刑事責任の時効について |
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投稿者: 真木魔愛 | 投稿日時: 2008年04月30日 11:06 |
診療情報管理学科のクラスで、
診療録の保存について演習問題の中に、
『業務上過失致死傷の公訴の刑事責任時効は事故発生から5年である』
刑法第211条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
正しいか、誤りか?という問題がありました。
答えは、
『誤り』ですが、
ではどこが間違っているか?
模範解答の解説は、
『刑事責任時効は想定される刑の重さにより異なり、15年から1年と6段階ある』
この解説は正しくありません、、、、、と思います。
刑事訴訟法第251条で、重い刑に従って、刑事訴訟法第250条が適用されるならば、
刑法第211条の最も重い刑は5年の懲役で、刑事訴訟法第250条5に該当し、公訴時効期間は5年です。
さらに刑訴第250条は平成16年に改正されたので、時効は想定される刑の重さにより25年から1年の7段階となっています。
刑訴第250条 (公訴時効の期間) 時効は、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。《改正》平16法156 1.死刑に当たる罪については25年 2.無期の懲役又は禁錮に当たる罪については15年 3.長期15年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については10年 4.長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については7年 5.長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については5年 6.長期5年末満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については3年 7.拘留又は科料に当たる罪については1年刑訴第251条 (時効期間の基準となる刑)2以上の主刑を併科し、又は2以上の主刑中その一を科すべき罪については、その重い刑に従つて、前条の規定を適用する。
では、間違いの箇所は?
事故発生から5年ではなく、刑事訴訟法第253条によれば、
第253条 (時効期間の起算点)時効は、犯罪行為が終つた時から進行する。
ので、
犯罪行為が終わったときとは、事故が発生したとき=結果があらわれた時が判例のようですが、致死罪が成立するときは必ずしも事故発生=結果(死亡)とはなりません。
この理解にいきつくまでに、基本的事項をきちんとお勉強をしてこなかった私は、四苦八苦しました。
どうやったら法律の条文なんてほとんど目にしたことのない学生の理解の助けになるか、学科の他のベテラン先生にもご相談させていただいて、刑法、刑事訴訟法の関連条文資料を作成して、
いざ授業!
やっと、一連の話が終了した直後、
「ところで、センセ、教科書には死刑にあたる罪については刑事責任の時効が15年って書いてありますけど???」
「えっ?どこ?どこ?」
使用テキスト/書 名:『診療情報管理Ⅲ 専門・診療情報管理編』. 社団法人日本病院会著
422ページの上から7段落目に確かに書いてあります。
刑事訴訟法第250条1には、『死刑に当たる罪については25年』と明記されています。もちろん、配布した資料も25年、、、
月曜日の最終授業、夕方5時前、
学生は週末の宿泊学習の後遺症で疲れと風邪気味多数、おまけにGW直前の中日。
(そんなこと、ど~でもいいじゃん、早く終わってよ、とばかりに)どよめく教室。
頭の中が真っ白!
さすがに教科書が間違っているかも、と言える確信もなく、、、
「そう、、、、ねえ、、おかしいですね。ちょっと、時間ください」
と、またもやってしまいました。
一日考えてもわかりません。
ブログに書いて、頭の中を整理したら、少し光が見えるかも?という淡い期待も失せて、
まだ、うんうん唸っています。
再度、ベテラン先生に教えていただくしかないのかな?情けない、、、
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コメント
で、どうなりました?
25年以外ありえんが、
>ひとやすみ様
ベテラン先生に確認したら、
「あれ?ここ、まだ修正されてなかったの?」
昨年から修正依頼を出されていたそうです。
教科書をチキンとチェック、読み込んでいなかった自分が悪いのですが、腑抜けのようになってしまいました。
お騒がせして申し訳ございませんでした。
>「ところで、センセ、教科書には死刑にあたる罪については刑事責任の時効が15年って書いてありますけど???」
↓
>刑訴第251条は平成16年に改正されたので
学生さんの教科書が古かっただけでは。
(改正前は15年だったようです)
>YBB-621様
読んでいただき、コメントありがとうございます。
まず刑訴第251条ではなく、平成16年に改正されたのは刑訴250条の私のタイプミスでした。(度々すみません、本文訂正しました)
改正点は250条6.長期5年未満の懲役若しくは禁固又は罰金に当たる罪については3年
が追加されたようです。
教科書は2006年7月20日第3版で、【死刑にあたる罪については15年】の次に【長期5年未満の・・・】という改正点はしっかり正確に明記されていたのでした。
最初からこのぐらい予習準備していれば、オロオロ焦る失態は免れたのですが、、、(後の祭りですネ!!)