仙谷由人・衆議院議員インタビュー
仙谷由人・衆議院議員 民主党ネクスト厚生労働大臣
――まず、医療制度・システムに問題意識を持ったきっかけから教えてください。
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、私は4年前に胃がんが見つかって、国立がんセンター中央病院で全摘手術を受けました。入院生活を送る中で、ドクターをはじめレジデントやコメディカルの働きぶりを目の当たりにしました。こんなに厳しい労働条件で、こんなに献身的・犠牲的に一所懸命働いているのかと驚いたわけです。一方、自分がそれに対して払った治療費は安いなとも感じまして、問題だなと思った、これがきっかけです。
そして退院した後、がんであったことを公表していましたから、がん患者の方々から色々な情報や要望・相談が寄せられるようになりまして、がんには標準治療があることや、化学療法には適正使用のガイドラインが作られつつあるけれど肝心の臨床腫瘍内科医が極めて少ないことなどを知りました。がんセンターの主治医の先生に「私の選挙区の徳島では、じゃあ一体誰が化学療法やっているんですかね」と尋ねましたら、「外科医が片手間にやっているんじゃないですか」という答えが返ってきて、日本の医療は世界の中でも進んでいると思っていたのに、そうとばかりも言い切れない、遅れている部分もあるんだなと強く認識しました。
一方で母や父を看取る時には終末期医療の問題を考えさせられました。また介護なのか医療なのか分からないような社会的入院というものが問題視され、高齢者医療が資源を食いつぶすという議論が盛んに行われてもきましたけれど、本当のところ医療の何が問題なのか国民に理解されていないとも感じました。
私が考えるに、医療に対しては金と人という資源を随分と投入しているけれど、その肝心の人を養成する部分への資源投入が決定的に足りません。10年、20年経ってから、そのツケに気づくようなことかもしれませんが。
――なるほど。
で、これこそ政治の出番だと思ったのです。ハコモノとしての立派な病院を作ることももちろん大切なのだけれど、何よりも人(医療スタッフ)の質、システムが問われている。そこにお金をもっとかけないと資源投入をしないと、納得の医療は実現できない。