第4回 |
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投稿者: | 投稿日時: 2006年08月10日 10:20 |
みぞおちの痛みは日常的に起こるようになっていた。
いつ痛みが起こるかはまったく予測がつかない。
食べる量、種類、時間に関係なく、まるでロシアンルーレット。
ついには水を飲んでも痛くなるという、わけのわからぬ状況になり、
こんどは、絶食し栄養補給の点滴に通うよう告げられた。
絶食。
文字通り、何も食べないこと。
胃に物を入れない限り痛くなることもなく、
食べないほうが調子よい私は、
むしろホッとしていたのかもしれない。
一方で、栄養補給の点滴に通うことは、仕事の状況が許さなかった。
見かけの体調のよさで、自分自身をごまかしていた。
一週間後。
からだがまったく動かなくなった。
ベッドから起き上がることができない。
みぞおちの痛み云々ではなく、
ガソリンが切れて動かなくなった車のようだった。
一度目の入院。
「上腸間膜動脈症候群」という病名は、主治医以外の誰もが疑った。
別のドクターの勧めで、ガストログラフィンを飲み通過障害の検査をおこなう。
ここで「通過に問題なし」と診断され、
ふり返れば、治療を迷走させる最初の原因となったような・・・
私自身、10日間の病院暮らしは何のための入院だったかよくわからず、
常食に戻ることもなく、ほとんど食べられないまま退院し、
翌日から仕事に戻った。
対症療法でやり過ごす日々。
それが根本的に何かの解決になるとはさすがに思っていなかったが、
私も主治医も、
「いつか痛みが消えるのではないか」
という淡い期待にすがるしかすべがなかった。
同時に、痛みを抑えるために使用している薬の副作用で、
自然な排便がなくなっていた。
そして、増える一方の内服薬。
私の不安は次から次へとふくらんで、限界に近づいていく。
「何を食べれば痛くならずに済むのだろう・・・」
<次回へつづく>