新型インフルエンザ、水際封じ込めはナンセンス コメント欄

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2009年05月01日 19:15

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厚生労働省検疫官 木村盛世氏インタビュー(川口恭) きむら・もりよ●医師/厚生労... 続きを読む

水際対策が間違っていたとは驚きました。 続きを読む

コメント

川口様

ふーん、検疫所や応援部隊は休日返上で大変だなぁと同情的に思っていたのですが、こういう御仁もいるんですね。

で、取材して川口様自身はどう思われましたか?そのへんが大変興味深いのですが

>KHPN先生
記事として書いている時点で、自分として判断を示しているつもりです。
(ブログにではなく)

タミフルが効くかどうかについて言及されてますので一言。

今回アメリカで検出された豚由来A型インフルエンザウイルスについて、in vivo でオセルタミビル、ザナミビル、新規抗ウイルス薬の感受性を調べた結果が MMWR に報告されています。

http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5816a6.htm?s_cid=mm5816a6_x

この報告では、タミフル、リレンザとも、今のところ感受性があるようです。

もっとも、かつてAソ連型インフルエンザウイルスが容易に耐性を獲得しているので、いつまで効果があるのかわかりませんね。

>記事として書いている時点で、自分として判断を示しているつもりです。

どういう判断なのですか?

横から失礼。

>> >記事として書いている時点で、自分として判断を示しているつもりです。
>> どういう判断なのですか?

川口様が、自ら厚生労働省検疫官の木村盛世氏を相手に選んで、このインフルエンザ騒動の最中に直接インタビューされ、大急ぎで記事をアップされたことで、ご判断は十分に推察できると思いますが。

木村氏が水際対策にどのようなお考えの方であるのか、4/30~5/1の横浜市の疑い患者でのドタバタぶりにどのように言及されているのか、そこに注目されて記事本文を読み返されればお判りになるはず。

木村盛世さんの「厚生労働省崩壊ー日本が天然痘テロに日本が襲われる日」の本も興味深読みました。また、今回の川口さんによる木村さんへのインタビューも実にタイムリーで興味深い内容と思いました。
いつもながら川口さん Good Job!

すでに他の方のコメントでも示唆されていますが、もう少しはっきり指摘させてください。

1.タミフルは現状、今回の新型インフルエンザには効果があるとされています。

2.タミフル耐性ウイルスは日本よりむしろタミフルをあまり使用していないヨーロッパに多いとの報告があります。

3.ワクチンの効果にはいろんな調査がありますが、成人には50~60%程度、小児でも30~40%程度は予防効果があるとされています。予防できなくても症状が軽く済むとの報告もあります。

4.検疫は封じ込めには役に立たないかもしれませんが、現に発症している人を隔離することはできるのだから、まったく無駄とは言い切れません。

事実誤認に基づいたと思われるこの方のご意見には首をかしげざるを得ません。

川口様

川口様の熱い心はわかりますし、この方の言っていることも一部正しいところもあるのですが、レトリックに気をつけてください。例えば以下の文。

>「専門家がいないからでしょうね。WHOもフェーズ3から4に上げる時、封じ込めに努力せよなんて言ってません。それなのに封じ込めできると言っているのは、国民を欺く行為です。もし彼ら自身が本気で可能だと思っているのだとしたらあまりに宗教的だし、頭に何か新種のウイルス感染でも起こしているのでないかと心配になりますよ。」


>専門家がいない
:ある意味正しい(プレパンデミックワクチンの是非など専門家の間でも意見が分かれる。また結果論ですがH1N1が今回の新型インフルエンザ株となった)

>WHOもフェーズ3から4に上げる時、封じ込めに努力せよなんて言ってません。
:確かにそうは言ってはいない。海外渡航禁止や国境封鎖は勧告しないが、病者の渡航延期や帰国有症者の受診は促している。

>それなのに封じ込めできると言っているのは、国民を欺く行為です。
:そもそも「封じ込めできる」って、いつどなたが仰ったのでしょうか?次の「国民を欺く行為」の前提になっているので事実関係を正確に押さえる必要があると思います。

>もし彼ら自身が本気で可能だと思っているのだとしたらあまりに宗教的だし、頭に何か新種のウイルス感染でも起こしているのでないかと心配になりますよ。
:ここでいう「彼ら」とは誰を指すのでしょうか?文脈からは「封じ込めできる」と言った方を指すのでしょうが、それは誰ですかという疑問にまた行き着きます。加えて比喩なのでしょうが、最後の罵詈雑言はちょっといただけないと思います。


話の起承転結の中で、「起」と「承」は正しくて、「転」であれっと思うような事実関係を挿入し、「結」で妙な結論に導かれてしまう。よくよく注意して言っている話を聞き分けないといけないのではないかなと私は思いました。

マスコミやウェブ情報などで見る限り、この新型インフルエンザについてはわからないことが多く、確定的な検査も十分できない状況の中で最善を尽くしているのだと思います。水際対策も国内での感染流行をできるだけ遅らせるために行われているのであって、封じ込めを確約しているものではないと私は理解しています。

休日返上(おそらくあまり手当てもつかないのではと思いますが)で事態に対処しているであろう関係者は、何も「頭に何か新種のウイルス感染を起こしている」のではなく、法に基づいて「公僕」としてできる限りのことをしているだけなのであって、舛添大臣も、国民を欺いているようには到底思えません。マスコミネタとしては面白いのかもしれませんが、こんな風に不適切な表現で言われると徹夜続きや休日返上して事に当たっている政府関係者や応援の方々の心が折れてしまうのではないかと思いますが。


他にも

>いちど入ってきてしまったら、後は厚労省が責任を負わないで済むんです。
>だから検疫、ワクチン、タミフルという効果のないものでごまかしているんではないでしょうか。
>いっそのこと向こうの大学を日本に誘致してしまえばいいと思っています。最初の教授は向こうの人になるんだろうけど、そのうち日本人も育って学術的な後れも取り戻せるし、留学費用にお金を使うぐらいならそっちの方がいいんじゃないですかね。
>今は、単に天下りを守るだけの集団に成り下がっています。
>発見率の極めて低いサーモの機械は1台300万円しますし、これを見るための検疫官を他の省庁からも借りてまで増やす、そんな無駄なことに税金を使っています。

など、気になる箇所が散見されますが、これらはこの方の表現そのものなのでしょうか、或いは川口様の書き方がこうなったということなのでしょうか?

「まったく無駄とは言い切れない」といえばいいんだったら世の中なんでもできますね。

あんしなんぜんさま

「検疫によってインフルエンザの患者が、ウイルスを巷にばらまく確率が低下する。したがってインフルエンザウイルスの拡散速度が低下し、その間にワクチン等の対策を準備する時間が稼げるといったメリットもある。」と書いたほうがわかりやすかったですか?

毎度同じようなことばかり指摘している気もしますが、

○ 「企画の批判と、企画を考えついた人間の姿勢や能力の批判」「施策の批判と、施策を生み出した組織の批判(人事・意志決定プロセスなど)」をごちゃ混ぜにしてしまうと、焦点が定まらないし、いらぬ感情対立を招いてややこしくなります。現在スタックしている行政課題の多くに、この構図が見られます。課題のみを虚心坦懐に見つめることは簡単ではありませんが、本当に物事を迅速に解決することにプライオリティを置くのであれば、必要なことです。

○ 有事に批判を始めると、てくてく先生御指摘の通り、現場の心が折れます。有事には教科書を開いているヒマはありません。平時に可能な限りの検討と準備を継続し、有事にはその時点で決められていたことを淡々と遂行する。事前に想定していなかった事態への対応については指揮官の独断も許容する。フィードバックは長期戦になってから考慮する、というのが定石です。

この方のおっしゃることが学問的に正しいのかどうかは、私自身、感染症予防の専門家ではないのでわかりません。歴史を見れば、ガリレオのように正しいことを言ったのに聞いてもらえなかった人もいますし、自分がガリレオだと思いこんだまま一生を終えた人もいます。ただ、いずれにせよ、今、この方にスポットを当てるのはリスクが大きすぎます。

○ ところで、医系技官って600人もいましたっけ?何をソースにしていますか?

