カビはほんとに侮れない。

投稿者: | 投稿日時: 2009年06月25日 08:16

晴雨入り混じった天候が続いているということで、昨日は熱中症について取り上げました。それにしてもこの時期、湿度の高さはどうしようもありません。雨の日はもちろん、晴れていてもものすごい蒸し暑さです。


湿度が高くなると、心配になるのがカビですよね。先日もこんな新聞記事を見つけました。

梅雨を快適に(4) 空気を循環 カビ予防
(読売新聞 2009年6月22日)

なかなか気になることが書いてあります・・・。詳しく知りたくなったのでもう少し調べてみました。


以下、知っておくと良いことや参考になるサイトをご紹介します。

【カビによる疾患】

カビ全般によるアレルギーのほか、特定のカビによって引き起こされる病気もあるようです。


●アレルギー: 
カビの胞子やその代謝物が空中を漂ううちに鼻の中に入ったり、食べ物について口に入ったりすると、アトピー性皮膚炎やじんましん、喘息、鼻炎、結膜炎など様々なアレルギー性の症状を引きおこします。

●夏型過敏性肺炎:
咳と微熱が続き、やがて高熱が出るのが特徴で、毎年夏に発症して涼しくなる頃に治まります。原因はトリコスポロンというカビで、その胞子を繰り返し吸いこむことでアレルギー反応が起こり、肺炎に至るものです。風呂場のタイルの目地、排水溝のふたの裏などに発生し、低温でも死にません。古い日本家屋等はとくに要注意。

●アスペルギルス症:
カビ性肺炎とも言います。味噌、醤油、酒などの発酵にも使われるコウジカビが原因。食品、畳、カーペット、衣料品、通気孔などに潜んでいます。喘息発作や発熱などがあり、茶褐色の斑点やかたまりが混じった痰が出ることも。肺に入ると、治療困難な肺アスペルギルス症になることもあります。過去に肺の病気を発症している人は特に危険。重い病気があって抵抗力が落ちている人、ステロイド剤を服用している人も注意が必要です。

※以下の3つは、厳密にはカビではなく、カビと同じ真菌の一種、酵母によるものです。

●カンジダ症:
口の中や便、粘膜分泌物に普通に存在しています。健康なときは影響はないのに、抵抗力が落ちてくると、皮膚や口の中、膣、目、消化器官、肝臓など全身に症状が出ます。症状は部位により様々ですが、皮膚ではただれ、痛み、かゆみなどを伴います。

●マラセチア毛包炎・癜風(でんぷう)
カンジダ同様、身近にいるマラセチアという酵母が、体力が落ちてくると前胸部や肩・背中に出ている様なにきびのような発疹(毛包炎)や、皮膚に色いしみや白く色が抜けた脱色斑を作り出します。

●クリプトコッカス症:
主にハトの糞便に存在します。免疫機能が低下していると、口に入った菌に体が冒され、頭痛やめまい、目の痛み、吐き気などが起きます。更に症状が進むと、肺炎や髄膜炎を起こし、最悪のケースでは死に至る場合もあります。


その他、食品に付着・発生し、食中毒の原因となることもあるそうです。


【カビを予防するには】


●基礎知識①:
カビの発生する条件は、温度20~35℃・湿度60%以上で、栄養源となる汚れ等があるところ。湿度75~100%だとさらに増殖します。 一方、湿度が55%以下もしくは温度36℃以上か10℃以下になると発生は鈍ります。(なお、室内の平均湿度が60%でも、空気がよどんでいると、壁の四隅の湿度は100%近くなるので要注意。)

●基礎知識②:
カビが目に見えるようになるのは、数日~数週間かけて大量増殖し、菌糸を深く伸ばしてから。しかし、ここまでくると完全には除去しにくいので、目に見えない段階での対処が重要です。

●基礎知識③:
カビの発生を抑える3大ポイントは、「空気の流れをつくる」「湿気の発生元を断つ」「清潔にする」。こまめな掃除と風通しをよくすることが大切。加えて、結露を防ぐための室温コントロールができればなおよいです。

