世界がキューバ医療を手本にするわけ |
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投稿者: | 投稿日時: 2008年01月29日 11:35 |
こんにちは☆ませいです。
突然ですが、キューバといえば何を思い浮かべますか?
1.葉巻 2.ラム酒 3.キューバ危機(古)
今まではそうでしたが、昨年の「Sicko」の公開により、キューバが実は隠れた医療大国であることが一気に知れ渡るようになりました。
キューバのGDPは日本の1/50、しかし乳児死亡率はアメリカより低い(さすがに日本よりは高い)。つまり金銭的に貧しくても、人々の健康を守れる可能性があるということです。その驚くべきコストパフォーマンスはどこから生まれるのでしょうか?
先週の土曜日(1/26)に、ともどくと、キューバ友好円卓会議というボランティア団体の共催で
「世界がキューバ医療を手本にするわけ 吉田太郎氏講演会」を行いました。
吉田氏はキューバに数多く訪れている農業(とくに有機農業)の専門家で、農業だけでなく医療や環境問題など幅広い分野に造詣が深い情熱的な方です。
キューバは80年代から90年代にかけ、ソ連の崩壊により経済援助がストップし、国内が未曾有の危機にさらされました。社会主義国が故のアメリカからの経済制裁に加え、食料も薬もない、石油もない。そんな逆境の中で、キューバは予算を医療と教育に集中させました。また以前は輸出用の商品作物の生産がほとんどで食料は輸入に頼っていましたが、差し迫った食糧問題に対処するため、都市有機農業を推進し地産地消を実現しました。さらに、いち早く環境問題に注目し、砂漠化した土地に木を植えたりソ連製の車から自転車へと移動手段を転換したりと、リゾート開発で荒廃した国土の復活に力を注ぎました。
医療に関しては、予防医療への転換とホームドクター制度、代替療法の早期からの導入が少ないお金の中で最適な効率を上げたキーポイントだったそうです。
普段からホーム・ドクターによって体調を把握してもらい、ワクチンや高血圧の管理などの予防を徹底し、また西洋医薬品(高価)を使わなくてよい部分はハリや自国産のハーブなどの安い材料で代替しているのです。
また、高齢者を寝たきりにしないために、50代60代の中高年の方に70代80代の高齢者の方が生き生きと生活しているのを間近で見せる、という方法で高齢者社会に対処しています。それにより、将来に希望が沸いて、健康で長生きしたいと実感するのです。「老人クラブ」では多くのご高齢の方がハイキングや芸術、そして結婚(!)など生き生きと余生を満喫しています。
これらはすべて、「圧倒的な必要に迫られて」やったことです。そしてその結果貧困と飢餓の「失われた十年」を乗り切ったという事実が、今われわれが何をすべきかの道標を投げかけているような気がします。
キューバの憲法には「すべての国民は無料で医療を受ける権利がある」ことが明記されています。
国民一人一人の命を守ることを何より優先するという姿勢が現れていて、それが国民の国への信頼を高めているのです。
ともどくの私の友人は、
「キューバはラテンアメリカの小国ながら、特に医療・農業の分野において世界の手本となるような体制を持っている国だということがわかりました。若い医学生がキューバ医療を学ぶことは、日本の医療・世界の医療の未来に明るい兆しをもたらすのではないかと感じました。」
という感想を送ってくれました。
実は僕は2月にキューバの医療を学ぶ9日間ツアーに行く予定です!
もちろん、キューバにもいい面だけでなく暗い面がたくさんあるとは思います。それら両面を「くもりなき眼で」見て考えてこようと思います。
帰ったらまたみなさんにご報告しますね☆
それでは。
オススメ図書:「世界がキューバ医療を手本にするわけ」 吉田太郎著 築地書館
http://www.amazon.co.jp/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%8C%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%90%E5%8C%BB%E7%99%82%E3%82%92%E6%89%8B%E6%9C%AC%E3%81%AB%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%8F%E3%81%91-%E5%90%89%E7%94%B0-%E5%A4%AA%E9%83%8E/dp/4806713511/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=gateway&qid=1201189198&sr=8-1
Matthew
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コメント
キューバ旅行、うらやましいです。
キューバはお医者さんも多いですよね。しかも、世界の趨勢に反して専門医は少なく、一般内科医が多いです。
よく見て聞いて、いろいろ教えてください。報告会、楽しみにしています。
須田様、
はじめまして(挨拶が遅い!!)