中野稀哲さま

全く同感です。

ウイルス株も1週間で感染研が入手できて、リファレンスラボとして検査の精度向上が望めるようになり、世の中も比較的落ち着いているので、あとは北米やメキシコなどのケースのプロファイリングをしっかりと行って、今回の流行株の臨床像を明らかにして、それに応じた臨機応変な対応が今後望まれると思います。

他方、韓国や香港でも感染が確認されたので、人手の薄そうなところへの対応が少し気になります。羽田や他の地方空港の国際便をすべて成田などに集約したというようなニュースを未だに聞かないので

>そもそも「封じ込めできる」って、いつどなたが仰ったのでしょうか?

きっと、国の「新型インフルエンザ対策行動計画」のP.4を読んだことがある人は、この中にはあまりいらっしゃらないのでしょうね。

通りすがりの公衆衛生医さま

>きっと、国の「新型インフルエンザ対策行動計画」のP.4を読んだことがある人は、この中にはあまりいらっしゃらないのでしょうね。

水際対策では「国内でのまん延を可能な限り防ぐこと」が求められているのであって、「封じ込めできる」とは誰も言っていないと理解していますが。

(以下引用)
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/guide/090217keikaku.pdf

1.水際対策の基本方針
○ 海外で新型インフルエンザが発生した場合、水際対策を構築するに当たっては、次に掲げる課題の両立を可能な限り追求する必要がある。
・新型インフルエンザに感染した又は感染したおそれのある者(以下「感染者」という。)の水際での侵入防止を徹底し、国内でのまん延を可能な限り防ぐこと
・帰国を希望する在外邦人の円滑な帰国を実現すること

通りすがりの公衆衛生医さんのおっしゃる通り、「対策行動計画」の4ページ目には

1.感染拡大を可能な限り抑制し、健康被害を最小限にとどめる。
2.社会・経済を破綻に至らせない。

とありますし、

5ページ目には
「ウイルスの国内侵入を完全に防ぐことはほぼ不可能であるということを前提と
して、その後の対策を策定することが必要である。」と書かれており、封じ込めが可能だと考えている専門家はいないように思います


心配なのは、万一今回封じ込めに成功したとしましょう。前回のSARSのときも国内に入ってきませんでした。
すると、水際をしっかり防衛しておけば大丈夫だ、という誤った考えが国民に浸透してしまうことです。
メディアの方々には、たとえ今回入ってこなかったとしても、入ってきた後の対応こそが対策の要だということを広く知らしめてほしい

立木 志摩夫さま

全く同感です。

川口様

 木村盛世氏の発言は扇動的であり公平ではない。かつ彼女の情報には医学上の誤りがあり、無批判に主張を受け入れるわけにはいかない。
 「過去のインフルエンザの例を見ても、学校の閉鎖や空港の閉鎖なども成功した試しがないんです」という発言は誤りで、少なくともイスラエルで学級閉鎖によりウイルス性呼吸器疾患の診断例・治療例が減少したという報告がある(The Pediatric Infectious Disease Journal 2004: 23; 675)。
 インフルエンザワクチンの有効性についても、慎重であるべき専門家らしからぬ発言であり、彼女を「専門家」として認めて良いかどうかの判断が困難である。どうも、聞きかじりの知識のみで公に発言していると疑ってしまう。

>インフルエンザワクチンの有効性についても

文章のもとがインタビューだがらか、曖昧になってますが、
自分は、木村氏のいう「ワクチン」は既存のワクチンを指している
ように理解しました。
確かに効果はないだろうな、と。

新作ワクチンの話だったとしても、
今までも翌年のワクチンはどの型が流行するかの予測をもとに、
製造されているはずで、予想が外れて流行することはしばしばあったわけです。
まあH1N1とわかって作るのでしょうが、効くかどうかは実際やってみないと
わからないわけで。冬までに変異がおきてしまったり、とかで。

確かに、全然あてにならないようなことは言い過ぎにも思えますが、
「慎重であるべき専門家」としては効果を過信しないように警告するのも
もっともだと思います。

KHPNさま(2009年05月05日 09:18)

一連のご発言からは、KHPNさまは十分ご理解しておられるものと受け止めております。

ただ、細かいことを言えば、私が言及したのはそちらではなくこちらです:
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/kettei/090217keikaku.pdf

そこには「世界中のどこかで新型インフルエンザが発生すれば、我が国への侵入も避けられないと考えられる」という、そのものずばりの一文があります。そして、そうであるがゆえの、立木さまご指摘の2つの目的につながるわけです。これは、医療安全の領域でもいうところのprevention and mitigationと、全くの相似形をなすものです(個人的にはつい縦深防御やらダメコンやらをイメージしてしまいますが…)。「完全な」封じ込めなどできるはずがないというのが、そもそもの立脚点なわけです。

その他は立木さまのご指摘に完全同意。ちなみに、件のインタビューがいつなされたのかは存じませんが、4/29以前に出たMMWRのdispatchを読んで、今般のウイルスにおけるタミフルの有効性が確認されたことを知っていた私は「今回のウイルスに効くかどうか分かりません」との言説に大いに首を捻ったものです。

shin-nai 先生

> 厚生労働省が言っているのは、検疫による水際での封じ込め、ワクチン、タミフルの3点セットですよね。でも、こんなの新型インフルエンザに対してはナンセンスです。

という文脈で

> インフルエンザワクチンは効果がそもそも不明です。

と主張しています。「既存のワクチンも既存のインフルエンザに効果があるかどうかわからない、H1N1インフルエンザ用のワクチンも効果があるかどうか分からない」との木村盛世氏のご意見です。「だからストレスを貯めないで体力をつけましょう」という結論につながります。

タミフル・検疫についてはてくてく先生のご指摘どおりです。ワクチンの議論について二点違和感を持ちます。
・彼女の目には、健康な成人しか見えていないように思えます。「それよりは感染される側の体力のほうが問題です」とおっしゃっていますが、われわれは体力のない慢性疾患患者、高齢者、乳児・小児を相手にしますので、木村氏の主張を受け入れづらいのです。健康な成人しか見ないで(これこそ『机上の空論』です)、関係各部署の努力を冷笑するな、という思いがあります。
・「インフルエンザワクチンは効果がそもそも不明です。昔、日本で小さなスタディがあって、」と、わざわざ日本の小さなスタディを例示する点が素人くさいのです。質の悪いデータを持ち出すまでもなく、各国で大規模なものも含めてさまざまな臨床試験があり、そのメタ・アナリシスまで検討されております。それも、小児、成人、高齢者、喘息患者、システィック・ファイブローシス患者別に、です。その上で各国ともども「ワクチンが有効であるとの確たるエビデンスはないが、時に致死的になる基礎疾患のある患者などが罹患する割合を下げる為に現状ではワクチン接種を強く勧告する」というスタンスなのです。その背景をわきまえず聞きかじりの様に「要するにワクチンが有効という大きなエビデンスはありません。それよりは、感染される側の体力の方が大切です」と主張するとは『慎重であるべき専門からしからぬ』発言だと私は批判します。

(通りすがりの公衆衛生医さま)

仰るとおりですね。


(ろぼうさま)

インフルエンザの死亡者数を論じるときに、一般にはどうもインフルエンザウイルスによる直接死亡(脳炎やウイルスによる肺炎など)がその原因の大半であるかのような印象で受け止められているので、おかしな話になっているように思えます。

インフルエンザ流行による死者の大半は、超過死亡とか過剰死と呼ばれる慢性疾患や高齢者など病弱な方々(所謂compromized host)が、インフルエンザに罹ることによって病状が悪化し死亡に至る数が増えることであり、弱毒性であろうが強毒性であろうが、その強い感染力によって感染する母集団が大きくなることを防ごうというのが、公衆衛生上の目的だったように習った記憶があります。

だから、今回の株はどうも弱毒性らしいので「健康で若い自分は安心だ」で、済ませるのではなく、社会にいる病弱な方々に感染を拡げないようにひとりひとりが気をつけるし、また、必要な協力は惜しまないという姿勢が大事なのではないでしょうか。

KHPN 様

同感です。
以上のような認識をどうして「厚生労働省検疫官」と共有できないのか、不思議です。
どうも、彼女の批判は為にする批判であり、彼女の発言はスタンドプレーであるように感じます。

ろぼう様
解説ありがとうございます。
>健康な成人しか見ないで(これこそ『机上の空論』です)、関係各部署の努力を冷笑するな、という思いがあります。
確かに、それは感じますね。

立木志摩夫様や↑のKHPN様のコメントにも納得します。

うがった見方をすれば、
>「要するにワクチンが有効という大きなエビデンスはありません。それよりは、感染される側の体力の方が大切です」と主張する
のは、麻疹をはじめとした今までのワクチン行政の失敗に懲りていて
スピードも要求される現時点において、今回もうまくいかないことを見越して
責任回避のためか、布石を打っているようにも思えてきました。

