。

その後、現場を知りたいと思って社会福祉士やヘルパーの資格を取ってコムスンに就職したわけだが、実際に現場にいると、そういった制度の変化の情報が全く入ってこなくなった。

いや、正確に言うと、目の前の仕事に手いっぱいで、とてもそういった情報を得ようという気が起こらなくなったのだ。制度の変化についての情報は、休憩所にファイリングされて置かれていたが、少ない休憩時間は少しでも休みたく、見る気がしなかった。他のスタッフもほとんど手に取っていなかった。

情報を得ることは、+αの仕事になるため、エネルギーが必要だった。当時はそんな余裕はなかった。

記者時代は自分の書いている新聞を見れば現場の人たちも情報を得られる、ぐらいに思っていたのだが、全然違ったわけだ。

その時にも、当事者に情報を伝えることがいかに難しいかということは、痛感していた。

自分が記者という情報の伝え手だからといって、うまく生活にも応用して立ち回れているかというと、できていることと、できていないことがある。

「問題の未然防止のための情報提供」というのは情報の受け手一人ひとりの立ち位置や考え方が違うので、なかなか難しく、これからも考えていくテーマの一つだと思う。

ただ、自分が記者として持っている情報で、生活の中でどう生かされるだろう? と思っていることは多々あるので、育児・介護をする生活者の一人として検証してみようと思う。

そこで考えているのが、「かかりつけ医を探す」ということ。地域包括ケアの話題の中では当たり前のように言われているかかりつけ医だが、そもそもかかりつけ医ってそんなに簡単に見つかるのかということ。もっと言えば、自分が医療に望むものをより良く提供してくれるかかりつけ医とはどうすれば出会えるのか。これはそう簡単ではないはずだ。

特に広告規制、これがあるため難しい。

地域の中でネットワークを、とか言っているが、患者が選ぶための情報がないのにどうやってネットワークつくれというんだ、と。

制度の考えと、実際の生活の違い、このブログの中で少しずつ書いていきたい。

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