どうぞよろしくお願い申し上げます。
『Sicko』を観て、キューバの医療にはとても興味があります。
キューバ旅行、どうぞお気をつけて、楽しんできてください。
そして曇りなき澄んだ視点で、教えていただけること楽しみにしています。
はじめまして。
昨年12月20日以来、3月末までの期限で、医療行政の一夜漬け勉強に明け暮れている者です。医療行政危機の根、医療の危機自体の根は深く、驚いているところです。医療業界では全治3ヶ月というのは3ヶ月後に退院ではなく、少なくとも3ヶ月は入院確実、ということらしですが、どうも、3月末で私が今の仕事から退院できる見通しが日々暗くなっているとの実感が募ってきています。 やっとブログの最新投稿の問題意識がわかりかけたところです。ここも先ほど訪れたばかりですので、場所柄をわきまえてません。あらかじめご承知おき願います。
「キューバの憲法には「すべての国民は無料で医療を受ける権利がある」ことが明記されています。」とのこと。これに非常に関心があり、続報に期待しています。理由は下記のとおりです。
以前、選挙管理委員会に務めたことがあります。その際、投票用紙の管理が極めて厳密で、カルチャーショックというより閉口したことがありました。そのとき、1枚の投票用紙の価値について考えたのですが、これは命の価値と同価値ということに気づきました。医療はサービス業ではないとの見解を小松秀樹さんの著書で知り、その趣旨に賛同しています。その根拠は民主主義国家において命は平等に扱われ、欲望の量、あるいはその実現能力(経済力、苦情発言の大きさ等)において扱われるものではないということです。一人一票の選挙制度が崇高な価値として合意されている社会においては、命の与奪を握る医療は経済的価値ではなく、人権として平等化すべきものだと私も思います。その意味で、キューバの法体系に強い関心をもちました。そして日本における司法と医療現場の危機意識の距離はその司法が最高法規である憲法へと立ち返るキャパシティの問題にしかすぎないと思います。医療が関わるのは諸法ではなく、ダイレクトに憲法でしょう。その体系を整理すれば、医療と司法との距離は解消されていくと思います。かつて権力は司法、行政、立法の3つといわれていましたが、情報伝達技術の進歩により、それにマスコミ、世界金融資本などの権力が加わってきた様子です。国を治す医者達がその実力を発揮し、これらの権力と命の平等性確保についての調整装置を作ることを後藤新平の故郷から期待しています。 取り急ぎ走り書き失礼します。
はじめまして。
1/26、恩師がともどくとキューバ友好円卓会議主催のセミナーに参加して、ませいさんのことを教えてもらいました。
恩師が「日本に、こんなに立派な考えをしている青年がいたのか、世の中まだまだ捨てたものじゃない」と感慨深く話をされていました。
そして、わたし自身もとても気になり、こちらを尋ねさせていただきました。
まさに同じ気持ちです。
損得勘定だけで動いているここの世の中で、あなたのような方がいるということを知り、本当に嬉しく思いました。
何ができるか分かりませんが、自分も何かしていきたいと思わずにはいられませんでした。
これからも頑張ってください。
キューバの旅行のお話を聞けることを楽しみにしています♪
(追伸)
恩師が、「志が高いだけでなく、イケメンなんだよ~」と話していたのですが、まさにそのとおりですね^^
はじめまして。生命科学の院生です。キューバをみていると技術と同時に体制の大切さを感じます。またブログでの報告を楽しみにしてます。