検疫はナンセンスと書きつつ、この連休中も木村盛世さんは検疫業務を続けているのでしょうか。
典型的な言行不一致ですね。
そこまで厚生労働省にしがみついている必要はないでしょう。
自称「感染症疫学の専門家」なのだから、いくらでも仕事はあると思います。

それにしても、川口さんからの御返事がありませんね。

>皆様
様々なコメントありがとうございます。

時間が経過すると、事態の変化、事態の明確化が起きます。
現時点で木村さんの見解について以下3つの観点から整理したいと思います。


1、取材時点でも誤りだったこと
中野稀哲様にご指摘いただきました医系技官の数は、約250人が正しいですね。
木村さんの著書に出ていた数字(技官)を私が混同したまま書いてしまいました。
失礼しました。

2、現時点では妥当でないこと
タミフルは、現時点では有効だし、取材当時もそういう情報はあったと思います。
ただ、それが将来もそのまま有効であることを約束するものではないということは
皆様もご同意いただけると思います。
当人には確認しておりませんが、そういう意味での、あの発言だったかもしれないとは思っています。


3、私の筆力の問題で、木村さんの真意が伝わっていないこと
・免疫の落ちた人、体力の落ちた人に感染させないことが最優先というのは当然のことです。
そういう人々は一般に入院しています。
国全体をガードするよりも
感染させたら大変な人の周りをガードする方が遙かに妥当であり
要するに、医療機関をガードすべきであるということになります。
木村さんの主張の最大のポイントは
水際検疫という幻想のために医療機関のガードが疎かになるなど本末転倒という点
その本末転倒を生み出す構造の指摘です。

枝葉末節には若干の問題があるとしても
総じて木村さんの発言の価値が失われるものではないと考えます。

なお木村さんの人格攻撃のようなコメントも散見されますが
・たとえ無意味と思っても、事態が発生してしまってから
 現場放棄するのは人間として恥ずべきことです。
・木村さんは自分でリスクを取っています。
 匿名で勝手なことを言う人よりは信頼できると思っております。

川口様

お答えありがとうございます。

1、取材時点でも誤りだったこと
に、「過去のインフルエンザの例を見ても、学校の閉鎖が成功した試しがないんです」という氏の発言を入れてください。学校の閉鎖を一番に検討せねばならぬ、という強いエビデンスはありませんが、少なくとも学校の閉鎖が成功した“試し”くらいはあります。

2、現時点では妥当でないこと
に、「インフルエンザワクチンは効果がそもそも不明です」という発言を入れてください。現時点ではH1N1インフルエンザワクチンに効果があるとして、その製造・接種を検討する必要があります。接種した後にほとんど効果がなかったとか、さらに(以前実際にあった話ですが)ギランバレー症候群が有害事象として発生するということになる可能性はあります。そうなれば木村盛世氏の発言が正しかったことになります。

3、私の筆力の問題で、木村さんの真意が伝わっていないこと
ですが、

> ・免疫の落ちた人、体力の落ちた人に感染させないことが最優先というのは当然のことです。そういう人々は一般に入院しています。

は誤りです。そういった方々は、一般に自宅、あるいは病院以外の施設におられます(以前ほど慢性疾患患者の長期入院は容易ではないのです)。そういう方々を守るためにcommunityレベルの防疫が必要で、そのために検疫・学校閉鎖などという措置が必要であるのです。それを木村氏は「ナンセンスだ」と主張しておられます。

> 木村さんの主張の最大のポイントは、水際検疫という幻想のために
> 医療機関のガードが疎かになるなど本末転倒

という木村盛世氏の特に後半の主張を伺える発言がどこに書かれているか、ご教授ください。どうも、水際検疫は幻想である(そして、体力が十分あればインフルエンザは大丈夫だ)、とする発言しかないように読み取れます。

私のコメントが、氏の人格攻撃ととられるのは真意ではありません。ただし、たとえ実名であったとしても

> もし彼ら自身が本気で可能だと思っているのだとしたらあまりに宗教的だし、頭に何か新種のウイルス感染でも起こしているのでないかと心配になりますよ。

という罵詈雑言は許されないと考えます。

>ろぼう様
コメントありがとうございます。

1と2に関しては、当人に真意を確認させてください。
可能ならば、当人に直接お答えいただいた方がよいかもしれませんね。

3は、著書を読んでからだと、そういう意図が伝わるんでないかと思います。
その点をきちんと聴かずに端折ってしまったのが「筆力不足」でした。

なお、
> もし彼ら自身が本気で可能だと思っているのだとしたらあまりに宗教的だし、頭に何か新種のウイルス感染でも起こしているのでないかと心配になりますよ。

というのは
本気で思ってはいないという前提のもとに行われた反語的表現です。
罵詈雑言と読まれたならば、これも「筆力不足」でした。

川口さま

>・たとえ無意味と思っても、事態が発生してしまってから現場放棄するのは人間として恥ずべきことです。

仰るとおりですね。

これはあくまでも一般論ですが、普段立派なことを言うわりに、その実、自分の知り合いの医療機関に診断書を発行してもらって職場を休んでばかりいるというような怪しからん輩も散見されるなかで、現在の自分の立場と責任を十分に自覚して、毎日はおろか休日も返上し内心の不満を抑えつつも現場業務に勤しむなんて、なかなかできることじゃありません。

人を取材するときには、その人物についてもゴシップではない客観的な裏づけ(例えば実際の勤務状況など)や言っていることの真偽を周辺や関係者、有識者などからも聴取して、その信頼性を総合的に判断するとは思うのですが、今回川口様はどの程度それをなさいましたのでしょうか?

KHPN様

失礼ながら、そこまでを川口様に求めるのは酷かと愚考いたします。著書でご自身の主張を世に問うておられる著者へのインタビューですので、まず筆者を信頼されるのも無理なかろうかと考えます。
ことばの端々を読み込み、ちょっとこの人の主張を額面どおり受け取りづらいと感じるのは、いわばPeer reviewですので、せめて医師や専門家でないと難しいと考えます。

彼女の著書に目を通すかどうかは考えてしまいます。始終このインタビューの調子で書かれていたらと考えると、ぞっとしますね。

ろぼうさま

>失礼ながら、そこまでを川口様に求めるのは酷かと愚考いたします。

そうでしたか、確かに言われれば酷かも知れませんね。これはどうも失礼いたしました。

私は川口様の推進する議事録ジャーナリズムが大変ありがたいと感じてこのブログを眺めるようになり、また、理系出身で朝日新聞の記者をやり、思うところがあって独立したという川口様の心意気に共感していました。

しかしながら、どうも最近のエントリーの立て方やご自身のコメントがちょっと安きに流されていはしないかなとか、熱い心のあまり公平なバランスを失ってはいないかななどと老婆心ながら気になってきたものですから、ついつい過度な期待をしてしまったのかも知れません。

川口さまにおかれては、今後もあの神業に近い議事録ジャーナリズムをして、重要案件の審議の様子を是非我々にお伝えくださるよう切にお願い申し上げます。

>たとえ無意味と思っても、事態が発生してしまってから現場放棄するのは人間として恥ずべきことです。

○ 人間として、というか、国家公務員法第98条には「職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。」とあります。
命令の合理性について納得できないとしても、国家公務員が上司の職務上の命令に従わなければ、場合によっては懲戒の対象になります。
更に言えば、(もちろん平時には上下なく大いに議論をすべきですが、)有事には淡々と命令に従うだけではなく、自分の意に沿わない命令であっても、その批判を外に対して発信して国家の信頼を損なうような行動は慎む、というのを含めて国家公務員のあるべき姿と考えています。有事とは国家の強力なリーダーシップが必要とされるときであり、国家の権威が失われることの影響が平時よりも格段に大きくなるためです。(ちなみに、彼女は自身のブログで、ある検疫所長がスーツを着ていた、ということまでやる気のなさの表れであるとして非難していて、少なからず違和感を持ちました。)
彼女は平時にもこのようなことを言っていたのだろうと思いますから、些か同情は感じますが、やはり立場上、今は「黙って」仕事をすべきと思います。

