知不知 |
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投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2007年12月04日 16:20 |
私は評論家ではないので
あまり物事を論評しないように心掛けているのだが
先週金曜日の大野病院事件公判を傍聴して
現代日本の医療を取り巻く不幸な環境として
改めて認識したことがあるので書き留めておく。
公判で証言した池ノ上克・宮崎大教授のような一握りの人を除き
医療者も患者もメディアも司法も
「非医療者が何を知らないか」ということを知らないのである。
構造的に見ると
知らない側が
いきなり「これこれを自分は知らない」と認識するのは難しい。
知っている側が
「あなたはこれこれを知らないのではありませんか」
と、尋ねて教えてあげないといけない。
しかし
知らない側が、知っている側を信用していないと
この問いかけが成立しない。
現代の医療不信は、この意味で不幸である。
まして
知らない側が「自分に知らないものはない」と思っていたら
絶望的である。
よく言われるところでは
勉強すればするほど
自分の知らないことの多さに気づくらしい。
メディア人が不勉強であることの最大の罪は
「自分は知らない」という謙虚さを忘れることかもしれない。
コメント
川口様
いつもブログ拝見しております。
今回のブログ、卓見だと思います。自分の中であやふやだった問題点がすとんと落ちて納得出来た気分です。
また、前回の第十回公判傍聴記は非常にわかりやすくまとまっていました。医療関係者ではない友人にも読むことを勧めたのですが、『医療関係者ではない自分にも苦もなく読めた』との感想でした。お忙しい中、どうもありがとうございます。
>asuasani 先生
コメントありがとうございます。
引き続きご愛読とご指導よろしくお願い申し上げます。