福島県立大野病院事件第七回公判(4) |
|
投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2007年09月03日 17:28 |
整理が悪く延々と読ませて申し訳ないが
長ーい、長ーい検察側尋問の続きである。
(これでもだいぶ端折っているので
全文は、いずれアップされる
「周産期医療の崩壊をくいとめる会」サイトで見てほしい)
検察官 開腹後にプローベで検査することを決めたのが12月6日で濃厚赤血球5単位を準備することを決めたのも12月6日ですね。
加藤医師 はい。
検察官 看護師やH医師に事前に説明しましたか。
加藤医師 覚えていません。
検察官 前回の傷にかかっているかもしれないと説明しましたか。
加藤医師 覚えていません。
検察官 言ったかもしれないし、言わなかったかもしれないということですか。
加藤医師 説明したかどうかを覚えていないということです。
検察官 双葉厚生病院のK医師には何と説明したか覚えていますか。
加藤医師 「一部かかっているかもしれないけれど大丈夫です」と言いました。
検察官 あえて事実と異なることを言ったのですか。
加藤医師 はい。
検察官 応援依頼したのは初めてですか。
加藤医師 はい。
検察官 何のために応援依頼したのですか。
加藤医師 出血が多くなって子宮摘出の判断に迷った時に相談しようと思いました。
検察官 事実と違う説明をしたのはなぜですか。
加藤医師 まず断られることはないと思ったのですが、何でもない症例でお願いするのは気がひけたからです。
検察官 断られることがないなら事実を話せばよいではないですか。
加藤医師 断られはしないと思っていましたが、渋っている感じがありました。
検察官 K医師からMRIをやったかと聞かれませんでしたか。
加藤医師 聞かれました。
検察官 後壁メインということを説明した後にそう言われたのではありませんか。
加藤医師 やった方がいいと思っているのかなと思いました。
検察官 なぜ、そんなことを言うのだと思いましたか。
加藤医師 何でだろうと考えました。
検察官 なぜ、そんなムダなことを言うのだろうと思ったわけですか。
加藤医師 はい。
検察官 そのようなことを言う医師に応援を頼んだわけですか。
加藤医師 ・・・
(中略)
検察官 Kさんという看護師から進言を受けませんでしたか。
加藤医師 進言というか、話をしました。
検察官 本当にここでやるのか、と言われませんでしたか。
加藤医師 はい。
検察官 そう言われてどう思いましたか。
加藤医師 Kさんは助産師で外来ではベテランの助産師なんですが、頭が少し大きいと帝王切開しましょうとか、少し出血が多いとすぐに他の病院に送りましょうというような、何でも大袈裟にとらえる人なので、いつものことだと思いました。
検察官 前回帝王切開の前置胎盤で大変な出血をした症例があったからという話ではありませんでしたか。
加藤医師 大学でそういう症例があったという話でしたが、いつもの送りたい送ろうかと思いました。
検察官 手術前に(福島県立医大助手の)S医師と話をしましたね。
加藤医師 はい。
検察官 前回帝王切開創と胎盤の位置についてどのように話をしましたか。
加藤医師 覚えていません。
検察官 かかっていないと思っているという話でしたか。
加藤医師 覚えていません。
検察官 かかっているかどうかという話をしたこと自体はいかがですか。
加藤医師 聞いたかもしれませんけれど覚えていません。
検察官 S医師から応援について話が出ましたね。
加藤医師 はい。
検察官 なぜS医師がそんなことを言ったと思いますか。
加藤医師 S先生の心境やそう言った理由までは分かりません。
検察官 あなた自身のこととして、なぜS先生がそんなことを言ったのか思い当たることはありませんか。
加藤医師 まあ通常は前置胎盤で出血の多くない症例が多いのですが、そうでないケースもあるので注意しろということでないかと思います。
検察官 大野病院へ派遣されるにあたって、医局から応援について何か言われていませんでしたか。
加藤医師 言われていました。
検察官 どのように言われていたのですか。あまり呼ぶなとは言われていませんでしたか。
加藤医師 問題ない帝王切開なら外科の先生と一緒にやってくれと言われていました。
検察官 問題ない場合との留保つきですか。
加藤医師 はい。
検察官 大野病院では以前にも前置胎盤の症例があり、この時には母子とも無事だったのですね。
加藤医師 はい。
検察官 その手術の際は麻酔科医はいましたか。
加藤医師 連絡したけれど来てもらえませんでした。
検察官 どうしましたか。
加藤医師 私が麻酔をかけて帝王切開を行いました。
検察官 その症例では胎盤の癒着はあったのですか。
加藤医師 ありませんでした。
検察官 出血量はいくらでしたか。
加藤医師 1800ミリリットルです。
検察官 輸血はしましたか。
加藤医師 しませんでした。
検察官 麻酔が効かなくて大変だったということはありませんか。
加藤医師 はいありました。腰椎麻酔だったのですが、途中から痛がっていました。
検察官 前置胎盤の症例を手術する時に教訓のようなものはありましたか。
加藤医師 麻酔科の先生はいた方がいいなと思いました。