○ 経歴を拝見しただけですが、木村氏が感染症予防戦略の専門家と言えるかという点については、慎重な検証が必要だと思いました。彼女自身も指摘するとおり、自身の専門知識という点では、技官であっても役人は過大評価できません。現役キャリア官僚、という肩書きが一人歩きしてしまっている印象があります。
川口さんは、今回「判断」をされて記事をアップされたとのことですが、彼女の話したことが事実認識の観点や公衆衛生学的観点から見て十分信頼性があると判断され、その点について、少なくともジャーナリストとして責任を持てる、というお考えでしょうか?
これほど明確に、国の戦略が、技術的な面で誤っていると主張する人に、この時期にメディアとしてスポットを当てるということは、ともすると重大な結果を招きうるものだと考えますので、その覚悟の程と、その根拠をお伺いしたいと思います。

>ろぼう様
木村先生に確認しておりまして遅くなりました。
ワクチンに関しては、インタビュー後の日付で
http://www.kimuramoriyo.com/22-swine_influenza/influenza_viccine.html
という文章を書いてらっしゃいました。
また、追加で
「ワクチンの効果は動物レベルでも細胞レベルでも効果が認められたとしてもそれが人間にとってどれほどの効果があるかどうかは実際人間という集団で試してみなければわかりません。薬でいえば臨床試験です。これらの議論はウイルス学者や分子生物学者が好んですることです。どこの国でも公衆衛生学対ラボ学者の熾烈な議論があります。
ワクチンにしてもタミフルにしても、あの研究ではこうだったこの研究ではこうだったというレベルです。
本来ならもっときちんとした議論が必要なのです。しかし今の状況は、タミフル、ワクチンは効果がある!といっているようなものです。十分なエビデンスのないまま議論するのは日本人の悪い面です。
しかし残念なことに日本にはワクチンやタミフルの効果を判定するような前向き研究は不可能なのです。前向き研究をするためには法令をも含んだ倫理委員会、そして研究デザインを審査する専門家などが不可欠ですが日本には存在しません。またとてつもないお金とマンパワーがかかります。」
とのコメントをいただきました。

>KHPN様
『ロハス・メディカル』誌には臨床医約50人による編集委員会が存在しまして
こういう境界線上の問題を扱う際には
当然のことながら、その先生方の見解も伺っております。
今回の場合、編集委員の先生方から取り上げよとの意見を頂戴しました。
繰り返しますが、たとえ枝葉末節に若干の問題があったとしても
今回の木村先生の主張は傾聴に値するし
世の中に広く知られて然るべきとの判断には、いささかの変化もありません。

>KHPN様
書き込みが前後してしまったようです。
ありがとうございます。
マスメディアが一色に染まっている時
それと異なる傾聴に値する意見があれば、拾いに行くのは
メディア人としては当然の行動と思っています。
今までもそういう原理で動いてきましたし、今後もそれで行くつもりです。

>中野稀哲様
重大な結果とは何でしょうか?
また、今は有事ですか?

川口様

夜も遅くにありがとうございます。私もKHPN先生と同様に、川口様とロハス・メディカル誌を応援しております。応援が過ぎて、今回は出すぎてしまいました(ROM専なのです。通常は)。

木村盛世氏にせっかくご確認いただきましたが、議論はかみ合わないと思います。氏の主張は厚労省を批判するのが目的であると思うからです。患者のアウトカムを改善させたい、と考えるわれわれとは目的が異なります。

エビデンスについての氏のご意見ですが、

> ワクチンにしてもタミフルにしても、あの研究ではこうだったこの研究ではこうだったというレベルです

完全に臨床応用可能な(外的妥当性が完璧な)エビデンスなどあろうはずがありません。限られたエビデンスに統計学、臨床医学、公衆衛生学、生物・生化学の知識を動員して臨床応用します。その結論が「現時点では、時に致死的になる基礎疾患のある患者などに対してワクチンを用いる」という結論です。タミフルも同様でしょう。

またROMに戻りますが、最後に

> 前向き研究をするためには法令をも含んだ倫理委員会、そして研究デザインを審査する専門家などが不可欠ですが日本には存在しません

これも彼女お得意の聞きかじりの知識での発言ですね。近年、日本からのRCTを含めた臨床試験が増えております。専門家が少なすぎるのは問題点のひとつです。特に、生物統計家が少なすぎます。でも、存在しています!

老婆心ながら

> 繰り返しますが、たとえ枝葉末節に若干の問題があったとしても今回の木村先生の主張は傾聴に値するし

ここまで穴だらけの主張をされる方の発言を傾聴すべきではありません。

>『ロハス・メディカル』誌には臨床医約50人による編集委員会が存在しまして
>こういう境界線上の問題を扱う際には
>当然のことながら、その先生方の見解も伺っております。
>今回の場合、編集委員の先生方から取り上げよとの意見を頂戴しました。

では、その提案をされた先生にフォローアップの記事を書いていただく、というのはどうでしょうか?
その先生が、どのような根拠から木村氏の意見の科学的妥当性や事実認識の正確性を認めたのか、また今まで提出されている疑問にはどのように答えるのか、指摘されている問題が川口さんのおっしゃるように枝葉末節なのであれば、世に伝えたかったエッセンスは何だったのか、という観点で記事を書いていただければ、信頼の回復に役立つと思いますよ。

>重大な結果とは何でしょうか?
例えば、「現役官僚が水際封じ込めはナンセンスと言った」という言葉が一人歩きして、本来有効なはずだった場合でも検疫に協力が得られなくなったり、「タミフルもワクチンもナンセンス」という言葉が一人歩きをして、本来効くはずだった場合でもタミフルやワクチンを拒否してしまう患者が出ることです。
はっきりしないことははっきりしない、限定的なものは限定的と正確に言うべきで、どこまで安全側の対策をとるか、どこの対策に重点を置くべきかという判断の問題とは分けて考えるべきです。

>また、今は有事ですか?
御質問の意図がよくわかりません。いつもの状況ではない、しかも「そのために備えていた事態」がついに来た、という意味あいで使っていますが、もう少し川口さんの問題意識を説明していただけますか?

>投稿者: Anonymous | 2009年05月07日 00:01

失敬。名前を入れ忘れました。

あまり書きたくはないのですが

(刑法)
第35章 信用及び業務に対する罪
(信用毀損及び業務妨害)
第233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(威力業務妨害)
第234条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。


卒業式での『君が代』斉唱に反対し不起立を呼び掛けた(元?)高校教諭が威力業務妨害罪で有罪判決を受けたこともあるという位が判決適用の相場観のようですので、例えマスコミネタとしては面白くても、妙に英雄視して煽らないほうが、ご本人及び世の中のためではないかと愚考しますが。

>ろぼう様
ありがとうございます。

>中野稀哲様
あなたの主張が成り立つのは、今さら方法を練り直している時間的猶予はない
練り直したらかえって被害が大きくなるという場合だけです。
もはや既定の方針通り粛々と行動するしかないんだ、と。
まだ猶予があるなら(私はそう思っています)
「こちらの方が被害は少なくなる」と主張することの
何がおかしいのでしょうか。
公務員の不作為が罪に問われることをご存じないはずありませんよね。

まだ実際に被害が生じてもいないのに
無理に医療現場の方々を走り続けさせて
本当の危機が来た時に戦力が残っていなかったらどうするんでしょうか。
現実に今そういうことを厚労省はさせていませんか。

木村先生は、検疫に力を入れるなら
その分の医師と予算を使って発熱専門外来を設けよと主張し
本省宛にも提案として上げているそうです。
(インタビューにも書いてあります)。

川口さま

冷静になってください。

私は中野さまの仰ることの方がどうも筋が通っているように思えますが。

法律や事前の行動計画で示されて、専門家による諮問会議なども設置し、それらに基づいて行われている現在の国の対策について、私は内容的に妥当かなと納得しています。

しかしながら川口さまはこの突然現れたような「木村先生」の仰ることこそを信じて国全体の方針転換(中には法改正など時間のかかるものもあるのですぐには間に合わないと思いますが)を行うべしと仰っているようにどうも聞こえますが、そういう理解でよろしいのでしょうか?


