文字の大きさ

過去記事検索

情報はすべてロハス・メディカル本誌発行時点のものを掲載しております。
特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

気づくかが分かれ目 脳卒中

どんな症状が出るの?
25-1.1.JPG さて脳卒中では、どのような症状が出てくるのでしょうか。
 個別に説明する前に、突然おかしくなるという特徴を頭に入れておいてください。テレビを見ている最中とか、風呂に入ろうとしたらとか、外出から戻ってみたらとか、朝起きてみたらという案配です。突然現れた軽い段階で見逃さないことが大切です(左表も参照)。
 まず最も起こりやすいのが、何らかの「運動障害」、いわゆる麻痺です。脳の壊れた部分と左右反対側で、多くの場合、腕や脚、顔に力が入らない片麻痺になります。持っているつもりのコップを落とす、タバコが指の間から滑り落ちる、字を上手にかけない、箸を上手に使えず食べ物を食卓にちらかす、歩行時に足を引きずる、絨毯の隅でつまずく、スリッパが脱げやすい、などが初期段階。
25-1.2.JPG 「意識障害」(左表参照)は、あくびが多いとか、ボーッとしているとか、起こしても起こしてもすぐ寝込む、などが初期段階です。
 「言語障害」もあります。急に「アアア、ウウウ」しか言わないようになるとか、鼻に抜けるような不明瞭な発音などが、初期段階です。
 詳しくみると、二つの型があります。一つは、口や舌の筋肉の力が落ちてうまく話せない場合で、「構音障害」といいます。飲食物をうまく飲み下せない「嚥下障害」がしばしば一緒に起きます。
 もう一つは、口や舌の筋肉の力は保たれていても、言葉の組み立てや理解ができなくなり、日本語が外国語のようになってしまう「失語症」です。自分で言葉をつくることができない場合、他人の言葉を理解することができない場合、その両方の場合があります。どの場合でも、本人にとっては外国の病院に入院したも同然となり、診療に大きな困難が生じます。
 また平衡感覚が異常になって、ふらつきや歩行障害が出たり、めまいが出たりすることもあります。
 脳の組織が壊れてしまうのが原因なので、およそ脳の関与していることすべてに異常の出る可能性があります。それだけに脳卒中と気づかず、治療のタイミングを逸するのが怖いのです。

  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
掲載号別アーカイブ