メディア焼け野原

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2008年07月17日 04:24

皆様、前エントリーに多数のコメントありがとうございます。
大変勉強になります。
若干、咀嚼の時間をいただきまして
近いうちにまた議論させていただければと思います。


さて、そんな中で「メディアの論理ばかり言うな」という
いくつかのご意見についてだけは即答できるので今書きます。


1)私自身、現在のマスメディアの状況が望ましいとは思っていません。
だからこそ朝日新聞社を退社して、いろいろ模索しているわけです。

2)ただし、現状はご説明した通りでして
良心的なメディア人(自分が良心的であると言うつもりはありません)が
なかなか浮かび上がれない構造になっています。

3)メディアもしょせんは装置に過ぎません。
結局は、その中にどんな人がいて、どのように振る舞うかです。
その点、政治と非常によく似ていて
大きく言うと、その国の民度に相応しいというか
声が大きい受け手にウケる情報を選択的に流すに過ぎません。

4)マスメディアに改革を促すにしても現状を直視し
それに基づいて現状にあきたらない人々を支えてあげないと
マスメディア内の人間勢力図を塗り替えることはできません。

5)医療者の方々に医療焼け野原待望論があるかと存じます。
私もマスメディアが一度焼け野原になってしまった方が
かえって再生の歩みが早いのでないかと思ったりもします。
その観点から、現マスメディアの暗部まで開陳したつもりです。

6)現代の状況であればメディアが焼け野原になっても
代替するものがあって大した害はなさそうに感じます。
でも、非常に勝手な言い草ですが
医療には何とか焼け野原を回避していただきたいと思っています。
だって親に(とりあえず)何かあったら困るから。

7)なんとか現状のメディアも上手に使っていただきたいし
その動きを通してメディア内の改革派を支えていただきたい
このように願っておるところです。

8)なお、現在のマスメディアは「珍しい事象・意見」を取り上げるのが普通です。
マスメディアに出てくる人たちを社会一般の代表と誤解しないでください。
メディアに出てくる人たちの外側に、はるかに大きな無関心層が存在します。
医療分野で、マスメディアに出てきていた人たちは医療者一般を代表してましたか?

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コメント

まあ医療者側に苦言を呈すると相変わらずのネットいなご状態。それでも自らが変わらなければという考えの医療者は確実に出てきています。残念ながらむしろ医療者のピラミッドでは底辺の者たちで声も小さければ影響力もありません。今は身の回りで実践するだけですがおそらく徐々に形となるでしょう。(それが国民やマスコミの望んだ形かどうかはわかりませんが)同じようにマスコミの中で自らの問題意識を明らかにしていただいた氏には最大の敬意を表します。現在の医療者は暗闇の中の泥沼であえいでいる状態だと思いますが、何人かは空を見上げて星を見つけていると思います。投げ出さず長い目で見てやってください。

本質を分かってないようだから指摘している。損をするのはあなたたち国民なのだよ。それを分からないのならば処置なし。上から目線でも何でもない。天に唾するということを知らないのか?

>地方の勤務医様
過分なお言葉恐れ入ります。
>Anonymous様
仰ることは、このブログを御覧の方ほとんどの共通認識だと思います。
まさに自業自得という言葉が当てはまるんでしょう。
今、ここで議論になっているのは
医療者が、それに唯唯諾諾と巻き込まれるのか
海外逃亡なさるのか
あるいは自ら進路を示してくださるのか
ということなんだと思っています。

川口さん こんにちは 
なるほど納得できました。ありがとうございます。

>医療者が、それに唯唯諾諾と巻き込まれるのか
>海外逃亡なさるのか
>あるいは自ら進路を示してくださるのか

そうなんですよね。
どういう進路があるのかということが医療者には(少なくとも僕には)見えてないんですね・・・。

困りました。


批判ばかりしているのも問題だと思いますので....

今回の管理人様のお話、理解させていただきました。批判する点は全くありません。
こういうかたがメディアの重鎮になっていただければ今日のような日本にはなっていなかったのですが.....
まあ、所詮組織というのはどこもそうなのでしょう。

しかし、今回の国の政策は非常に危ない。医療費は増やさないけど医師数は増やします、と来ています。これは医師のモチベーションをさらに下げるものになりそうです。実際に高齢医師の退職が後を立ちませんし(当方でも高齢開業医がどんどん医院を畳んでいます)、私も、ある程度蓄財できたら医業から足を洗うつもりでいます。私の周りでも同様の意見が多数です。

日本の医師のモチベーションが異様に高かったから今までのような安価で高品質の医療が存在できたのだと思います。その医師のモチベーションを下げた、というのが今回の医療崩壊での最大の問題点だと私は思っています。
モチベーションはなかなか上がりません。先日、地域の夜間急病センターへの出向依頼がありましたが断りました。考えただけで吐き気がしてしまい、お断りせざるを得ませんでした。

今後を担う若手医師たちも、給料が安くて過重労働で、毎日刑事・民事訴訟におびえるような診療科になど行かないでしょう。

事態は深刻です。

暇人28号さん おっしゃることわかります。
おそらく今まで医療者の収入が高かったのは何人分も働いていたからなんだろうと思います。もうすでにその状況じゃないんでしょう。収入は徐々に下がってきてますし、これからも下がるでしょう。おそらく医師をやめる人も出てくるでしょう。それがなぜかをマスコミの方々に正確に伝えろというのがまず無理な話です。医者の間でさえ考えが統一されていないんですから。むしろこれからは国策である集約化に伴い地方の救急は切り捨てられるでしょう。それが嫌なら地方には住めないでしょう。地域格差が進み、私も都会に住むか開業するかの選択を迫られるでしょう。これもやむをえないことです。

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