海の魚の血圧が低い理由は? 解説 |
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投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2009年08月13日 17:56 |
今月のクイズは以下の問題でした。
海の魚は塩水を大量に飲んでいるのに、血圧はヒトの半分以下です。その理由は次のどれでしょう。
①よく動いているから
②水の中にいるから
③DHA・EPAが豊富だから
正解は ② です。
血圧は、血液を体の器官へ確実に送り届けるために存在しています。人間の場合、最も重要でかつ最も酸欠に弱い脳が体の一番上に存在しているので、高い圧力で重力に逆らう必要があり、その圧力を得られないと酸欠で気を失ってしまいます。このため人間は、必要な時に血圧を上げられるよう、体の仕組みを様々に磨き上げてきました。塩分を摂取すると血圧が上がるのもその一例です。海の魚には、そもそもそのような仕組みが備わっていないので、塩水をいくら飲もうが血圧は上がりません。
魚が、血圧を上げる仕組みをあまり必要としないのは、水の中は浮力が働き重力の作用を打ち消すからです。
海から陸へ上がり、そして二足歩行を選んだ時点で、人間と高血圧とは切っても切れない関係になったのです。
日常的に聴かされる高血圧対策の「運動しなさい」「食生活に気をつけなさい」は、この前提の上に成り立っています。よって①と③は魚にとっては関係ありません。
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