厚労省通知と狼少年

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2008年06月12日 13:15

私が新聞記者生活を始めたのは三重県でした。
その三重県で、点滴を受けた患者が体調不良を訴えうち1人が亡くなった
という事案が問題になっているのは、ご存じと思います。


何だかメディアの報道では「作り置きが原因」ということになりつつありますが
医療者の間からは
本当か? もっと別の原因があるだろう、と疑問の声も挙がっています。
とりあえず原因は何なのか、捜査の進展を待つしかないと思います。
(こういう時こそ、学会など医療界は積極的に協力をすべきでしょう)


が、それとは別に医療者たちが懸念していることがあります。
原因解明より前に
「点滴の作り置き禁止」という厚労省通知が出されるに違いない、というのです。
厚労省は何してんだと言われないよう
何か事があると条件反射的に出てくるらしいです。


出した方は「言いました。やらない方が悪いです」と言い逃れできるかもしれませんが
出される方はたまったもんじゃありません。
現場から見てナンセンスなものだったら尚更です。


なぜ、こんなことを書くかというと、最近もう一つ話題になっている
採血器具の使い回しに関して石川県医師会の会長が面白い発言をしているからです。

「厚労省からの通知は、緊急なもの以外は会員に送っていない。認識が甘かった」


くだらない通知が山ほど来るということが言外に分かります。
厚労省は、ほとんど狼少年のように現場で扱われているということですね。
もし、そんな仕事のために「居酒屋タクシー」を利用してたんなら
さっさと帰りましょう。(ちょっと強引)
メディアの方も、何かあったら必ず厚労省を責めるというのはやめましょう。

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コメント

…いや、いくらなんでもそんなバカな通知は出さんと思いますが…。

 その理屈で言えば、持続点滴ができなくなってしまいます。

 国際的に恥ずかしい。

自分が大学にいるからか、もし、作り置きが原因であれば、正直なところ、同情できません。少々お粗末な気がします。
やはり清潔と不潔の区別は近代医療では臨床でいの一番に習うはずですから徹底していないといけないと思います。
しかし、昔の知識しかなく、情報も伝わりにくい地方の開業医なんかはどうなんでしょう。情報が伝わっているかという意味では100%医療機関の責任にはできないと思います。もちろん、大学病院レベルでこういう事件が起きているのであればこれはもはや医師からも同情の目で見られることは無いでしょう。

それとは別に特に歯科医院では消毒の不徹底による感染の危険が結構あると言います。
まず第一に医療者にとって必要な情報を与え、清潔不潔の啓蒙活動をしていくこと(残念ながらこの概念にいい加減な医師や歯科医師は未だに数多くいます)、次に消毒にかかる診療報酬を国がちゃんと考えてあげることです(歯科医院は特に経営的に危機的な状況のところが多く、金銭的な問題できちんとした消毒ができない場合もあります)。

何が何でも100%医療機関の責任にするのではなく、国のバックアップ体制の問題もあると思います。但し、バックアップがある上で医療機関に責任を負わせるのは当たり前だと思います。
要は院長が清潔不潔の概念をしっかり把握していたかどうかの問題だと思います。

…いえ、だから、たとえば薬局や病棟で薬剤師が無菌調整した抗がん剤や高カロリー輸液は、必ずしもすぐに使われるわけではありません。

 また、抗がん剤や高カロリー輸液はおおむね半日、長ければ24時間以上の時間をかけて滴下されるわけですから、作り置き事態を批判するのは見当違いであって、その調整が不潔であったことが問題であるということです。

 患者さん達の血液培養からからセラチアが共通して検出されたという報道もありますが、これは特定の感染源のあったことを示唆します。

 下らない見当違いの通知が出されることのないことを望みます。

真の原因は不明ですが、もし、作り置き製剤による感染症だった場合でも、単純に

作り置き=悪 ∴作り置きはダメ

というのではなく、「(多忙を極める)現状では作り置きもやむを得ない。しかし、そのための条件は○○。。。」という形での落とし所を希望します。

救急の現場では、いつくるか想定できない重症の外傷患者のために、輸液などをあらかじめ点滴ラインに「作り置き」しているのが現状ですから。重症外傷患者って、到着後に点滴をつくっているとまにあわないんですよ。

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