第17回 |
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投稿者: | 投稿日時: 2006年10月24日 13:23 |
痛いのは当たり前である。
13センチ切っているのである。
しかも切ったところはちょうどからだの中心。何をするにしても腹筋は使う。
歯を食いしばりながらベッドからドアまで一往復。
これが今日の進歩だ。
しかし、不思議なもので、
一度無理をすると必ず次はそれ以上のことができるようになる。
翌日には、何の苦労もなくベッドから起き上がれるようになり、
部屋を二往復できるようになった。
おかげで尿の管も抜け、
これだけは介助されたくないと思っていたトイレもなんとか自分で行くことができた。
傷の痛みは、毎日必ず少しずつ良くなっていく実感がある。それが救いだ。
それでも、やはり傷はこわい。
消毒のときには全身に緊張が走った。
「少しでも何かが触れたら痛いのではないか」と思うと、
からだが強張って直視できなかった。
一方、いちばんつらいのは痰を出すこと。
手術後は痰が多くなるとは聞いていたが、
これがまったく出せないのである。
痰を出すには腹筋を使う。まったく力が入らないので痰が出せないのだ。
鼻から胃に入った管がすでにのどを占拠している。
ただでさえ息苦しいところに痰が絡み、
水の中で溺れているような感覚。痛いよりよほどつらい。
さらに傷の痛みももちろんある。
その上、夜中に廊下のトイレから別の患者さんが嘔吐する音が響いてくる。
睡眠導入薬を用いても、一睡もできない夜が続いた。
「一週間経てば傷の痛みは治まるから」
主治医のことばだけを信じて、
まさに修羅場の一週間が過ぎていこうとしていた。
<次回へつづく>
コメント
次が読みたい病から
なかなか開放してくれませんね。
お早い「次回」を希望ーします。