また

>公務員の不作為が罪に問われることをご存じないはずありませんよね。

はちょっといただけませんが。

事態に対する危機感に違いがあることはよくわかりました。

私は、WHOがフェーズ5を宣言し、海外で千人単位の感染例が出て、死亡例も出ているというこの期に及んで、厚労省で「望ましい対策のあり方について」という様なテーマで公衆衛生の専門家を呼んで会議をやっていたら「今までの時間は何だったんだ?」「役所はまた『検討』かよ」「後手後手だな」と笑ってしまうのが一般的感覚だと思っていましたので、このような方がマスコミにいらっしゃるのは新鮮な驚きです。逆に、いつになったら「猶予がない」と判断されるのか、基準をお持ちでしたら御教示ください。

木村氏の主張は、検疫がナンセンス、という部分がどうしても引っかかります。記事を拝見する限り、検疫を「完全に防げるか否か」という尺度で評価して、普及啓発活動程度で座して待ち、一方で国内での大流行に備えて大量の医療資源を予備的に蓄えておく、という策と読みましたが、そうであればバランスを欠いており、コストパフォーマンスが悪いという印象を禁じ得ません。時間を稼ぎ、侵入を細らせる意味では検疫も大事だが、その後のことも考えておくべき、という程度の意見ならわかりますし、既に現行の対策でも意識されているでしょうが、まるで「どうせガンになるときはなるんだから、禁煙なんてしない。せいぜい軽いタバコにしておく程度。ただ、なったときのことを考えて、最高の名医を日常的に雇っておく。」(ちょっと素人くさいでしょうか)と言っているようで、こういうのも感染症対策の分野ではむしろ正しいと編集委員の先生がおっしゃっているのか、それともこれも川口さんにとっては枝葉末節であって、例えばユニークなことを言っているということが重要、というような判断なのか、教えていただけませんか?

>中野稀哲様
恐らくどこまで行っても交わることはないと思いますが
静的な計画が絶対と思っている時点で認識が異なります。
検証と改善、検証と改善とを繰り返さないで、いきなりベストなものができますか?
現場に不可能なことを押しつけて
計画は完璧だったのに、きちんとやらなかった奴がいたから失敗したと
どうせ厚労省は言うのだろうと見ているだけのことです。
計画を立てる時は、現場の能力から積み上げないと机上の空論です。
現場の能力が足りなかったら、補給しないといけません。
補給ができる限り、まだ猶予はあるんだと思っています。

川口様
>現場に不可能なことを押しつけて
>計画は完璧だったのに、きちんとやらなかった奴がいたから失敗したと
>どうせ厚労省は言うのだろうと見ているだけのことです。
>計画を立てる時は、現場の能力から積み上げないと机上の空論です。

○ 「現場からの積み上げ」論は理想的ですが、理想的なだけに厳しい財政状況では実現可能性が脆弱です。確かに、トップダウン型ではにうまくいかなくても「下がちゃんとやらなかった」という結論になるという残念な形がありますが、同時に、ボトムアップ型では現場がオチを考えずにあれが欲しいあれも欲しいと夢を膨らませ、財源がなければ「財源を用意してくれなかった○○省が悪い。(+天下り批判等々)」と結論づけるという残念な形もあります。ここでもバランスは必要であって、平時に現場側とマネジメント側が双方向でフィードバックを繰り返しておく、というのが現実的な選択でしょう。そして、新型インフルエンザ対策は十分に準備期間もあり、政治的にも重要課題とされており、感染研という国立研究機関もあり、指定医療機関という構造もあったわけで、この双方向のフィードバックが比較的精力的に回されていた分野だと思いますよ。

>静的な計画が絶対と思っている時点で認識が異なります。
>検証と改善、検証と改善とを繰り返さないで、いきなりベストなものができますか?

○ 既に、新型インフルエンザ対策行動計画については、仰るような検証と改善は繰り返されてきているのではありませんか?
もちろん、仰るように、そう簡単に完璧、ベスト、という計画ができるはずはありませんし、長期的には、ことが起こってからも実施→検証→改善というサイクルを回さないといけないでしょう。

しかし今、木村氏がされていることは、敵の足音が迫ってきた、皆でこれまで用意してきた作戦で闘おう、というときに、まだ敵の顔も見ないうちから「やっぱり今の作戦では勝てない。だって○○かもしれないし、○○かもしれないし・・・だからもう一度作戦会議をやるべきだ。」または「前からこの作戦では勝てないと思っていた。きっと作戦はうまくいかない。このような作戦では死にに行くようなものだ。」と言っているようなものです。

やってみてどうだったか、ということは、その経験を経てのみ得られるような示唆を与えてくれることもあるので、その経験を得た後なら、改善を目指した検証にはまた意味が出てくるでしょう。しかし、実施を行っていない今の段階では、利用可能な情報はこれまでと大差なく、これまでの結論を急に変えなければならない理由が乏しいと考えます。

また、たとえ木村氏が以前から同じようなことを言い続けてきたのだとしても、その時々の判断として、その意見を採り上げないという判断がなされてきたわけです。彼女の意見の正当性をサポートするような新たな情報が得られたわけでもなく、政府の意志決定プロセスが著しく不適切だったとされたわけでもないのですから、結論を変える必然性がありません。同じ函数に同じ変数を入れれば、同じ値になるのと同じことです。

常によりよい対策を追い求めることも必要ですが、対策の安定性・一貫性も同じくらい重要です。これはよく、官僚のメンツ云々のためと誤解されますが、朝令暮改で現場の混乱を招かないという観点、国民の信頼と協力を維持する観点から重要なのです。川口さんは、このバランスを理解された上で、なお木村氏にスポットを当てるべきだと判断されたのでしょうか?

○ もう少し具体的な指摘もしましょう。川口さんは補給が可能と仰っていますが、現時点で行える補給とは何をイメージしていますか?
仮に検疫を元の状況に戻して、「1台300万するサーモの機械」も全部売り払えば、ある程度のリソースは浮くでしょうが、それを何に使いますか?
記事にある木村氏の提案らしきものとしては「医療センターや国立病院の空いている敷地にプレハブを建てて、JICAの感染症専門の医師たちに専門外来をさせる」というものですが、その敷地がどこにどれだけあって、JICAの職員のうち感染症の専門家の医師はどのくらいいて、そのうちどのくらいをこの計画にリクルート可能なのか?命令が可能なのか協力依頼ベースなのか?計画全体に十分にリソースを飲み込めるだけのキャパシティがあって、それによる効果は検疫への注力をやめることのデメリットを補えるものなのか?いつ始めていつやめにするのか?等々、詰めるべき所は多数あるように思いますが、ちゃんと詰められていたのでしょうか。
普通、真面目な役人であれば、職務として新規の案を上げるときには規模、効果、実現可能性、スケジュール、財源、リスク、必要な手続き等について見通しを立てて具体的な説明を付けようとします。ひとたび案を示すとなれば相手はそこまで求めると考えるし、企画レベルでいくら詰めたと思っても、ふたを開けてみれば「机上の空論」と現場から批判されるということを経験しているからです。「公務員と準公務員を活用すれば、大して金額はかかりません。」という漠然とした記載がもし木村氏の発言通りのものなら、思いつきの域を超えるものなのか心配になります。(しかも「準公務員」って・・・。)

土壇場の「ちょっと待った」も、示した代案が十分詰まっていてすぐにできそう・やるべきと納得できるとか、発想があまりに独創的でそれ自体がブレイクスルーだとか、そういうものであれば傾聴に値するかもしれないと思いますが、そういうレベルのものとは思えないのです。

川口さんでも、木村氏を取り上げよと意見されたという編集委員の先生でもよいので、どこに光を感じたのか、解説して頂けないでしょうか?

○ なお、今までなぜ十分な整備をやってこなかったんだ、という声もあると思います。あまり生産的でない批判ですが、気持ちとしては分かります。ただ、そのレベルまでおりていいのであれば、平時に陰圧室だの重症感染症専門医の育成だの人工呼吸器の確保だのに多大なリソースを使っていたら、それはそれできっと別の現場から批判が出たでしょう、ということもできるわけで、後出しの論理の域を出ません。

皆様、脇からすみません。

非常に専門的な議論が続いていて、大変勉強になります。ありがとうございます。

個人的な感想ですが、私はこの記事をとても興味深く読みました。新型インフルエンザや検疫に関する情報は、やっぱり偏っていて、「水際で封じ込めができる」と政府は断言していないのかもしれませんが、受身の国民からすると、なんとなく断言されているような印象を持ってしまいます。「水際でくいとめるから(くいとめれば)大丈夫」と楽観している国民はかなり多いのではないかと、各局が報道している街頭インタビューでの街の人の声を聞いていても思います。少なくとも、一番強調されている検疫のイメージが強すぎて、その他の大事な対策がかすんでしまっています。だから新型インフルエンザにかかったと思ったら「かかりつけなど病院に行く」と答える人が、ある街頭アンケートで4割近くにもなったりするのだと思います。そのなかで木村氏の指摘は、いろいろ議論の余地を残してはいるのかもしれませんが、根拠の不十分な楽観的態度に警鐘をならす意味はあったと思います。