検察官 いればできると思いましたか。
加藤医師 いればできると思いました。
検察官 大野病院はスタッフが揃っていると思ったわけですね。
加藤医師 はい。
検察官 ならばK医師に応援を依頼しておく必要はあったのですか。
加藤医師 ・・・
検察官 普通の前置胎盤でないと思ったからこそ応援を依頼したのでありませんか。
加藤医師 S先生と話をした時にK先生の話も出てきたような気もします。
検察官 K医師に連絡したのは手術当日の12月17日ですね。
加藤医師 はい。
検察官 Aさん夫妻に応援の話をしませんでしたか。
加藤医師 しました。
検察官 でも14日の時点では応援の依頼をしていませんよね。
加藤医師 はい。
検察官 どういう風に説明したのですか。
加藤医師 何かあったら呼ぼうと思っています、と話しました。
検察官 K医師に約束も取っていないのに、なぜ説明したのですか。
加藤医師 お話をしていても、来れなくなっちゃうこともあるので、当日話をした方がいいかなと思いました。
検察官 (メモ不完全)
加藤医師 断られることはまずあり得ません。
検察官 K医師がお産か何かで来られないとしたら、どうするのですか。
加藤医師 その場合は応援が可能な時間へずらそうと思っていました。
検察官 実際には何時に連絡しましたか。
加藤医師 お昼ごろです。
検察官 応援の医師の都合が悪ければ時間をずらすと看護師やH医師に伝えていましたか。
加藤医師 いや言っていません。
検察官 12月14日に子宮摘出の説明はしましたか。
加藤医師 はい。
検察官 Aさんが子宮温存希望であるとの認識でしたか。
加藤医師 温存希望というか、もう一人欲しいという希望は認識していました。
検察官 子宮摘出の可能性について説明して同意書をもらった時、妊娠について改めて聴取しましたか。
加藤医師 はい聞きました。
検察官 Aさんが子宮的出を渋る様子はありましたか。
加藤医師 それはありませんでした。
検察官 不妊手術をするかどうかは毎回聴いているのですか。
加藤医師 2回目以降の帝王切開を行う時と経膣分娩を何度かしていて帝王切開になった際には聴いています。
検察官 不妊手術を希望しないとのことだったのですね。
加藤医師 はい。
検察官 それのみで子宮温存希望と判断したのですか。
加藤医師 もう一人子供がほしいともおっしゃっていたので。
検察官 Aさんが子宮温存希望であるということが、手術中のあなたの判断に影響を与えましたか。
加藤医師 影響はありませんでした。
検察官 それはないということですか。
加藤医師 はい。
検察官 開腹後、前回帝王切開創は見えましたか。
加藤医師 見えませんでした。
検察官 なぜ見えなかったのですか。
加藤医師 最近は見えない方が多いです。
検察官 それはなぜですか。
加藤医師 子宮を縫うときに溶ける糸を使うので。溶けないと傷の周囲が硬くなったりします。
検察官 見える場合は線のように見えるのですか。
加藤医師 線だったり一部筋層が薄くなったりします。
検察官 前回帝王切開創の所は開腹後のエコー検査で分かりましたか。
加藤医師 膀胱を介して見ましたが分かりませんでした。
検察官 膀胱を下げて確認しないのですか。
加藤医師 それも可能ですが、膀胱の上からでも見えます。
検察官 エコーの結果、前回帝王切開創に胎盤はかかっていましたか。
加藤医師 かかっていませんでした。
検察官 なぜ外から膀胱の上からしか確認しなかったのですか。膀胱を下げれば目視できたのではありませんか。
加藤医師 術中に下げて見た時にも見えませんでした。
検察官 今回は膀胱を下ろしたのですか。
加藤医師 はい。
検察官 先ほど膀胱の上から見たと証言しませんでしたか。
加藤医師 ですから、術中には膀胱も下ろしました。
検察官 膀胱を下ろさなかったのではないのですか。
加藤医師 帝王切開の前に通常通り下ろしています。
検察官 子宮を切開して子宮の中を見ましたね。
加藤医師 はい。
検察官 胎盤はほぼ後壁全体に広がっていたのですか。
加藤医師 はい。
検察官 前壁にもありましたか。
加藤医師 前壁の下の方にしか胎盤は存在していませんでした。
検察官 前壁の確認は目視ですか。手を使いましたか。
加藤医師 両方やってます。
ここで検察官という人種の恐ろしさを端的に表すやりとりがあり
法廷が一瞬ザワついたので
ここまでご紹介して稿を改めたい。
検察官 子宮収縮不良の原因は何ですか。
加藤医師 色々なケースがあり、その時に考えたわけではありませんが、赤ちゃんが大きかった、羊水量が多かったからというのも考えられますし、弛緩出血かなというのもあります。
検察官 当時はどのように考えていましたか。
加藤医師 子宮の収縮が悪いとしか考えていませんでした。
検察官 子宮の収縮不良の−−
弁護人 子宮の収縮不良とは、いつの時点のことを指しているのですか。胎盤剥離前と剥離後とでは医学的な意味が違いますので、きちんと整理してから質問してください。
検察官 では改めてお尋ねしますが、子宮の収縮不良があった時に何が考えられますか。胎盤剥離前と後とで整理して答えてくださいね。でないと、こちらには分かりませんから。
弁護人 何いってんだ。質問者が整理するのが当たり前だろう。
(つづく!!)