熱中症―危ないのは真夏より梅雨?

投稿者: | 投稿日時: 2009年06月23日 07:48

激しい雨が降ったかと思うと、太陽が照りつけて蒸し暑くなったりと、このところ数日ごとに天気がころころと変わる状況が続いています。ただでさえ体調を崩しやすいですよね。そんな中、痛ましい報道が先日ありました。

車で寝ていた乳幼児2人死亡 気温上昇で? 新潟・三条
朝日新聞 2009年6月21日


熱中症は、体の中と外の暑さによって引き起こされる体のさまざまな不調の総称です。気温が高かったり、運動によって体内で熱が発生し、うまく放散しきれないことが原因で起こります。


真夏の炎天下で暑さに倒れるというイメージがありますが、梅雨の頃(特にあける時期)のほうこそ、油断してはならないようです。

上の報道のケースでも、同日の新潟三条市では両親が子どもたちを中に残して車を離れた午前5時ごろは雨が降っており、気温も20度程度だったようです。しかし通報があったお昼すぎには雨はとっくに上がって晴天、気温は27.8度だったとのこと。しかも直射日光が当たっていたといいます。締め切った車内は、熱がこもってものすごい高温になっていたことは想像に難くありません。車内の小さな2人の苦しみを思うと、つらくて涙が出ます。


ついつい油断したのかもしれません。子どもが手を離れている時間と言うのは、本当にあっという間に過ぎてしまうのはよくわかります。室内にいると外の気温の変化は感じにくいものです。雨がやんでいたのも知らなかったのかもしれません。まして子連れで午前5時に帰宅したなら、両親も疲れて仮眠をとっていたとしても不思議はありません。いずれにしても何らかの事情があったのでしょうか。しかし、そうだとしても、お昼過ぎまで2人を放置しているというのは長すぎ、過失というにはあまりに軽すぎます。


とはいえ、それをあえて私が非難する必要はないとも自覚しています。両親たち本人が一番悲しみ、自分たちを責めているだろうと思うからです。私はただ、熱中症の怖さと知識を、自分を含めもっと多くの人が理解しているべきだと改めて思ったのです。


そこで以下では、熱中症について参考になるサイトをご紹介し、その中で私が特に気になった点を挙げていってみたいと思います。


【参考サイト】

○熱中症のホームページ
熱中症の基本知識、予防法、水分補給と体調管理、応急手当等、一通り読むとためになるだけでなく、もしものときにまずアクセスしても役立ちます。

○熱中症を防ごう スポーツ医・科学 (日本体育協会)
「スポーツ活動中の熱中症予防8ヶ条」は、各項目とも念頭に置いておくことが簡潔にまとまっています。

○環境省熱中症予防情報サイト
毎日の暑さ指数が、地域・時間帯に表示されます。警戒度が色別に示されてわかりやすいです。そこからリンクで飛べる熱中症環境保健マニュアルも大変詳しいです。


【気をつける点】

●油断ならない時期:
梅雨、とくに明ける頃で、晴れ間がのぞく時。気温が急に高くなった時。気温は高くないが湿度が高い時。ちなみに秋口にも意外と多いとのこと(寒暖の差が大きく、また暑さが和らいできてスポーツをする機会が増えるためのようです)。


●気をつける場所:
アスファルト、コンクリート、砂地の上にいる時。照り返しがつよいため。特に身長が低い子どもは影響大。


●予防について①体調面:
寝不足と下痢に注意。下痢だと水分が失われやすいため。

●予防について②水分補給:
真水では失われた塩分などの電解質が不足していて、大量に汗をかいた場合に大量に飲むとかえってよくない場合がある。スポーツドリンクが最適。「喉がかわいた」と思う前に飲むこと。利尿作用の高いアルコールは適さない。

●予防について③気をつける人:
新生児、乳幼児、小児、高齢者、発熱している人、太っている人、糖尿病や高血圧など生活習慣病を抱える人、その他、性格的に我慢強い、まじめ、引っ込み思案な人(←対応が遅れることがあるようです)。

●予防について④子ども:
ベビーカーは地面からの熱を受けやすい。とくにレインカバー等は熱がこもって暑くなる。唇は乾いていないか、おしっこ(おむつ)の確認。寝汗も多いので、こまめな水分補給を。

●予防について⑤高齢者:
高齢になると暑さや喉の渇きを感じにくくなるため、室内で熱中症にかかるケースが増えている。一人暮らしは特に注意。冷房などの温度管理を周りが指導すること。

●予防について⑥スポーツ:
体調と相談しながら、温度・服装管理、休息、水分補給に留意しつつ行う。熱中症により、運動をやめた直後に、数秒間の失神が見られることも(原因:①運動中にあった筋肉によるポンプ作用が運動を急に止めると止まってしまうことにより、一時的に脳への血流が減ること。②長時間、暑い中での活動のため、末梢血管が広がり、相対的に全身への血液量が減少を起こすこと。)


●熱中症の初期:
手脚や腹筋など、局所的に、痛みをともなった痙攣が起きる。腹痛がみられることもある。その後、数秒間程度の失神や、脈拍が速く弱い状態、呼吸回数の増加、顔色が悪くなる、唇がしびれる、めまいなどが出てくる。

●熱中症の中期以降:
めまい感、疲労感、虚脱感、頭重感(頭痛)、失神、吐き気、嘔吐などの症状が重なり合っておき、さらにひどくなると意識障害やショック症状が出る。


●手当ての基本:
涼しいところで衣服を緩め、休憩・冷却する。水分補給(0.9%の塩分と他の電解質)。吐き気、嘔吐があり水分補給ができない場合は医療機関で点滴を受ける。意識障害があるときは、冷却を行いながら急いで病院を受診(救急車を呼ぶ)。


●冷却の基本:
冷却は、(意識を回復し)寒いと訴えるまでは続ける。やり過ぎを恐れず、積極的に行なう(人間は低温に強く、高温に弱い)。氷などで冷やす場合は、太い血管のある脇の下、首、足の付けね股の間を冷やす。全身については、うちわや服などで風を送ったり、霧吹きなどで、水(常温~ぬるま湯)を吹きかけてその気化熱で冷却する。

●冷却の注意点と対策:
痙攣部分に対し、あるいは冷却による震えが出ないよう(もしくは出てしまったら抑えるよう)、冷水タオルマッサージを行う。衣類をできるだけ脱がせ、体に水をふきかけた上から、水で冷やしたタオルで全身、特に手足と体幹部をマッサージする(皮膚血管の収縮を防止するため)。ただし水は冷たすぎないよう、常温水~ぬるま湯で。その上で送風を続ける。


以上、熱中症についての留意点や知っておくべきことを挙げてみました。読者の皆さんの中で「こういう点もわかっていたほうがよい」「これはむしろこう認識しておくべきだ」などのご意見がありましたら、コメントをいただけると幸いです。

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