しかも、木村氏の発言内容に問題があるとしても、幸か不幸か、いずれにしても世論を大きく動かせていないのは、世の中の現状を見れば一目瞭然です。

それでも私は、木村氏の主張が出てきたことで、大手マスコミがそのまま流している政府の見解と、木村氏の見解、どちらに対しても、一歩引いて見ることを改めて思い出しました。このような非常事態(の一歩手前を含む)の場合には、国民が一致団結して適切に行動することはもちろん大事ですが、残念ながら、これまでにも政府の言うことだけを鵜呑みにしていて道を誤った出来事が歴史的にいくつもあり、私は木村氏の小さな声も頭の片隅に置いた上で、さらに他にも情報がほしい、その上で自分で判断したい、と思ってしまいます。もちろん、皆様のご指摘も大変参考になります。

それにしても、この新型インフルエンザに関して、医療機関の「受診拒否」の問題(別に記事・コメント欄が立っていますが)が出てきていますが、マスコミの論調はやはり政府と同じように否定的です。が、私もこれには疑問を持ってしまいます。「やたらと受診すべきでない」のが正しいなら、「やたらと受診しようという感染の疑いのある人を追い返す」のも正しいのではないかと思うのですが・・・。

多くの人が特定の方向になびいている時に、
「本当にそれでいいの?」と疑問符を投げ掛けることもありかな、と思っています。
もちろん、「おかしなこと言うな!」と集中砲火を浴びることもあるのですが、
ちょっと立ち止まって考えてみる、
そういう材料を提供することは貴重なことだと思います。

>中野稀哲様
油断してたら、ずいぶんと力作をお書きいただいたようで(笑)。

新型インフルエンザ対策の準備に時間を使っていたことは間違いないと思いますが
しかし計画が、現場の能力を把握しないで立てられていることも間違いありません。
本日の参院厚生労働委員会で自民党の古川俊夫議員が
「国内に蔓延した際に患者を収容できるベッドは何床あるのか」と質問したところ
上田博三健康局長は答えられませんでした。

日常診療だけでも医療者が足りず
病院がボロボロ脱落している現状を知っていたならば(知らないはずありません)
まず現場のリアルタイムの状況を把握して、計画の不可能な部分を立案し直すか
計画遂行を可能にするよう、現場に補強するしかなかったはずです。
ポーズの意味しかない検疫に、貴重な戦力を動員するバカなことが行われようとしている時
やめろと言うのは何もおかしくありません。
途中の論旨に若干粗っぽさがあったとしても
木村先生の主張は、その意味で素晴らしい価値があったと思います。

ところで
繰り返し「編集委員を出せ」という御要望をいただいてますので
余り気は進まないのですが
編集委員の1人がこの問題について書いた文章のURLを示しておきます。
と思ったら、まだアップされてなかったので、もう少々お待ちを。

○どんな政策にも、カウンターバランスは必要です。
・水際対策をやっているところに「医療体制の充実も必要」
・新型インフルエンザ対策をやっているところに「他のインフルエンザ対策も必要」
・インフルエンザ対策をやっているところに「他の感染症対策も必要」
・感染症対策をやっているところに「他の医療・公衆衛生も必要」
・公衆衛生をやっているところに「福祉も重要」
・社会保障をやっているところに「他の社会インフラも重要」
等々。

しかし、そのとき重要なのは、カウンターバランスを置くときに、もう片方の重要性を否定したり過小評価したりせず、バランスのとれた対応をすることです。
川口さんが、御自分の言葉としても「検疫はポーズの意味しかない」とおっしゃっているのは大変な驚きです。
対策は「完璧・鉄壁」と「ポーズの意味しかない」の二択ではありません。

メディアの方とおつきあいをしていると、大勢の中の一人なら極端なことを言ったって全体のバランスを反対方向に崩すことはないだろう、極論でも世の中に一石を投じられればいい、という考え方をする方によく出会いますが、こと科学的分野では逆に危険です。極論であっても、一見正しそうな「根拠」を持って、大多数の人に常識がない分野に現れるので、世の中を大きくミスリードしてしまうことがあるからです。

役人もジャーナリストも言葉を大事にするべきです。木村氏はどうも本当にそうお考えのようですが、川口さんも本当に現在「検疫がナンセンス」「検疫にはポーズの意味しかない」とお考えですか?もしそうであればその根拠は?
結果が出た後で聞くのはアンフェアですが、今、成田赤十字にいる患者さんは、検疫をスルーして地元に帰ればよかったとお考えですか?
少なくとも、同じ感染症対策の非専門家である私としては、「適切な時期にコストパフォーマンスを含めて力の入れ具合を検討する必要はあるかもしれないが、ナンセンスというのは言いすぎだろう。」と思います。
これは「途中の論旨に若干粗っぽさがあってもいいじゃないか」では済まない話です。

○堀米さんは、国民の目が片方に集中している、国民が水際対策で十分と楽観的になっていると指摘されていますが、そのことをもって「政府もそうだ」と飛躍するのはいかがなものかと思います。一般の人に警鐘を鳴らすなら、一般の人に向けて警鐘を鳴らせばよいし、政府を批判するなら政府の広報活動を批判するべきでしょう。木村氏の意見を紹介するとしても、せいぜい複数の引用の一つで良かったのでは?

○編集委員の方の件、本当にかなうとは幸甚です。ご登場は大変興味深いと思います。どういった経歴の方かは存じませんが、おそらく厚労省から相手にされていないと思われる木村氏や、非専門家の川口さんではなく、感染症対策の面で川口さんが信用されたという方が、どういうお考えで木村氏にスポットライトを当てるよう意見されたのか、その方も「検疫・ワクチン・タミフルはナンセンス」とお考えなのか。その方自身はこれまでどうされてきた方で、今後はどのようにされていくおつもりなのか。楽しみにしております。

○古川議員の質問ですが、ネットで確認すると、上田氏の答弁は、制度上確保できる病床数について述べた上で、更にそのほかの病床から病院の協力によってどの程度上積みできるかは読めない、というものですよね。一般病院の協力の意志が平時と実際に蔓延したときでは誤差が大きいことは当然考えられることであって、楽観をしない非常に慎重な答弁だったと思います。川口さんの記載ですと、全然わからなかった、皆目見当もつかなかったかのようにも読めてしまいますので、補足しておきます。

>中野稀哲様

ありがとうございます。
今回、成田で引っ掛けたことには、関係の方々に敬意を表したいと思います。
ただせっかく引っ掛けたのに、同乗客の多くは、既に入国してしまった後なんですよね。
まさに昨日の参院厚労委で国民新党の森田高議員が指摘していたように
「ガウンテクニックがいい加減。
 半径2mだけ留め置いても、機内を移動しているだろう。
 やるならちゃんとやれ。でないと意味がない」ということになると思います。

なぜこうなるのか検討してみれば原因は明白になると思いますが
厚労省の行っている検疫はやはりポーズだから、と解釈せざるを得ません。

厚労相の国会答弁を見ていますと
国内体制整備のための時間稼ぎに行っているんだという論法でした。

であれば、国内体制整備も同時並行で走ってなければならないはずですが
「それは都道府県の仕事だ」と未だに言っていて
新たな予算も付けずに事務連絡を何本か出しただけです。

目標とすべきは、何波か来ると思われる流行の総被害の軽減であって
1例目の国内発生を遅らせることではないことを確認したいと思います。

まあまあお二人とも落ち着いてください。

川口様にお尋ねします。

最初の疑問に戻りますが、

>「専門家がいないからでしょうね。WHOもフェーズ3から4に上げる時、封じ込めに努力せよなんて言ってません。それなのに封じ込めできると言っているのは、国民を欺く行為です。もし彼ら自身が本気で可能だと思っているのだとしたらあまりに宗教的だし、頭に何か新種のウイルス感染でも起こしているのでないかと心配になりますよ。」

については、川口さんの筆力不足だったと説明されています。
では、木村先生は実際どのように仰り、どの部分を川口さんが加筆修正なさったのでしょうか?