●除湿:
エアコンなどの除湿器はもちろん、扇風機などを使って風の流れをつくり、結露を防ぎます。

●換気:
窓を開けることも重要です。窓は2ヶ所以上、対角線上に開けると、風の道ができて効率よく換気できます。空気の出口となる窓を全開に、入り口となる場所を15cm程度開けるとよく空気が通ります。換気扇を使う時も、遠いところの窓15cm開けます。換気は晴天の日の湿度の低い時間帯(春から夏は12時~16時、秋から冬は12時から14時)に行います。

●エアコンの手入れ等:
フィルターを最低月1回以上は掃除する。エアコンの運転開始時はカビの胞子が飛びやすいため、最初の30分は窓を開けて送風運転したほうがよいそうです。終了時も、スイッチを切る前にエアコンの中を乾燥させるために1時間は送風運転するとよいとのこと。

●タンス・棚の設置:
棚、とくにタンスの裏はカビの宝庫となるので、最低5cmは壁から離して置くようにします。


【場所別対策】


●押入れ・クローゼット:
木でできた“すのこ”を下に敷き、床面、壁面と収納物に隙間をあけます。週に2~3回、押し入れ用の除湿機や布団乾燥機の風を送り込んで乾燥させるとベスト。もちろん、中の布団等もきちんと日に当てて干すことが大事です。

●浴室:
入浴後、まず水滴に含まれるアカや石鹸カスがカビの栄養分となるので、シャワー等でよく洗い流します。その後すぐに換気扇を回します。最低2~3時間。できれば乾くまで。室内を乾燥したタオルでよくふき取ったほうが早く乾燥できてよいです。浴槽にお湯が入っている間は、蓋をこまめに閉めるようにします。天井がカビないよう注意。

●台所:
使用時は必ず換気扇を使用します。調理以外に、食器などを水洗いをする時も換気扇を使用したほうがよいようです。使用後は、壁面についた食べ物のカスや水滴をふき取ります。


以上、徹底して対策を行おうとするとかなり大変ですが、念頭に入れながら少しずつ、こまめに取り入れていければと思います。カビは単に気持ちが悪いだけではなく、実際に健康被害の原因となっているので、この時期はちょっと頑張りたいところですね。


【参考サイト】


○やすひさ内科クリニック 健康情報 夏の健康管理
カビによる疾患とカビを防ぐ方法が紹介されています。

○まい皮膚科クリニック 皮膚にかび?!
マラセチア毛包炎・癜風について解説しています。

○カビ対策Q&A エコライフ研究所
建物の種類や部屋の場所別に対策が紹介されています。

○梅雨時だけじゃダメ!湿度管理のポイント 住まいの湿度はほどほどが一番
カビの発生条件含め、適切な湿度について紹介しています。湿度のことがよくわかります。

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コメント

以前、私の知人が西日しか当たらない、じめじめした部屋?に住んでいたころ、原因不明の咳に悩まされていました。病院でも原因を特定できなかったようですが、その後、日当りの良い部屋に引っ越しをして間もなく、咳が治まったという話を思い出しました。断定はできませんが、もしかしたらカビなどが原因だったのかもしれません。カビはそれほど目立たず、その存在を普段ほとんど気にしませんが、特にこの時期、注意する必要があることを再認識いたしました。

真菌類は菌糸を持つカビの仲間と、菌糸を持たない酵母の仲間に分類されますが、クリプトコッカスは酵母の仲間なのでカビと言われると彼らは気を悪くするのではないかな。

通行人Bさま、少しでも参考になれば幸いです。また壊疽の病理医さま、ご指摘ありがとうございました。上記のとおり訂正いたしました。同じようにカビと一緒にされているお風呂場のピンクぬめりも、実は「ロドトルラ」という酵母だそうですね。酵母というのもカビ以上に不思議な微生物のようです。また近いうちに、酵母についても調べてみたいと思います。

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