幸田文 しつけ帖 |
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投稿者: 真木魔愛 | 投稿日時: 2009年08月10日 08:23 |
家には常時、数冊~10冊程度、
図書館から借りている本があります。
読書趣向は家族三人三様なのですが、
時間が許せば、自分以外のリクエストの本も読みます。
この数日で乱読した本。
『使命と魂のリミット』は二回読みました。
『悼む人』は時間も忘れて深夜まで没頭しました。
でも何といっても一番は、
『幸田文 しつけ帖』です。
「薪割りをしていても女は美でなくてはいけない、目に爽かでなくてはいけない」
「女はどんな時でも見よい方がいいんだ。はたらいている時に未熟な形をするようなやつは、気どったって澄ましたって見る人が見りゃ問題にゃならん」
筆者幸田文さん父、幸田露伴のしつけは厳しく細かく徹底しており、
生きるとはかくも窮屈で壮絶な時代だったのかと、
今の自分、とりわけリウマチで体の動きが鈍い醜態と比べて
縮こまりたい気持ちで読み始めました。
途中、
「堪えるということは、父親を失わないためには絶対の線であった。腹を立てる、泣く、じぶくる(すねて怒ること)、歯を剥く、これらの悪徳はまだしも許されたが、ぐちゃぐちゃとくずれおることは厳禁であった。容赦なく見放された。私は父に見限られることはいやで、こわかった。母の無い子なのである。」
だから苛酷な父の要求に堪えたと。
折り合いが悪かった育ての母がリウマチで、
だから文さんが家事全般を引き受けるようになった記述で、
俄然遠くに感じた内容が急接近します。
育ての母がえらく洗濯下手、家事全般が不得手なのは当然で、
そんなに悪口を言わなくても・・と思いきや、
「手よりも頭を働かせ、頭で努力していた(継母が家事をする)姿はこの上なく貴いとおもわれ、しかもそれが継母ゆえによけい懐かしく、哀感が深い」と括られている行には、 反省が先にたち、目頭が熱くなりました。
さらに、息苦しいだけでなく、
優しさと知恵に満ちている内容で、
「彼氏の家にきもので訪ねるとき、
正座して足がシビレたらどうしたらいいか」
という読者質問に対する答は思いやりとユーモアに溢れ、
『啐啄(そつたく)』
は明治時代にこんな親子もいたのかとあっぱれ!
勉強になりました。
エッチな内容もこう話すと格調高く・・
とおもしろかったです。
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コメント
幸田文といえば、『こんなこと』というのを読んだことがあります。
障子、ふすまの張替え方まで書いてあり、作業に入る前の準備や
心構えに感動し、貪るように読みましたが、私の場合浅はかにもハウツー本に近い読み方しかしていなかったようで、去年アイロンとカッターナイフで障子を簡単に張れることに気づいてからは、あれこれ悩むより一日でも早く破れ障子を張替えた方がいいぞ、と思っておりました。幸田さんも後に、自分と同じように女の子に教え込もうとして、結局あきらめたそうです。そんなこんなで、過日の熱気も冷めていましたが、真木さんの書かれているのを見て、また読んでみようと思いました。
またこういう時、いろいろメリットの多い図書館をもっと利用してみようと、再認識しました。有難うございます。
しんちゃん様、コメントありがとうございます。
『こんなこと』という本は初めて知りました。今度読んでみたいと思います。教えていただきありがとうございます。
ご自分で障子やふすまの張替えなさるのですね。偉いなあと恥ずかしくなりました。私は幼い頃、母の手伝いをしたのが最後の記憶です。
図書館はメリットも沢山ありますが、
人気の新刊等、予約殺到で100番ぐらい平気で待ちます。
また借りれるのは2週間なので、じっくり読み返したいときは不向きですネ。
さらにお出かけ用は文庫本に限る(荷物が重くなる)ので、購入してます。