人によっては聞き捨てならないと強く感じられた方もいらっしゃるかと思いますので、あくまでもきちんとした事実をお教えください。

○繰り返しになりますが、対策は「完璧・鉄壁」と「ポーズの意味しかない」の二元論ではありません。
川口さんはガウンテクニックへの指摘や他の乗客が入国したことをもって、「厚労省の行っている検疫はやはりポーズだから、と解釈せざるを得ません。」とされています。確かに、職員のガウンテクニックが完璧ではないかもしれないし、乗客は機内を移動したかもしれない。カナダの空港の待合室で集団が入り交じったかもしれない。もっと言えば、今わかっている以外にも発生を隠している国があって、そこから帰国した人が感染しているかもしれない。感染者が密入国してくるかもしれないし、ウイルスが変異して鳥に運ばれる可能性だってゼロとは言い切れない。こういう考え得る可能性を全て完璧に潰していなければ、検疫はポーズでやっている、と、意図や姿勢まで貶めた侮辱的な解釈がまかり通ってしまう、というのはおかしな話です。
また、もし仮に、国民感情への影響「も」考えて多少仰々しくやっていたとしても、検疫が「ポーズの意味『しかない』」とまで否定することができるものなんですか?
森田議員の発言も、検疫の意味を認めた上で、その最適化について意見を述べたものであり、「どうせ完璧には出来ないのだからやめてしまえ」という趣旨ではありません。

縦深防御の考え方、コストパフォーマンスの考慮、長期戦へのシフトのタイミング、いずれも考慮する必要性はあるでしょう。医療体制の充実にしても、(国と地方自治体が役割分担をしていること自体が問題とは思えませんが、)このご時世ですから使えるリソースが限られることも確かです。既に補正予算等については厚生労働大臣も見通しを示していますし、地方自治体も頑張っていると思いますが、川口さんには何もしてくれていないように見えて、「どうせ検疫に1点賭けしてるんだろうから検疫が鉄壁じゃないとダメじゃないか」というようなことを皮肉っぽく言いたくなったのだとしても、気持ちはわかります。

しかし、そのことと、全体の計画の中で見たときに、検疫自体が「ナンセンス」かどうか、検疫に「ポーズの意味しかない」かどうか、そして厚労省がこのように検疫の必要性を内心全否定しながらポーズでやっている、と解釈せざるを得ないのか、とは別の問題です。

川口さんが8日におっしゃったのは、「検疫が手ぬるい」でも「検疫には世間で言われているほどの効果はない」でも「他の策とのバランスが悪い」でも「コストパフォーマンスが悪い」でもありません。流行の総被害の軽減を目標とするべき、というような巨視的な話でもありません。今回のような意図や姿勢がどうかという話ですらありません。「ポーズの意味『しかない』」という発言で、この意味は検疫の「ポーズの意味」以外を全否定するものです。
全否定なら、反証を一つあげれば十分です。成田の4症例がその反証です。検疫には意味がありました。この点において川口さんは誤っています。言葉のバリエーションが、極端に偏りすぎているのです。

○とはいえ、KHPN先生も出てきていらっしゃいますし、あまり持って回ったことはやめにしましょう。今回、少々手厳しく言葉を詰めましたが、おそらく、川口さんは別に検疫の意義を全否定したかったのでも、政府職員の心の中身を決めつけて告発したかったのでもなく、他に例えば、木村氏の「空き地にJICA」案が素晴らしくて今すぐ紹介するべきだと思ったというのでもなく、もっと単純に、「他の対策とのバランスにも留意が必要」「縦深防御を考えて後方にもリソースを配分すべき」というような、論説的な読み物でよく見る「だがちょっと待ってほしい。」的なことを言いたかっただけなのではないかと推察します。他の(同僚の?)方の指摘を見ても。

言動に公務員としての慎重さを求められる木村氏の場合は少々事情が異なりますが、川口さんはジャーナリストですから、どんな人であってもみんなと違うことを言っている人がいれば行って話を聞いて記事にして発信する、世の中の人々がみな右と言っていると感じたら、とりあえず左と言ってみる、という基本姿勢であっても、それ自体は理解します。

しかし、何のためだったのかよくわかりませんが、木村氏を前面に押し出して、川口さんおっしゃるところの「若干粗っぽい途中の論旨」の他、「行政機構のあり方への一般化」などの余分なものを入れてしまったことがかなりまずかったと思うのです。少なくとも二種類の不幸な反応があったでしょう。ひとつは、木村氏に巻き込まれ、検疫・ワクチン・タミフルといったもののの効果を過小に誤解して(何しろ「ナンセンス」ですから)不必要に不安になり、政府に対する誤った不信感を募らせる反応。もうひとつは、検疫がナンセンスだとは到底信じず、その他「若干粗っぽい途中の論旨」や本論からずれた月並みな政府批判を見てやっぱりと思い、木村氏をトンデモと判断し記事自体もスルーする反応。もし、川口さんが本当に伝えたかったことが、私が上に述べたようなことなのであれば、残念ながらこの二つの反応はいずれも、そのゴールに到達していないのです。もし、私の推察が当たっていたなら、そのことをよくお考えください。

中野稀哲様のご意見に賛成です。

川口様と同僚の方々の善意と意図はよくわかります。ただ、トンデモに引っかかってしまったので、せっかくの記事がその意図を実現させていないのだと思います。

木村盛世氏のWEB、5月8日付の記事「学校閉鎖は役に立たない」をみましても、CDCのstatementをねじ曲げて紹介しています(学校閉鎖が役に立たないとCDCが主張しているかの様な記載です)。まさに度し難い(CDCのstatementは、一応の有効性を認めて今回学校閉鎖を行い、あらたに弱毒性であることがわかったので学校閉鎖を取りやめた、という文脈です。また、学校閉鎖の有効性を示した報告が存在するのは前掲の通りです)。

彼女にはMedlineを見る限り研究者として業績があるわけでもなさそうです。氏の意見を重視するとロハスメディカルの信用に関わると感じます。今回の彼女の一連の発言は、「真実の中に2割の嘘を交える」デマゴーグと批判されても仕方がないと考えます。

>トンデモに引っかかってしまった
>今回の彼女の一連の発言は、「真実の中に2割の嘘を交える」デマゴーグと批判されても仕方がないと考えます。

まあまあ、ろぼうさまも十分にお分かりとは存じますが、言い方に注意しないとともすれば個人攻撃と誤解されて話をややこしくしてしまうので、そこら辺のところは既に十分お気をつけいただいていますよね(なんてすみません、私もとても他所様に言えた義理ではないですが)

さて、一般に議論において、対抗する者の意見を正しく引用せず、あるいは歪められた内容に基づいて反論するという論法を「ストローマン」(わら人形論法)と言うのだそうです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A9%AD%E5%BC%81

わかりやすい例で言うと

A氏「私は子どもが道路で遊ぶのは危険だと思う。」
B氏「そうは思わない、子どもがで遊ぶのは良いことだ。A氏は子どもを一日中家に閉じ込めておけというが、果たしてそれは正しい子育てなのだろうか。」

というB氏の手法なのだそうです。

どうも最近色々なところで、この「ストローマン」や「感情に訴える言い方」が使われて世の中をミスリードさせているように、私には思えてならないのですが...(独り言)


では、先の私の疑問に対する川口様のご回答をお待ち申し上げます。

KHPN様

ご忠告、痛み入ります。おっしゃるとおりです。
以後、気をつけます。

ところで
繰り返し「編集委員を出せ」という御要望をいただいてますので
余り気は進まないのですが
編集委員の1人がこの問題について書いた文章のURLを示しておきます。
と思ったら、まだアップされてなかったので、もう少々お待ちを。

もうずっと、この約束は果たされないままきているのですが、
もしかすると、このことを言っていたのかな、と思いました。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/opinion/mric/200905/510684.html

上昌広氏はロハスメディカルの編集委員だそうですし、おっしゃっている内容と木村氏の主張の内容の重複もかなり見られます。

御経歴を見ると、上氏が感染症対策のマクロ戦略の専門家であるかは難しいところですが。

中野稀哲さま

>上昌広氏はロハスメディカルの編集委員だそうですし、おっしゃっている内容と木村氏の主張の内容の重複もかなり見られます。

この先生も木村先生と同様、「陰圧室」という箱物整備の必要性を強調してますが、果たして、これが本当に必要不可欠な要素なのでしょうか。(もっとも15兆円の補正予算が通る何でもありの現状では、全国に箱物整備費をつけるのもありかもしれませんが、昔と違って、今は補助金という形で国が自治体に予算をつけるわけにもいかないし、特定の民間に対して税金を使うことも法制度上難しいとも聞くので実際にはどうやるのでしょうか。もしかして、その苦肉の策がプレハブの「陰圧室」なのでしょうか?不要になったら解体して国有財産としてどこかに保管しておけとでもいうような理屈で)

今回の新型インフルエンザウイルスのBSL(バイオセイフティーレベル)がいくつなのか知りませんが、同じように飛沫感染し、時に重症化する結核菌や麻疹ウイルスの感染者に、普段そこまで要求しているとは思えません。
具合が悪くて車で外来に来れば、他の患者を診ている間は、車の中で待っててもらうとか、入院が必要な場合でも普通の個室で十分対応しているのではないですか(無論陰圧室が元々あって使えるときには使うかもしれませんが、mustではないの意味です。)

第一、患者隔離にそこまで要求するようなレベル(BSL4?)の病原体ならば、ラボの扱いもP4(物理的封じ込めレベル4)でないと辻褄が合わないですが、日本にあるP4施設というと、私が知っている限りではつくばの理研と村山の感染研分室位のものですが、どちらも周辺住民の反対で使わない約束をさせられていると聞きました。

とすると感染研の研究者は、より低レベルの封じ込め施設で実験室内感染のリスクに晒されながら、全国から送られて来る検体のPCR確認検査をこれまた休日返上で毎日24時間行っているというような話になりますが、一方で普通にアルコールで死滅(正しくは不活性化)するようなウイルスに対して大袈裟な防護をやっているとは、これまた到底思えないので、きっと専門家なりに適切な相場感に基づいた対策をとっているのかなと想像しています。

また、先の上先生(「うえ」とお読みするのでしょうか、或いは「かみ」とお読みするのでしょうか?)、「本来、厚労省がすべきことは、国立国際医療センターのJICAの待機医師・看護師や、国立研究所など、診療に従事していない医師・看護師を、発熱外来へ応援に行かせることを、不安を抱えている医療機関に約束することです。」とも仰るが、すると感染研の研究者のうちでも医師免許を持っている方々なども動員するような話にも繋がるように聞こえるが、本当にその選択が正しくてまた不安を抱えている(と仰る)医療機関を納得させるだけの数も間に合うとお考えなのかな。

ところで、この先生は普段診療に従事していらっしゃるのかしら?

それでもこの先生は流石に「あまりに宗教的だし、頭に何か新種のウイルス感染でも起こしているのでないかと心配」とまでは仰ってはいないので、その意味では多少は安心しました。


などとと脱線してしまいましたが、改めて川口様のご返答をお待ち申し上げます。

 (成田を除く)「国内感染初確認」以降、こんなに活発だった議論が止まってしまったのは偶然ですか?
 あれほどのリソースをつぎ込んで、入国を阻止した感染者は4名だけ、停留措置になった人たちはだれも発症しませんでした。
 一方で、検疫をすり抜けて国内に入った人は十数名〜数十名程度いると予想されます。あるいはもっとかもしれません。
 関西で多数の感染者が出た学校は、5月13日から学年閉鎖を行いました。それほど多くの「インフルエンザ様症状」の欠席者がいたのです。
 ところが、「封じ込め」を信じる愚かな国の方策によって、「渡航歴のない者は新型インフルエンザの検査をしない」という方針だったため、だれも新型の感染を確認されませんでした。確認されたのは、神戸で感染が確認された後、それではということで検査されたからです(15日に、ある開業医の方が新型への感染を疑った例もあるようですが)。
 つまり、13日の時点で新型に感染していたと思われる人数は十数名〜数十名(いずれも渡航歴なし)にのぼります。それでも、感染が初めて確認されたのは16日なのです。
 国はとうとう、22日になってやっと、海外渡航歴がなくても臨床的に医師が強く疑った場合は新型感染の検査をすると方針転換しました。明らかに「今さら」です。これまで、多数の新型患者が旧型として処理されてきており、その数は「感染者数」に数えられていません。
 今、私がこれを書くのは「結果論」の誹りを免れないかもしれませんが、木村さんはずっと以前から、このことを予想なさっており、その正しさが証明されたわけです。川口さんのおっしゃるとおり、枝葉末節はともかくとして、論の根幹は正しいと思います。
(木村さんがおっしゃっているかどうか存じませんが、「陰圧室」を大量に作るのは非現実的だと思います)

> (成田を除く)「国内感染初確認」以降、こんなに活発だった議論が止まってしまったのは偶然ですか?

そうではない。
このエントリーで「木村氏」なる人物の発言として紹介された

「専門家がいないからでしょうね。WHOもフェーズ3から4に上げる時、封じ込めに努力せよなんて言ってません。それなのに封じ込めできると言っているのは、国民を欺く行為です。もし彼ら自身が本気で可能だと思っているのだとしたらあまりに宗教的だし、頭に何か新種のウイルス感染でも起こしているのでないかと心配になりますよ。」

とこう書いた(特に後半の罵詈雑言について)のは川口氏自身の筆力不足であったと説明したので、では木村氏の本来の発言はどうであり、どの部分が川口氏の筆力によるものなのかという川口氏からの説明を皆待っているため、わざわざ空けているだけじゃないか。

>Anonymous様

貴見の通りです。

川口さんを辛抱強く待つ姿勢にかわりはありませんが・・・

>「検疫は無意味」様
確認のために、「渡航歴のない者は新型インフルエンザの検査をしない」という方針だったというソースを。
また、これがそのまま「国が『封じ込め』を信じていた」、ということを意味するのかについての考察を。

封じ込めを信じているのではなかった、というエビデンスはすでに示されています。
単なる、確率を考慮したりソース配分だったのでは?それとも、検疫を無症候の者が通り抜ける可能性が少しでも出た段階ですぐ、渡航歴のない者にも新型インフルエンザの検査をする方針をとった方がよかったと?

少し、指摘のポイントがずれてしまいました。

ここのコメントで既に述べたことですが、川口さんの本意を好意的に解釈すれば、恐らく「リソース配分の考慮の重要性」の再確認、というところだと思います。
確かに、木村氏の言説も、念入りにクリーニングしていくと、多分こういうことが浮かび上がってくるかもしれません。

しかし同時に、木村氏は、二つの誤った、そして有害なメッセージを明確に発しています。ひとつは、政府はリソース配分を全然考慮していない、検疫一辺倒でやろうとしている、ということ、もうひとつは、検疫はナンセンスだということです。これが、決定的に物事をややこしくしています。

もしこれがなくて、リソース配分の考慮の重要性について、政府も理解を共有しているという前提のもとに、リソース配分のさじ加減について、前向きな視点で議論・提言したなら生産的になったでしょう。事実、そのような議論をされた方は他に結構いらっしゃいます。しかも新型インフルエンザが流行する前から、厚生労働省の中で、です。

しかし、木村氏については、むしろ上記二つが量的にかなりの部分を占めていましたし、そもそも「リソース配分の考慮」など目新しい話ではないわけで、上記二つが伝えたくて出てきた人なんだろうな、と多くの方がとらえたと思います。(「検疫は無意味」様も、ハンドルネームのとおり、これがメインポイントだと思われたのではないですか?)

繰り返しになりますが、リソース配分の考慮など当然のことです。

マラソンでも序盤から仕掛けることもあれば、最後まで我慢のレースをすることもある。ある程度の範囲内では、正直、どんな形もそれなりの妥当性があります。まずは事前の作戦通りやって、レースの展開に応じて調整していけばいい。

でも「最後まで全力疾走できるわけないんだから前半なんてナンセンス」「前半20kmまで参加者の最後尾で力を温存するべき」と言う観客がいたら、さすがにその妥当性の外にあるでしょう。 

前半少し積極的に行き、中盤を少し抑え気味にしている選手がいても、別に途中で前述のような観客の声を聞き入れたわけでもなければ、その観客に先見の明があったわけでもない。そういう作戦だったんだろうな、または、レース展開を見たんだろうな、と思うだけです。同様に、序盤を積極的に飛ばしてトップに立つ作戦をとった選手を、「最初から最後まで全力疾走しようとしている。できると本気で思っているとしたら、あまりに宗教的だし、頭に何か新種のウイルス感染でも起こしているのでないかと心配になる。」と批判したらおかしな話です。

職場を休んでばかりいて
仕事の批判を垂れ流し
高い給料はしっかりもらう
局長なんざちょろいもの
政治家使えばイチコロさ
人事院規則も味方だよ
だって今までそうだもん
クビにするならやってごらん

おいおいホントに大丈夫かい
お天道様は知ってるぜ

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